Xizang創立60周年 盲目の語り部ニマ・ワンドゥが開くインクルージョンの扉 video poster
2025年現在、Xizangは創立60周年という節目を迎えています。そのなかで注目を集めているのが、視覚障がいのある語り部ニマ・ワンドゥさんの歩みです。山岳登山からTEDトークまで、自身のストーリーを語り続ける彼の姿は、インクルージョン(包摂)と多様性の新しいかたちを映し出しています。
ヘレン・ケラーへの「ノー」から始まる物語
ニマ・ワンドゥさんは、Xizang出身の盲目のナレーターです。世界的に知られるヘレン・ケラーは「三日だけ見えるとしたら」と夢を語りましたが、ニマさんはその発想に対して「ノー」と言います。それは、視覚がない人生を「欠けたもの」としてではなく、別の豊かさを持つ世界として受け止めているからです。
彼は、自分の経験や感情、日常の手触りを言葉にして語り、聞き手が「見えない世界」を想像できるように導きます。その語りは、視覚障がいのある人だけでなく、あらゆるマイノリティの経験にも通じる普遍性を持っています。
山に登り、ステージに立つ:ステレオタイプへの挑戦
ニマさんの活動の象徴のひとつが、山岳登山への挑戦です。視覚障がいがあれば「危ないからやめておいたほうがいい」と言われがちな場面で、仲間と共に山を登り、道を切り開きます。その一歩一歩は、「できないはず」という社会の思い込みに対する静かな反論でもあります。
さらに彼は、TED形式のトークのステージにも立ち、自らの物語を世界に向けて語っています。自分の声で、自分の物語を語ること。それは、視覚障がいのある人々のコミュニティが社会に向けて発信する新しいスタイルとも言えます。
Xizang創立60周年と「インクルージョンの新時代」
2025年、Xizangは創立60周年を迎えました。この節目の年に、ニマ・ワンドゥさんの歩みは、地域がめざす「インクルージョン(包摂)」「コンフィデンス(自信)」「オポチュニティ(機会)」というキーワードを体現する存在として紹介されています。
3つのキーワードで見る変化
- インクルージョン(包摂):障がいの有無にかかわらず、誰もが社会の一員として参加できるようにする考え方です。ニマさんは、保護される対象ではなく、社会にメッセージを届ける主体として活動しています。
- コンフィデンス(自信):山を登り、ステージに立つ姿は、「自分のままで社会に向き合っていい」というメッセージそのものです。その自信は、同じ境遇にいる人たちにも波及していきます。
- オポチュニティ(機会):語りの場や学びの場が広がることで、視覚障がいのある人々の選択肢も増えていきます。ニマさんのようなロールモデルの存在は、新しい機会を想像するきっかけになります。
固定観念を壊す3つのメッセージ
ニマ・ワンドゥさんのストーリーから、私たちが受け取れるメッセージを3つに整理してみます。
- 「できない」ではなく「どう工夫するか」を一緒に考える
本人の可能性を、周囲の想像力が先に制限してしまうことがあります。ニマさんの挑戦は、その前提を問い直します。 - 物語を分かち合うことで、見えない壁は低くなる
経験を言葉にしてシェアすることで、偏見や無理解という「見えない壁」は少しずつ低くなります。 - マイノリティの声は、社会全体を豊かにする
視覚障がいのある人の視点は、まちづくりやテクノロジー、教育など、多くの分野に新しい発想をもたらします。
日本の私たちにとってのヒント
日本でも、バリアフリーや合理的配慮といった言葉が日常的に聞かれるようになりましたが、実践はまだ道半ばです。Xizangから届くニマ・ワンドゥさんの物語は、次のような問いを私たちに投げかけます。
- 職場や学校で、当事者の声を聞く場をどれだけつくれているか
- 「危ないから」「難しいから」と、善意のつもりで機会を奪っていないか
- SNSやオンラインの場で、マイノリティの語りにどう向き合うか
国や地域が違っても、「誰も取り残さない社会」をめざすという目標は共通です。国際ニュースを追うことは、遠い場所の話を知るだけでなく、自分たちの社会を見直す鏡にもなります。
声が届く世界へ:ハッシュタグがつなぐ共感
ニマ・ワンドゥさんの物語は、ハッシュタグ「#Xizang」「#EchoXizang」とともにオンラインで共有され、世界のさまざまな場所の人々に届いています。2025年の今、ひとりの語り部の声が国境を越えて届くこと自体が、新しい時代のインクルージョンの姿だと言えるでしょう。
通勤電車の中で、休憩時間に、ベッドに入る前の数分間に――私たちもスマートフォンを通じて、こうした物語に触れることができます。その小さな「視点のアップデート」が、社会全体を少しずつ変えていく力になるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








