フィールズ賞オクーニコフが語る数学の未来と中国伝統文化 video poster
数学と文化、東と西。その境界線が薄れつつある今、フィールズ賞受賞者アンドレイ・オクーニコフ氏が北京でその未来像を語りました。北京で開かれた第3回国際基礎科学大会の会場で、CMGのワン・グアン氏が行った独占インタビューの内容を、日本語でかみ砕いてお伝えします。
北京で実現した独占対談
今回の対談は、北京で開催された第3回国際基礎科学大会の会場で行われました。ゲストは、数学界最高の栄誉とされるフィールズ賞の受賞者であり、中国科学院の外国人会員でもあるアンドレイ・オクーニコフ氏です。
聞き手を務めたのは、中国メディアCMGのワン・グアン氏。科学の最前線と文化の深層を横断するような問答を通じて、「これからの数学」と「東西をつなぐ文化」の姿が立ち上がってきます。
オクーニコフ氏が語る「これからの数学」
科学技術が急速に変化し続ける21世紀、数学はどこへ向かうのか――。オクーニコフ氏は、数学がより広い世界と結びつきながら進化していると強調します。
境界線がにじむ時代の数学
かつてははっきり分かれていた学問の境界は、ここ数十年で急速ににじみ始めています。物理学、情報科学、さらには生命科学や社会科学まで、さまざまな分野が数学的な発想や手法を必要としています。
オクーニコフ氏の視点は、こうした変化を「脅威」ではなく「チャンス」として捉えるものです。数学が他分野と対話するとき、これまで見えなかった構造やパターンが浮かび上がり、新しい問いが生まれるからです。
インタビューの中で浮かび上がったポイントをまとめると、次のようになります。
- 数学は抽象理論にとどまらず、他分野との出会いから新しい概念を獲得し続けていること
- 基礎研究と応用研究のあいだを往復することで、双方が豊かになること
- 予測困難な時代だからこそ、長期的な視野を持つ基礎科学の価値が高まっていること
学際研究がひらく地平
オクーニコフ氏が繰り返し強調したのは、「学際性」、つまり分野をまたいだ研究の重要性です。数学者が他分野の研究者と協力することで、単独ではたどり着けない発見やアイデアが生まれます。
若い研究者へのメッセージ
若い研究者や学生に対して、オクーニコフ氏の姿勢から伝わってくるのは、「自分の専門に閉じこもらないでほしい」というメッセージです。異なる分野の言葉や考え方に触れることで、自分の専門への理解も深まっていきます。
インタビューは、数学を学ぶ人だけでなく、日々変化する世界の中でキャリアや学び方を考えるすべての人にとって、ヒントに満ちた内容になっています。
中国伝統文化への深い共感
今回の対談で印象的だったのは、オクーニコフ氏が中国の伝統文化への深い敬意と共感を示していたことです。特に、書道や茶の湯に対する関心が語られました。
書と茶に見る「かたち」と「時間」
書道では、一画一画の線の太さやリズム、余白の取り方が、作品全体の美しさを決めていきます。茶の湯では、道具の配置や所作の順番、静けさの中に流れる時間そのものが大切にされます。
オクーニコフ氏は、こうした中国の伝統文化に、数学の思考と通じる精神性を見いだしているようです。厳密さと自由さ、形の美しさと偶然性のバランスを探る姿勢は、数式にも、書や茶の湯にも共通しているからです。
東西と科学と文化をつなぐ数学者
ロシア出身の数学者であり、中国科学院の外国人会員でもあるオクーニコフ氏は、まさに東西と科学と文化をつなぐ存在だと言えます。北京での対談は、その象徴的な場となりました。
第3回国際基礎科学大会のような場には、世界各地から研究者が集まり、アイデアを交換します。そこに、伝統文化への敬意と対話の姿勢が加わることで、科学は単なる技術競争ではなく、人類全体の知恵を育てる営みとして立ち上がってきます。
数学の未来、学際研究の可能性、そして中国の伝統文化へのまなざし――。オクーニコフ氏の言葉は、国境や分野を超えて「知ること・学ぶこと」の意味を問い直すきっかけを与えてくれます。忙しい日常の中でこそ、こうした対談から自分なりの問いを持ち帰りたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








