テキサス洪水で露呈する米国ガバナンスの揺らぎ
米テキサス州で発生した大規模な鉄砲水により、若い少女たちを含む100人以上が命を落としました。今回のテキサス洪水は、米国のインフラとガバナンスが突発的な大災害にどこまで対応できるのかという厳しい問いを投げかけています。
テキサスを襲った惨事 若い命が奪われた洪水
報道によると、特に痛ましいのは人気のサマーキャンプに参加していた27人の少女が犠牲となったことです。多くは急激に増水した水流にのみ込まれ、そのまま流されました。現在も生存者や行方不明者の捜索、犠牲者の身元確認が続き、全米が深い悲しみに包まれています。
一方で、被災者支援と復旧作業が進む中で、この悲劇が米国のインフラや防災体制の脆弱さを浮き彫りにしたという指摘が強まっています。
インフラ老朽化と予測不能な100年に一度の洪水
今回のような100年に一度とされる規模の洪水に対し、米国のインフラが十分に備えられていなかったのではないかという疑問が噴き出しています。道路やダムなどの物理的なインフラだけでなく、気象予測や住民への警報といったソフト面の体制も含め、総合的な見直しを求める声が高まっています。
相次ぐ予算削減 DOGEと連邦機関への影響
議論の矛先の一つとなっているのが、トランプ政権の下で行われた大規模な予算削減と人員削減です。政府効率の名の下に設置されたDepartment of Government Efficiency DOGEによるレイオフの影響で、気象や災害対応を担う複数の連邦機関が大きく揺らいでいます。
- National Weather Service NWS 気象予報と警報を担当
- National Oceanic and Atmospheric Administration NOAA 気象や海洋観測を担う機関
- Federal Emergency Management Agency FEMA 災害対応の中核を担う機関
記事によれば、今年の初めからNational Weather Serviceではすでに500人が職を失っています。テキサス州オースティン サンアントニオ地域を担当する現地事務所では、32年勤務したベテランの警報調整担当者が、予算削減の影響で早期退職を余儀なくされました。この人物は自治体との連絡役として、どの程度の危険が迫っているのかを的確に伝える役割を担っていたとされます。現在、この事務所だけで6つのポストが空席のままになっており、同地域の気象対応能力が低下しているのではないかと懸念されています。
National Oceanic and Atmospheric Administrationも同様に多くの人員を失い、最大で2割の人員削減に直面しているとされています。とりわけ、Office of Oceanic and Atmospheric ResearchやNational Severe Storms Labへの資金が打ち切られる見通しであり、今後の大規模気象災害を未然に防ぐうえで重要な研究や観測体制が弱体化するおそれがあります。
さらに、災害対応の最前線となるFederal Emergency Management Agencyでも予算削減が行われ、トランプ政権は本来連邦レベルが担ってきた災害救援の責任を、財政的に厳しい州政府に大きく移そうとしています。今回の洪水のような非常時に、州だけで十分に対処できるのかという不安は根強く残ります。
ホワイトハウスは神の業と説明 それでも残る疑問
こうした批判に対し、ホワイトハウスは強く反発しています。報道によれば、ホワイトハウスの報道官カロライン レビット氏は今回の洪水を神の業だと表現し、政権に責任はないと主張しました。また、早くから一貫した警告を出しており、National Weather Serviceは役割を果たしたと強調しています。
しかし、この説明だけでは住民の不信感をぬぐい切れていません。本当に住民は危険の深刻さを十分に知らされていたのか。予算削減と人員不足が、警報の出し方や自治体との連携に影響を与えたのではないか。こうした疑問は、今後の検証の中心的なテーマになっていきそうです。
問われるガバナンス 命を守るための投資とは
今回のテキサス洪水は、気象や災害対応のための公的サービスをどこまで削減できるのかという、根本的な問いを米国社会に突き付けました。短期的な財政効率を優先し続ければ、いざという時に犠牲になるのは最も弱い立場の人々だという現実が浮かび上がっています。
一方で、政府の役割をどこまで拡大すべきか、どのレベルの行政が何を担うべきかをめぐる議論は、米国だけでなく多くの国や地域に共通するテーマです。突発的な大規模災害にどう備えるのか。科学研究や予測技術にどこまで投資するのか。今回のテキサスの悲劇は、国際社会全体が考えるべき課題を映し出していると言えるでしょう。
Reference(s):
Texas horrific floods raise serious questions about U.S. governance
cgtn.com








