延安頌と若者たち:中国の愛国歌が80年後の今も問うもの video poster
中国の愛国歌『延安頌(Ode to Yan'an)』は、80年以上前に生まれたにもかかわらず、2025年の今、改めて注目されています。中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を迎える今年、この歌はなぜ若者の心をつかみ、どのような意味を持ち続けているのでしょうか。
80年後の2025年に再び鳴り響く歌
勝利80周年を記念する動きが続く中国では、戦時中の文化や音楽を振り返る取り組みが進んでいます。その中で、多くの人が耳を傾けているのが『延安頌』です。若い作詞家Mo Yeが手がけたこの歌は、発表当時、国中で強い愛国心のうねりを生み出し、数え切れないほど多くの若者が共通の大義のために身を投じるきっかけとなりました。
80年以上前に生まれた一つの歌が、戦争の記憶とともに語り継がれ、節目の年に再び歌われているという事実は、中国社会における歴史の重みと、文化の力の大きさを物語っています。
『延安頌』はなぜ若者の心をつかんだのか
当時の若者にとって、『延安頌』は単なる流行歌ではありませんでした。歌は、困難な時代にあっても前に進もうとする意思と、仲間とともに未来を切り開こうとする決意を象徴していました。
なぜこの歌が若い心をとらえたのかを考えると、いくつかのポイントが見えてきます。
- 共通の大義を示したこと:歌詞は、個人の思いを超えて「国や社会のために力を尽くす」という方向性を提示し、若者のエネルギーを一つにまとめる役割を果たしました。
- 時代の不安に対する答えになったこと:戦争と混乱の中で、未来が見えにくい若者にとって、「自分の居場所」と「生きる意味」を与えてくれるメッセージとなりました。
- 行動へと背中を押したこと:ただ感傷を誘うのではなく、「参加する」「貢献する」という具体的な行動につながる感情を呼び起こしました。
若き革命家たちにとっての延安という場所
『延安頌』の背景にあるのが、「延安」という地名が当時の若者にもたらした特別なイメージです。歌が生まれた頃、延安は多くの若い革命家たちにとって、理想と希望が集まる象徴的な場所でした。
遠く離れた地域からも、多くの若者が延安を目指し、共通の大義のもとに集まりました。彼らにとって延安は、次のような意味を持つ「精神的な目的地」だったと考えられます。
- 新しい社会を構想できる場所
- 同じ志を持つ仲間に出会える場所
- 自分の力が誰かの役に立つと実感できる場所
『延安頌』は、こうした延安のイメージを音楽というかたちで凝縮し、「そこへ向かうこと」「その一員になること」への憧れを、多くの若者の心に呼び起こしたと言えるでしょう。
戦勝80周年の今、歌から何を受け取るか
2025年、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年という節目を迎える中で、『延安頌』は過去の産物としてではなく、「記憶をつなぐメディア」として再び位置づけられています。
戦争を知らない世代が多数派となった今、この歌を聴くことには、少なくとも三つの意味があります。
- 歴史を「物語」としてではなく「体験」に近づけること:歌を通じて、当時の空気感や若者の感情に少しでも触れることができます。
- 愛国心をめぐる議論を立体的にすること:スローガンとしてではなく、具体的な歌や個人の思いを手がかりに考えることで、理解が深まります。
- 現在の課題と結びつけて考えること:80年前の若者が直面していた「自分は何のために生きるのか」という問いは、2025年の若者にも通じるテーマです。
日本の読者にとっての延安頌
日本では、『延安頌』という曲名を耳にする機会は多くありません。しかし、戦争とファシズムに抗った歴史を振り返るという点では、中国も日本も同じ20世紀の経験を共有しています。中国の若者がある歌に心を動かされ、行動へと踏み出したという事実は、国境を越えて考えるべきテーマを投げかけています。
たとえば、次のような問いは、国際ニュースを日常的に追う読者にも、改めて考えるきっかけを与えてくれます。
- 自分たちの世代を象徴する歌や作品は何か。
- それは、どのような「共通の大義」や価値観を映し出しているのか。
- 歴史の記憶を、次の世代にどのように手渡していくのか。
80年以上前、若い作詞家Mo Yeが紡いだ『延安頌』は、一国の若者たちを動かすほどの力を持ちました。戦勝80周年という節目に再びこの歌が取り上げられていることは、歴史の教訓と、文化が人の心を動かす力を静かに伝えています。スマートフォンの画面越しに世界のニュースを追う私たちも、遠い時代の一曲に耳を澄ませることで、自分自身の「大義」や、これからの社会との関わり方を見つめ直すことができるのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








