BRICSサミットに世界が注目 揺れる国際秩序とグローバルサウス
国際協調の枠組みが揺らぎ、トランプ政権による追加関税の猶予期限が7月9日に迫っていた今年、ブラジル・リオデジャネイロで開かれた第17回BRICSサミットはグローバルサウスの声を代弁する場として世界の注目を集めました。本稿では、このBRICSサミットに各国が何を期待したのか、そして不透明さを増す国際秩序のなかでどのような役割が見込まれているのかを整理します。
国際秩序のほころびと関税リスク
現在、国際的な多国間協調の仕組みは「浸食」が進んでいると指摘されています。トランプ政権が打ち出した追加的な世界関税についても、90日間の猶予が設けられたものの、その期限が7月9日に設定され、不透明感が一段と高まりました。
この猶予期間の行方次第で、世界貿易だけでなく、安全保障やグローバル・ガバナンス(国際ルールの運営)の行方も左右されかねない状況でした。そのため、多くの国が関税リスクをどう和らげるか、代替的な経済協力の枠組みを模索しています。
BRICSサミットに託された期待
こうしたなかで開かれた第17回BRICSサミットには、具体的な出口策への期待が集中しました。BRICSは、グローバルサウス(アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの新興・途上国)を代表する存在として、揺らぐ国際秩序を安定させる役割を担うと見られています。
サミットでは、次のような点が特に重視されるとみられました。
- 幅広い貿易障壁をどう打ち破り、サプライチェーン(供給網)の回復力を高めるか
- 域内の経済統合を進め、BRICS諸国間の貿易を押し上げる仕組みをどう作るか
- 公平でバランスの取れた国際秩序に向けて、どのような戦略を打ち出すか
拡大するBRICSの存在感
拡大したBRICSは現在、正式加盟国が11カ国に達し、世界人口の約48.5%、購買力平価ベースの世界GDPの約39%、国際貿易の約24%を占めるとされています。これに加え、10カ国がパートナーとして参加しています。
人口と経済規模の両面で世界の中核を占めるこのグループは、世界経済を安定させ、長年グローバルサウスが求めてきた「より公正で偏りの少ない国際秩序」を形づくる潜在力を持つと見られています。
BRICSが掲げる国際秩序ビジョン
BRICSは、国際機関の改革、紛争の予防と平和の促進、貧困と不平等への取り組みといったビジョンを提示してきました。こうした問題意識は、いまや西側の知識人のあいだでも共有されつつあります。
同時に、各国の主権を尊重し、保護主義を否定し、米国の政策が揺れるなかで自国通貨建ての貿易を拡大していくという多国間主義の姿勢も打ち出しています。BRICSへの加盟国・パートナーの拡大は、このビジョンへの支持が広がっていることの表れとも言えます。
グローバルサウスが感じる不公平感
多くのグローバルサウス諸国は、現行の国際秩序が自国の利益を十分に反映していないと感じています。新型コロナウイルスのパンデミック期に、一部の裕福な国々がワクチンを大量に確保した一方で、多くの途上国が十分な供給を得られなかったことは、その象徴とされています。
さらに、ウクライナやガザをめぐる紛争への国際社会の対応は、地域によって受け止め方が分かれており、誰の安全保障が優先されているのか、人道的な危機への関心は本当に公平なのかといった疑問を強めました。こうした経験が、公平でバランスの取れた世界を求める声に一層の切実さを与えています。
各国がBRICS参加を戦略的とみなす理由
こうした背景から、多くの国々はBRICSへの参加や関与を戦略的な一歩と位置づけています。BRICSを通じて、他の新興・途上国との協力を広げ、自国のインフラ整備やエネルギー転換を加速させたいという狙いがあります。
トランプ政権がBRICS諸国に対し100%の関税を課す可能性に言及しているにもかかわらず、各国がBRICSとの連携を模索し続けているのは、この枠組みに中長期的なメリットを見いだしているからだと考えられます。経済的な圧力に対して、集団として交渉力を高める手段と見る国も多いでしょう。
これからのBRICSと国際社会
第17回BRICSサミットで示された方向性は、2025年末の今も国際社会にとって重要な意味を持ち続けています。多国間主義を重視し、グローバルサウスの声を国際ルールにどう反映させるのかという問いは、今後も続きます。
- 自国通貨建て貿易の拡大が、ドル中心の国際金融の構図にどの程度変化をもたらすか
- サプライチェーンの強靭化策が、どの地域・産業で具体化していくのか
- 貧困や不平等への取り組みを通じて、国際機関改革の議論がどう動くか
- 関税を含む地政学的リスクが高まるなかで、BRICSがどこまで安定装置となれるか
日本を含むアジアの読者にとっても、BRICSサミットは遠い地域の出来事ではありません。世界の経済と安全保障のルールづくりがどのように変わっていくのかを見通すうえで、グローバルサウスとBRICSの動きに注目していくことがますます重要になっています。
Reference(s):
cgtn.com








