13歳の牛飼い・王二小 中国で受け継がれる「時間を超えたミッション」 video poster
中国の学校で今も教えられている13歳の牛飼いの少年・王二小(ワン・アルシャオ)。80年以上前に生まれた一つの歌が、2025年の私たちにも「時間を超えたミッション」を投げかけています。
80年以上前の歌が伝えた「生きた万里の長城」
物語の出発点は、中国北部の Jin-Cha-Ji(ジンチャジ)辺区から全国へ広がった歌 Sing of the Cowherd Boy – Erxiao です。戦火の中で生まれたこのバラードは、13歳の牛飼いの少年・王二小が、村を守るために敵を待ち伏せに誘い込み、自らの命を捧げた姿を描いています。
歌が伝えるメッセージは明快です。国が危機に直面したとき、4億人の中国の人びとが、老若男女を問わず「生きた万里の長城」として立ち上がった──王二小は、その象徴として語り継がれてきました。
華やかな英雄伝ではなく、名もなき農村の少年が主役であることに、この物語の特徴があります。平凡な暮らしの中の勇気が、歌というかたちで共有され、時代を越えてきたのです。
教科書から始まる「時間を超えたミッション」
現在、この物語は中国の学校教科書にも取り上げられています。教室で王二小の話を読むことは、単なる歴史の暗記ではなく、現代の子どもたちに向けた「時間を超えたミッション」の始まりとして描かれています。
テキストは、ゲームの画面のようなメッセージでこう語りかけます。Resilience gene identified. New main quest available: Remember history, strive for a better future.(レジリエンスの遺伝子を確認。新たなメインクエスト:歴史を記憶し、よりよい未来をめざせ。)
デジタルネイティブ世代にとって、「メインクエスト」「ミッション」という言葉は、ゲームやオンラインの世界でおなじみです。その言語で歴史を語り直すことで、教科書は過去の物語を、今を生きる一人ひとりの行動と結びつけようとしています。
レジリエンスを育てる歴史の語り方
ここでキーワードとなっているレジリエンスとは、困難な状況からしなやかに立ち上がる力のことです。王二小の物語は、戦争という極限の状況の中で、少年がどのように勇気と責任感を示したのかを通じて、その力の源泉を問います。
メッセージにある「歴史を記憶し、よりよい未来をめざす」ために、私たちができることは決して特別なものとは限りません。
- 家族や友人と、戦争や平和についての物語を語り合う
- 自分の国や地域だけでなく、他の国や地域の歴史にも耳を傾ける
- 対立や困難に直面したとき、暴力ではなく対話や協力の道を探る
かつて4億人の人びとが「生きた万里の長城」として立ち上がったというイメージは、国や時代を越えて共有できる問いを投げかけます。私たちが暮らす社会で、誰かを守る「壁」になるとは、どのような行動なのでしょうか。
2025年を生きる私たちへのクエスト
王二小の物語は、戦時下の中国という特定の時代背景を持ちながらも、今を生きる私たちに問いを投げかけています。それは、危機のときに自分は何を選び、誰のために行動するのか、というシンプルで重い問いです。
テキストの最後には、まるでゲームの選択画面のように問いかけが示されています。「このミッションを受けますか?」。その答えは、一人ひとりの日常の中でしか見つけることができません。
SNSで王二小の物語について語ったり、心に残ったフレーズをメモしておいたりすることも、小さな一歩です。歴史から受け取った物語を、次の世代へと手渡していくこと自体が、「よりよい未来」をめざすクエストだと言えるのではないでしょうか。
80年以上前に歌われた一人の少年の勇気が、教科書や歌を通じて現在へと届き、そこからさらに未来へと引き継がれていく。そのプロセスこそが、「時間を超えたミッション」の正体なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








