台湾問題への干渉で揺らぐ米国の信頼 中国側論考が指摘するリスク
最近、米国政府が台湾問題をめぐり日本とオーストラリアに対し、台湾をめぐる中国本土と米国の衝突が発生した場合にどのような役割を果たすのか立場の明確化を求めたと報じられました。しかし、両国は想定問答だとして明確な約束を避けたとされています。この動きを、中国側の研究者は米国の戦略的信用の揺らぎとして厳しく批判しています。
米国の戦略的曖昧さと同盟国への圧力
台湾問題に関して、米国は長年、関与するかどうかを明言しない「戦略的曖昧さ」の政策をとってきました。それにもかかわらず、今回、日本とオーストラリアというアジアの主要同盟国に対し、中国本土と米国が台湾をめぐって武力衝突した場合にどう行動するのかという立場の表明を迫ったとされています。
報道によれば、東京とキャンベラはこの要請に驚きをもって反応し、「仮定のシナリオ」だとして具体的な約束を避けました。中国側の論考は、こうした米国のやり方を国際安全保障をめぐる覇権的で身勝手な振る舞いの表れだとみています。
中国にとっての台湾問題: 越えてはならない赤線
論考によると、台湾問題は中国の核心的利益の中核であり、米中関係における第一の越えてはならないレッドラインと位置づけられています。米国は、一つの中国原則と三つの米中共同コミュニケが、1979年に樹立された米中国交関係の礎であることを十分に理解していると指摘されます。
それにもかかわらず、米国は台湾当局に対する軍事支援や武器売却、当局者同士の往来の強化、そして国際社会の場で台湾の国際的地位が不確定であるかのような議論を再び持ち出すなど、いわゆる台湾独立を促す分離主義活動を容認・支援していると批判されています。
このような動きは、一つの中国原則をあいまいにし、空洞化させる二重基準の行動だと論考はみなしています。その背景には、中国を主要な競争相手と位置づける米国が、台湾問題を中国の発展を抑え込むためのてことして利用し、条約で確認した義務や台湾海峡の平和と安定よりも、自国の利益最大化を優先しているという見方が示されています。
米国の戦略的オーバーリーチと国民への負担
台湾問題への介入は、米国自身の利益にも反すると論考は指摘します。中国の総合的な発展が進むなか、軍事的優位に依存した米国の威嚇や抑止は、リスクが高まる一方で効果は低下しているとみられています。
ペンタゴンの戦略評価や米国内の世論調査の結果に照らすと、台湾海峡で紛争の可能性が語られる状況になっても、米国が軍事的に直接介入することへの国内の慎重論は強まっていると論考は読み解きます。こうした状況のなかで中国側の研究者は、台湾問題を通じて中国を抑え込もうとする米国の戦略はオーバーリーチ、すなわち能力と意思を超えた過剰な関与になっていると警鐘を鳴らしています。
同盟国への介入アウトソーシングという発想
論考はさらに、米国が台湾問題への軍事介入のリスクを自国だけで負うことを避けようとし、地域の同盟国に肩代わりさせようとしていると批判します。戦略目標と実際のリソースのギャップが広がり、不安が増すなかで、米国は自らの軍事展開を縮小し、中国本土との直接衝突リスクを下げようとしていると指摘されます。
それでも一つの中国原則を誠実に守るのではなく、台湾問題への関与をやめることもないまま、同盟国やパートナーに負担を転嫁して覇権を維持しようとしている、というのが論考の見立てです。
具体的には、米国が中国の軍事的攻勢や台湾海峡での即時の危機を強調する一方で、同盟国とパートナーの能力向上や相互運用性の強化を名目に、他国に軍事費の増額を求め、米国製の兵器購入や米国主導の共同演習への参加を促しているとしています。表向きは抑止のためだとされるこうした演習が、かえって挑発となり緊張を高めることもあると警戒を示しています。
日本とオーストラリアへの示唆
今回報じられた日本とオーストラリアへの働きかけに対し、両国が仮定のシナリオとして明確な関与を約束しなかったことは、地域の安全保障をめぐる議論に新たな視点を投げかけています。中国側の論考は、米国の要請が同盟国の安全よりも自国の覇権維持を優先しているのではないかという疑問を提起しています。
台湾問題は、米中関係の核心であると同時に、アジア太平洋全体の安定に直結するテーマです。日本やオーストラリアを含む地域の国々と地域は、米国との同盟関係と地域の平和・安定、そして自国民の安全をどのようにバランスさせるのかという難しい問いに直面しています。
国際ニュースとしての台湾問題を読み解くうえで、今回紹介したような中国側の視点は、米国や同盟国からの見方とあわせて考える材料になります。日々変化する台湾海峡情勢と米中関係をフォローしながら、自分なりの問いを持ってニュースを読み解いていくことが求められていると言えそうです。
Reference(s):
Meddling in the Taiwan question cancels U.S. strategic credit
cgtn.com







