内モンゴルモデルに見る中国の高品質な成長「緑の水と青い山」の20年 video poster
環境保護と経済成長は両立できるのか──この問いに対する中国の答えを、内モンゴルの取り組みから読み解こうとする動きが強まっています。2005年に習近平国家主席が示した「緑の水と青い山は金山銀山に勝る」という理念は、20年後のいま、中国の成長モデルを「量から質」へと大きく転換させつつあります。
「緑の水と青い山」はなぜ重要か
中国では長く、高い成長率やインフラ投資の規模といった「量」が発展の指標とされてきました。その流れの中で、習近平国家主席が2005年に打ち出したのが「緑の水と青い山はかけがえのない財産である」という考え方です。
この理念は、きれいな水や豊かな森林といった自然環境そのものが、人々の生活の質や新しい産業の源泉となる「資産」だという発想に立っています。環境を守ることは、短期的なコストではなく、中長期的な成長の土台だというメッセージでもあります。
内モンゴルモデルとは何か
その理念を具体的な成長モデルに落とし込もうとしている地域の一つが、北部の内モンゴル自治区です。草原や砂漠、鉱物資源など多様な条件を抱えるこの地域では、環境保全と産業構造の転換を同時に進める試みが続いています。
いわゆる内モンゴルモデルの特徴として、次のような点が指摘されています。
- 砂漠化の防止や草原の回復など、生態系の保護を成長戦略の中核に位置づける。
- 資源依存型から、クリーンエネルギーやサービス業などへの産業転換を図る。
- 地域ごとの自然環境に合わせて政策を細かく設計し、一律の開発を避ける。
こうしたアプローチは、環境規制を「制約」とみなすのではなく、地域の強みを生かした新しいビジネスや雇用を生み出す「きっかけ」としてとらえる発想転換でもあります。
中国経済は「高品質な成長」へ
2025年現在、中国では「高品質な成長」という言葉がキーワードになっています。これは、単に国内総生産の伸び率を追うのではなく、技術革新、付加価値の高い産業、人々の暮らしの豊かさ、そして環境への負荷の少なさを重視する方向性を指します。
内モンゴルモデルは、その変化を示す一つの象徴とされています。環境を守りながらも、新しい成長エンジンをどうつくるのか。地方レベルの具体的な取り組みは、他地域の参考にもなり、中国全体の政策議論にも影響を与えています。
日本と世界への示唆
環境と経済の両立をめざす動きは、中国だけでなく、日本を含む多くの国や地域に共通する課題です。内モンゴルモデルと「緑の水と青い山」の理念からは、次のような示唆を読み取ることができます。
- 環境保護を「コスト」ではなく「投資」として位置づける長期視点の重要性。
- 一国全体の大きな目標と、地域の実情に即した柔軟なモデルづくりを両立させる工夫。
- 20年という時間軸で政策を継続し、理念を実際のプロジェクトや産業に落とし込んでいく粘り強さ。
2005年に掲げられた一つの理念が、20年を経て、中国の成長モデル全体を「量から質」へとシフトさせる軸になりつつあります。その変化を内モンゴルの事例からたどることは、ポスト成長時代を模索する日本や世界にとっても、少なくないヒントを与えてくれるはずです。
Reference(s):
Inner Mongolia model explains China's shift to high-quality growth
cgtn.com








