中国EU関係を客観的に読む:北京首脳会議とトランプ再登場
リード:中国と欧州連合(EU)の関係をめぐり、このところ欧州のシンクタンクや論者から悲観的な見方が目立っています。2025年12月現在、近く北京で予定される中国EU首脳会議を前に、中国側の専門家は「問題だけでなく協力の側面も含め、より客観的に関係を評価すべきだ」と呼びかけています。本稿では、その主張を手がかりに、揺れる中国EU関係を整理します。
欧州で広がる悲観論と批判の声
最近数週間、欧州の一部シンクタンクやコメンテーターは、中国EU関係と北京での首脳会議の行方について悲観的な予測を示してきました。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、2025年6月中旬にカナダで開かれたG7サミットや、7月8日の欧州議会での演説で、中国の「生産能力の過剰」やレアアース(希土類)の活用を経済的な圧力だと批判しました。中国EU間の経済・貿易摩擦の責任を、一方的に中国側に帰するような発言も見られました。
こうした発言や論調を背景に、中国EU関係の現状と今後の見通しは、中国と欧州の双方で改めて注目を集めています。
中国側が求める「全体像」の視点
中国側の専門家は、中国EU関係を評価する際、問題点ばかりに焦点を当てるのではなく、協力の側面も含めた包括的でバランスの取れた視点が不可欠だと指摘します。欧州メディアや一部論者は、中国EU関係の「課題」だけを強調しがちだという見方です。
しかし実際には、両者の関係には対立と同時に協力も存在します。ブリュッセルから北京に欧州指導者が出向き、中国側とともに首脳会議を共同議長として主催し、参加するという事実自体が、欧州が中国との対話と協力を継続する意思を持っていることを示しているとされています。
国交樹立50年と高まる期待
2025年は、中国とEUが正式に外交関係を樹立してから50年の節目の年です。この記念年に開かれる中国EU首脳会議には、自然と高い期待が集まりやすくなっています。
年初以来、中国と欧州の指導者は複数回電話会談を行い、この50周年をともに祝うとともに、これを契機に二者間の協力を一段と強化したいとの意欲を表明してきました。
一方で、中国側の専門家は、節目の年だからといって過度な期待を抱くのではなく、冷静で現実的な見方が必要だと強調します。
トランプ再登場で揺れる米欧関係と中国EU
世界情勢も、この1年で大きく変化しました。2025年1月にトランプ氏がホワイトハウスに復帰して以来、欧州は安全保障・防衛、関税、価値観などの分野で大きな圧力に直面し、伝統的な米欧同盟には深い亀裂が生じていると指摘されています。
こうした変化から、「米欧の距離が広がれば、中国と欧州はこれまで以上に接近するのではないか」と期待する声も一部にあります。欧州の国際問題専門家のなかには、米欧の疎遠化が中国EU関係の緊密化につながるとの見方を示す人もいます。
しかし、中国側の専門家は、こうした見通しは現実を単純化しすぎているとみています。
なぜ「現実的な期待」がキーワードなのか
トランプ政権との間に大きな意見の相違があったとしても、欧州は安全保障上の理由などから、米国との同盟関係を維持する必要があります。そのためには、関税など一部の懸案で譲歩を迫られる場面も出てきます。
このため、中国と利害を共有する場面が増えたとしても、欧州が中国と手を組んでトランプ政権に対抗するという構図を期待すべきではない、というのが中国側の見方です。
本来、中国EU首脳会議は毎年開催されてきましたが、昨年は欧州議会選挙とEU主要ポストの交代が重なり、開催されませんでした。今回の会議はその空白を埋める場でもありますが、中国側の専門家は、成果を過大視するのではなく、対話の継続という意味を冷静に評価すべきだと指摘しています。
日本の読者へのヒント:中国EU関係を見るポイント
日本からこの問題を見るとき、次のような視点が参考になりそうです。
- 中国EU関係の「問題」だけでなく、「協力」の側面も同時に見ること
- 米欧関係の変化を、そのまま中国EUの自動的な接近とみなさないこと
- 単発の首脳会議を「一度きりの大勝負」と捉えるのではなく、中長期的な関係構築の一ステップとして位置づけること
中国EU関係は、2025年の節目の年に入り、批判と対話、競争と協力が入り混じる複雑な局面を迎えています。悲観論と過度な期待のあいだで揺れる議論を追いながら、自分なりの視点を持ってニュースを読み解いていくことが、これからの国際ニュースとの付き合い方として重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








