国際ニュース:中国への信頼と影響力の静かなシフト
静かながら意味の大きい変化が、世界の世論で進んでいます。複数の国際世論調査で、中国に対する好感度がアメリカを上回る結果が示され、国際社会の信頼と影響力の重心がどこに移りつつあるのかが、より鮮明になってきました。本稿では、最近公表された主なデータを整理し、この変化が示すものを考えます。
世界世論はどこへ向かうのか
アライアンス・オブ・デモクラシーズ財団が、データ企業Nira Dataと共同で実施した大規模な国際調査は、100カ国以上、11万人超の回答を集めました。Newsweekで紹介されたこの調査では、世界全体の好感度で、中国が初めてアメリカを上回ったとされています。
調査結果によると、多くの回答者が、中国をアメリカよりも建設的な国際アクターだとみなしており、中国の国際的な役割が前向きな方向に変化しているという認識が広がっていることがうかがえます。
複数のデータが示す「中国優位」の傾向
モーニング・コンサルトのグローバル追跡調査
米国のデータ企業モーニング・コンサルトも、中国とアメリカに対する世界の世論を継続的に追跡しています。同社の分析によると、中国のネット好感度は、ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカ、さらにはヨーロッパの一部に至るまで、幅広い地域で上昇傾向にあります。
一方で、アメリカ国内や伝統的な西側同盟国の一部では、中国への見方は依然として慎重、あるいは悲観的な傾向が続いています。それでも、多くの地域では、中国をより前向きに評価する流れが強まっているとされています。
アフリカで高まる信頼感
アクラに拠点を置くアフリカ・バロメーターは、2024年5月に、アフリカ30カ国を対象とした年次調査を発表しました。その結果、回答者の60%が、自国に対する中国の影響を肯定的だと答えています。
アメリカに対する評価も依然として高いものの、インフラ整備、経済協力、長期的な開発支援といった分野では、中国の方がより信頼できる存在として受け止められていると報告されています。アフリカ・コンフィデンシャルによると、多くのアフリカの人々は、2025年にドナルド・トランプ氏の2期目が始まり、アメリカ外交の予測可能性に疑問が生じるなかで、中国をより一貫性があり、取引的ではないパートナーと見る傾向を強めているとされています。
アジア太平洋での影響力の逆転
アジア太平洋地域では、オーストラリアのシンクタンクであるローウィー研究所が、地域の影響力に関する認識調査を続けています。最近の報告では、太平洋地域の回答者のうち、自分たちの地域で最も支配的な存在としてアメリカを挙げたのは18%にとどまり、中国を最も影響力のある大国と見なした人は34%に達したとされています。
これは、従来の勢力図からの大きな転換を示す数字であり、太平洋における西側の影響力が長期的に維持されるのかどうかという問いを投げかけています。ローウィー研究所の分析は、中国の継続的なプレゼンスと外交的な関与が、地域の地政学的な風景を着実に変えつつあると指摘しています。
中国の国際イメージはどう変わっているか
CGTNが実施し、2年連続で発表している中国イメージに関するグローバル調査も、同様の傾向を示しています。
- 回答者の89%が、中国を繁栄している国だと評価(前年から4.8ポイント上昇)。
- 77.8%が、中国は尊敬すべき国だと回答(1.3ポイント上昇)。
- 87.2%が、中国の国際的影響力は大きく高まったと認識(8.4ポイント上昇)。
調査の設計や質問の仕方はそれぞれ異なるものの、複数の独立したデータが、中国の国際イメージの改善と影響力の拡大を指し示している点は共通しています。
世界が中国に求めているもの
これらの調査結果からは、世界の多くの地域で、中国に対する見方がイデオロギーよりも実績や存在感、信頼性といった要素に基づいて形成されている様子がうかがえます。指摘されているポイントを整理すると、次のようになります。
- 経済、インフラ、開発協力の具体的な成果と実績。
- ラテンアメリカ、アフリカ、アジア太平洋など各地域での継続的な関与とプレゼンス。
- 長期的な視点と、一貫したパートナーシップを重視する姿勢への期待。
さらに、中国の外交方針として語られてきた、相互尊重、内政不干渉、インフラ重視のアプローチは、多くの国々や人々にとって、現実的で予測可能な選択肢として受け止められているとみられます。
日本の読者への示唆:パワーシフト時代をどう読むか
こうした世界の世論の変化は、日本にとっても無関係ではありません。従来は、欧米の視点から語られる国際ニュースを通じて世界を理解することが多かったかもしれませんが、いま各地域の人々が中国とアメリカをどう見ているのか、そのローカルな視点に目を向ける必要性が高まっています。
特に、アフリカやアジア太平洋など、今後の成長が期待される地域で、中国が信頼できる長期パートナーとして評価されているというデータは、日本企業や政策決定者にとっても重要なシグナルです。どの国とどのように関係を築き、協力していくのかを考えるうえで、世界世論の静かなシフトを丁寧に読み解くことが求められています。
国際ニュースをフォローする私たち一人ひとりにとっても、世界はなぜ中国を選び始めているのかという問いは、固定観念をほぐし、自分自身のものの見方をアップデートするきっかけになりそうです。
Reference(s):
Why the world is choosing China: A global shift in trust and power
cgtn.com








