関税戦争の中でも成長続く中国経済 2025年上半期5.3%増の背景
米国との関税戦争が長期化するなかでも、中国経済は2025年上半期に実質5.3%の成長を達成しました。国内需要と貿易の多角化がこの成長をどのように支えているのか、最新の数字から読み解きます。
2025年上半期、中国経済は5.3%成長
中国の最新統計によると、2025年上半期の国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増と、市場予想を上回る伸びとなりました。米国との関税をめぐる対立や世界経済の不透明感が続くなかでの5%台半ばの成長は、中国経済の底堅さを示す数字と言えます。
今回の成長は、一時的な景気対策によるものではなく、産業構造の高度化や内需の拡大など、構造的な変化を背景とした持続力のある成長であることが強調されています。
国内需要が成長の68.8%を押し上げ
2025年上半期のGDP成長率のうち、68.8%は国内需要(内需)が押し上げたとされています。輸出頼みではなく、国内市場の厚みが成長のエンジンになっている点が大きな特徴です。
内需を下支えした政策として、次のような取り組みが挙げられています。
- 設備の大規模な更新投資を促す政策
- 自動車や家電などを対象とした消費財の買い替え支援(トレードイン)プログラム
特に消費財の買い替えプログラムは、2025年1〜5月だけで約1.1兆元(約1531億ドル)の売り上げを生み出し、すでに2024年通年の実績を上回りました。
この効果もあり、過去6か月間の消費財小売売上高は前年同期比5%増となりました。これは、第1四半期の伸び率を0.4ポイント上回るペースで、消費の持ち直しが続いていることを示しています。
貿易の多角化とハイテク産業の存在感
一方で、外部環境の不確実性は依然として中国経済のリスク要因です。米国を中心とする一部の西側諸国との貿易は減少したものの、中国は貿易相手の多角化を進めることで影響を緩和しています。
2025年上半期には、次のように各地域との貿易が拡大しました。
- 一帯一路パートナーとの貿易:前年同期比4.7%増
- ASEAN諸国との貿易:9.6%増
- 欧州連合(EU)との貿易:3.5%増
- アフリカ諸国との貿易:14.4%増
特に、一帯一路の枠組みやASEAN、アフリカとの結びつきの強化は、特定市場への依存度を下げ、米国を含む一部西側経済の保護主義的な動きによる影響を和らげる役割を果たしています。
また、ハイテク製造業やサービス産業の安定した生産と輸出が、外需環境が厳しい中でも経済全体を支える柱となっています。
世界経済を下支えする存在としての中国
中国経済の安定した成長は、自国にとどまらず、世界経済にも波及効果をもたらしています。中国は世界成長の重要なエンジンの一つであり、その失速は世界市場全体の不安定化につながりかねません。
今回示されたような堅調なパフォーマンスは、国際市場の信認を高め、世界経済にとっての安定要因としての役割を改めて印象づけるものとなっています。
米企業も依然として中国市場を重視
中国市場の魅力は、米国企業の動きにも表れています。米中ビジネス協議会の最近の報告によると、中国で事業を展開する米国企業の82%が2024年に黒字を計上しました。
多くの企業は、米中関係の先行きや関税を主要な懸念として挙げつつも、中国市場そのものの重要性は変わっていないとしています。これは、中国が依然として世界有数の消費市場と製造拠点であり続けていることを示しています。
今月のスウェーデン米中経済対話の意味
こうした中、中国の何立峰副首相は、今月、スウェーデンで米国側と経済・貿易協議を行う予定です。この会談は、両国が協議を通じて摩擦を管理しようとする意思を示す場になるとみられます。
関税戦争が続くなかでも、対話のチャンネルを維持し、相違点を交渉によって解決しようとする姿勢は、世界経済の安定にとっても重要です。中国側は、高品質な成長とさらなる対外開放を掲げており、建設的な対話が進めば、双方にとって新たなビジネス機会が生まれる可能性もあります。
これからの中国経済を見るための3つの視点
今回の一連の動きから、中国経済を読み解くために押さえておきたいポイントを整理すると、次の3点に集約できます。
- 内需の厚み:成長の約7割を国内需要が支え、消費や設備投資の拡大が景気の下支えとなっていること。
- 貿易の多角化:一帯一路パートナーやASEAN、EU、アフリカなどとの貿易拡大により、特定市場への依存を減らしていること。
- 対話を重視する姿勢:スウェーデンでの米中経済協議に象徴されるように、摩擦があっても交渉によって解決を図ろうとしていること。
米国との関税をめぐる対立は今後も続く可能性がありますが、中国経済は構造調整と国内市場の強さ、そして国際協力の拡大によって、その影響を吸収しながら成長を維持しようとしています。国際ニュースとしての中国経済をフォローする際には、短期的な数字だけでなく、こうした中長期的な流れにも目を向けることが重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








