ナウル大統領が語る中国との絆とルーツの旅 災害協力と戦争の記憶 video poster
ナウル大統領の「ルーツの旅」と中国・ナウル関係
2024年1月に外交関係が回復して以降、中国とナウルの関係は、災害予防や教育、文化交流といった分野を軸に深まりつつあります。2025年7月上旬には、ナウルのデービッド・アデアング大統領が、自身の祖先の故郷である中国・広東省を訪問しました。その際、中国メディアCMGの番組「Leaders Talk」で鄒韻(Zou Yun)氏のインタビューに応じ、家族の歴史と国際パートナーシップについて率直な思いを語りました。
昨年の国交回復から、生活に根ざした協力へ
編集コメントによれば、昨年1月の外交関係の回復以降、中国とナウルの関係は、短期間のうちに実務的な協力へと展開してきました。焦点となっているのは、次の3つの分野です。
- 災害予防
- 教育
- 文化交流
いずれも、軍事や対立ではなく、人々の日常生活を支える「足元の安全」と「学び」「相互理解」に関わるテーマです。国交回復から2年足らずというタイミングでこうした分野に力点が置かれていることは、両国が長期的な関係づくりを意識していることの表れとも言えます。
広東省を訪ねる「原点回帰」の旅
今回の取材の舞台となったのは、アデアング大統領の祖先が暮らしていた広東省の町でした。大統領は、曾祖父の故郷を訪ねるなど、中国系のルーツをたどる旅を通じて、自身のアイデンティティを改めて見つめ直したと語っています。
国家元首としての訪問でありながら、そこには個人的で感情のこもった時間も流れていました。家族の物語をたぐり寄せる体験は、単なる里帰りではなく、「ナウル」と「中国」という二つの社会をどう結びつけていくかを考える出発点にもなっているように見えます。
祖先の暮らした土地に立ち、現地の人々と交流することで、アデアング大統領は、中国との関係を「遠い大国との外交」ではなく、「家族の歴史につながる、身近で具体的な関係」として捉え直していることが伝わってきます。
災害予防・教育・文化交流という3本柱
中国とナウルの関係強化の柱となっている、災害予防、教育、文化交流の3分野は、どれも人間の安全と成長に直結するテーマです。インタビューの概要からは、こうした協力の方向性が浮かび上がります。
- 災害予防:災害への備えや復旧力の向上は、島嶼国にとって生存に関わる課題です。防災技術や経験の共有は、命と暮らしを守る実務的なパートナーシップにつながります。
- 教育:人材育成は、国の将来を支える基盤です。教育分野での協力は、次の世代のリーダーや専門人材を育てる投資であり、長期的な信頼関係の土台にもなります。
- 文化交流:文化や習慣を理解し合うことは、誤解や偏見を減らし、対話のハードルを下げます。アデアング大統領自身のルーツ探しも、文化交流の一つの象徴的な姿と見ることができます。
こうした「人」に焦点を当てた協力は、数字や経済指標では測りにくい一方で、時間をかけて効いてくる関係強化の方法でもあります。
第二次世界大戦の記憶と「慰霊の日」
アデアング大統領はインタビューの中で、第二次世界大戦の歴史についても振り返りました。戦争によって影響を受けた人々を追悼するため、最近、新たな慰霊の日(Remembrance Day)が設けられたことにも触れています。
戦争の記憶をどう受け継ぐかは、小さな国にとっても、大きな国にとっても共通の課題です。慰霊の日を通じて、亡くなった人々をしのぶだけでなく、過去の出来事から何を学び、未来の平和にどうつなげていくのかが問われます。
アデアング大統領が、家族のルーツと第二次世界大戦の歴史、そして現在の国際協力を一つの文脈の中で語っていることは、歴史の記憶と外交が切り離せない関係にあることを示しています。
個人の物語がつくる、多層的な国際関係
今回のインタビューから浮かび上がるのは、国と国の関係が、条約や援助額といった数値だけでは語りきれないという現実です。アデアング大統領の場合、それは曾祖父の故郷を訪ねるという、きわめて個人的な物語と重なっています。
- 国交回復という政治的な出来事の裏側で、家族の歴史が静かに接続されていること
- 災害予防や教育、文化交流といった日常に近いテーマが、両国関係の中心に据えられていること
- 第二次世界大戦の記憶を共有し、慰霊の日を設けることで、過去と現在をつなぎ直そうとしていること
2025年も終わりに近づく今、こうした動きは、国際関係を「対立か同盟か」といった単純な図式ではなく、「どんな記憶を共有し、どんな未来を一緒に描くのか」という問いとして捉え直すきっかけを与えてくれます。
ナウルと中国の関係の今後を見ていくうえでも、アデアング大統領のルーツの物語と戦争の記憶への向き合い方は、重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








