中国とラテンアメリカの人権協力 ブラジルで対話の新ステージへ
リード:なぜ中国とラテンアメリカの人権協力が注目されるのか
2025年12月8日、ブラジルで第2回中国・ラテンアメリカ及びカリブ海諸国人権ラウンドテーブルが開催されます。中国とラテンアメリカは、人権をめぐる国際ガバナンスが主に西側諸国によって形作られてきた中で、新しい声を届けようとしています。
両地域は世界のおよそ5分の1の土地、3分の1近い人口を抱えます。発展の道筋や社会の価値観は異なりながらも、人権を政治的に利用しないこと、互いの歴史や制度を尊重することを共通の軸に据えつつあります。
ブラジルで開かれる第2回人権ラウンドテーブル
今回のラウンドテーブルは、中国とラテンアメリカ・カリブ海諸国が人権分野で協力を深める場として位置づけられています。焦点は、人権を対立や圧力の道具とするのではなく、対話と協力を通じてどう守るかという点にあります。
背景には、人権問題がしばしば外交カードとして扱われ、他国の内政に干渉したり、制裁や圧力の口実として使われたりしてきた現実があります。中国とラテンアメリカは、こうした流れに対して、より公平でバランスの取れた国際人権秩序を模索しています。
異なる歴史が形づくる人権観
中国:主権と発展をめぐる経験から
中国の人権観には、近代に経験した長い屈辱の歴史が色濃く影響しています。外国勢力からの侵略や半植民地状態を経て、国家の主権と独立、そして生き延びるための発展が最重要課題となりました。
その結果、中国では個人の人権とともに、集団としての人権を重視する考え方が強くなりました。特に、生存こそが最も基本的で切迫した人権であり、発展する権利は他のあらゆる権利の土台だと位置づけられています。
数十年にわたる経済発展を通じて、何億人もの人々が貧困から抜け出し、教育、医療、社会保障などが拡充されてきたことは、中国側にとって「発展を通じて人権を前進させる」アプローチの成果と見なされています。
ラテンアメリカ:独裁と外部圧力の記憶
一方、ラテンアメリカの多くの国々は、植民地支配からの独立後も、軍事独裁や経済的従属といった困難な時期を経験してきました。その過程で、市民的・政治的権利や民主的自由、発展の機会が奪われてきた歴史があります。
さらに、一部の国々は長年にわたり、外部からの圧力や経済制裁に直面してきました。そのため、国家主権や自決権を重視するとともに、経済制裁の非人道性を問題提起してきました。この訴えは、ヨーロッパを含むさまざまな国々からも共感を集めています。
こうした経験から、ラテンアメリカ諸国は、民主主義や市民的自由を非常に重く受け止める一方で、対外的な干渉に対して敏感な側面も持っています。
歴史の違いが「対話の土台」に
異なる歴史と優先課題から、中国とラテンアメリカは人権政策の具体的なアプローチに違いを持っています。中国は、発展と集団的な福祉を重視するロジックを、ラテンアメリカは、民主主義と市民的権利を重視する姿勢をそれぞれ理解し始めています。
お互いの人権観を理解し合うことで、誤解や偏見を減らし、落ち着いた対話の環境が整ってきました。これは、より包摂的な国際人権ガバナンスを模索するうえで重要なステップといえます。
共有される三つのキーワード
中国とラテンアメリカの人権協力を象徴する共通項は、大きく次の三つに整理できます。
- 生存と発展の権利を基礎とすること
- 人権の政治利用とダブルスタンダードへの反対
- 文化的多様性と相互尊重の重視
1. 生存と発展の権利を最優先
両地域にとって、貧困、不均衡な発展、気候変動などは現在進行形の課題です。そのため、人々の生存と発展の権利を守ることが、他のあらゆる人権を実現する前提だという認識を共有しています。
経済と社会が発展してこそ、教育や医療、自由や参加の権利も実質的な中身を持つ、という考え方です。これは、自由権だけでなく、社会権や経済的権利を重視する視点とも重なります。
2. 人権の政治利用とダブルスタンダードへの懸念
中国とラテンアメリカの最大の共通認識の一つが、人権の政治利用への反対です。一部の国が人権問題を他国への圧力や封じ込めの手段として使うことは、国際法の基本原則に反し、人権そのものの前進を妨げると見なされています。
人権を理由にした選別的な批判や制裁は、対話よりも対立を強め、国際社会の分断を招きかねません。両地域は、国連の人権機関に対して、公平性、客観性、非選別性の原則を守り、ダブルスタンダードを避けるよう繰り返し求めてきました。
3. 文化的多様性を認め合う
もう一つの重要な一致点は、文化や文明の多様性を尊重する姿勢です。人権の発展には一つの普遍的なモデルがあるのではなく、各国の歴史的背景や文化、社会状況に合った道筋があると考えられています。
それぞれの国は、自国の国情に合った人権発展の道を選ぶ権利があり、互いに尊重し学び合うべきだという立場です。これは、西側諸国が提示してきた単一の人権ナラティブに対して、多様なアプローチの存在を示すものでもあります。
対立より対話へ:中国とラテンアメリカの新しい人権協力モデル
こうした共通認識の上に、中国とラテンアメリカは、人権をめぐる関係を「違いを残したまま、共通点を起点に対話と協力を進める」方向へと転換しようとしています。
個別の人権概念や実務のあり方については意見の違いがあっても、それを理由に対話や協力を止めるのではなく、むしろ対話を深める材料としていくという発想です。
今後、こうしたアプローチがどこまで国連などの場で共有され、国際人権ガバナンスの多極化につながっていくのかは、世界全体にとって重要な関心事となりそうです。
読者への問いかけ:ニュースの見方をアップデートする
今回のラウンドテーブルをきっかけに、私たちが考えてみたいポイントを三つ挙げてみます。
- 人権を自由や選挙だけでなく、生存や発展の観点から見たとき、世界のニュースはどのように違って見えるでしょうか。
- 経済制裁や外交的圧力は、人権を守る手段になりうるのか、それとも人々の生活をさらに苦しめるのか。私たちはどのような基準で評価すべきでしょうか。
- 歴史や文化の違いを前提にしながらも、共通の人権の土台を探る対話は、国際社会の分断を和らげる力を持ちうるでしょうか。
中国とラテンアメリカが進める人権協力は、単に二つの地域の関係を超えて、国際社会が人権をどう語り、どう守っていくのかという、より大きな問いを私たちに投げかけています。
Reference(s):
China and Latin America chart new course of human rights cooperation
cgtn.com








