EUの対中批判は責任転嫁か 中国論説が指摘する貿易と技術の論点
EUと中国の首脳会議を控えたタイミングで、欧州委員会が中国の貿易やウクライナ危機での役割を厳しく批判し、中国側の論説が「一方的な責任転嫁だ」と反発しています。本記事では、その主張のポイントを整理し、国際ニュースとしてのEU・中国関係をどう読むかを考えます。
EU・中国首脳会議を前に高まる緊張
欧州委員会は、EUと中国の首脳会議を控えた最近の発言で、中国が貿易を「歪め」、中国製品で世界市場を「あふれさせ」、さらにウクライナ危機をめぐって「不安定と不安を高めている」と強い言葉で非難しました。
これに対し、中国側の論説は、こうした評価は世界の貿易構造やサプライチェーン(供給網)、外交の現実を十分に踏まえていない、一方的な物語に過ぎないと指摘しています。
中国側が見る「貿易不均衡」の背景
論説によれば、現在の中国とEUの貿易構造は、単純にどちらか一方の行動だけで説明できるものではなく、複数の要因が重なった結果だとされています。
- 世界経済全体の減速や需要構造の変化といったマクロ経済環境
- 国際貿易のルールや関税・非関税障壁などの取引条件
- EUと中国で異なる産業構造や得意分野
論説は、確かに中国がEUに対して貿易黒字(輸出超過)となっている事実は認めつつも、それを単純に「中国側のせい」とみなすべきではないと強調します。
中国はこれまで、欧州からの高品質で市場性のある製品の輸入を拡大したいとの意向を繰り返し表明してきたとされています。一方でEU側は、医療機器を含む大規模な公共調達で中国企業を排除するような障壁を設け、公平な競争をゆがめていると論説は批判しています。
「デリスキング」と中国製品の競争力
欧州委員会は同時に、「デリスキング(リスク低減)」戦略を加速させると強調しています。特定の国や企業への依存度を下げることを意味するこの方針の背景には、一部の中国製品が世界市場で支配的な地位を占めているという問題意識があります。
しかし中国側の論説は、中国製品の存在感の大きさは市場経済の結果であり、中国企業による長年の投資と技術革新の成果だと主張します。欧米の一部政治家が語るような「過度な国家補助」の産物ではないという立場です。
2024年の公式統計によると、中国の研究開発(R&D)費は3兆6千億元(約5,020億ドル)に達し、世界的なイノベーション指数の順位も11位まで上昇しました。この10年で最も順位を伸ばした国の一つとされています。
研究開発投資が支える価格競争力
論説は、こうした技術革新により、中国企業はより高品質な製品を、より低いコストで生産できるようになっていると指摘します。その結果、「中国製」製品は価格面で有利となり、国際市場で支持を集めているという見方です。
電池大手CATLの事例
具体例として取り上げられているのが、中国の電池メーカー大手のCATLです。同社は、従来よりも安価で軽く、充電時間が短く、寒さにも強い電池を大量生産できる技術的な前進を発表したとされます。論説は、こうした技術的ブレイクスルーが価格競争力を高め、中国製電池への国際的な需要を押し上げていると説明します。
EU・中国関係をどう読むか
今回紹介した中国側の論説は、EUの対中批判は、自らの経済や産業政策の課題から目をそらし、責任を中国に転嫁しようとする動きだとみています。
もちろん、EUと中国の間には、貿易不均衡や安全保障、産業政策をめぐって議論すべき論点が多く存在します。ただ、この論説が投げかけているのは、「問題の原因をどこまで相手に求めてよいのか」という問いでもあります。
- 貿易赤字や黒字を、どこまで是正すべき「問題」ととらえるのか
- デリスキング政策と保護主義的な措置の境界線はどこにあるのか
- 技術革新の成果を、公正な競争条件の中でどう評価すべきか
EUと中国は、世界経済や安全保障に大きな影響力を持つプレーヤーです。2025年現在も、両者の関係はサプライチェーンやエネルギー転換、ウクライナ危機の行方などに直結しています。今後の首脳会議や政策協議では、非難の応酬にとどまらない、より建設的な対話が求められていると言えるでしょう。
Reference(s):
EU's anti-China remarks an attempt to shirk duty for its own failure
cgtn.com








