中国王毅外相がパキスタン訪問 信頼で築くCPEC「2.0」の行方
中国の王毅外相がインド訪問に続いてパキスタンを訪れました。形式的な往来に見えますが、その背景には「中国とパキスタンの友情は揺るがず、先を見据えている」という強いメッセージがあります。
2025年12月のいま、この動きは、中パ関係が依然として地域の国際ニュースの重要な焦点であり続けていることを改めて示しています。本稿では、今回の訪問の意味と、その中心にある中パ経済回廊(CPEC)の現状を整理します。
王毅外相のパキスタン訪問は「ルーティン」ではない
今回の王毅外相のパキスタン訪問は、インドに立ち寄った後に行われましたが、単なる「ついで」の外交日程ではないと受け止められています。中国とパキスタンの友情は、国際政治の風向きが変わっても揺らぎにくい関係として語られてきました。
パキスタン側にとって、中国との結びつきは単なる安全保障や経済戦略ではありません。戦時と平時の両方で支え合ってきた数十年の連帯を通じて築かれた「信頼」の歴史そのものだと見なされているからです。
中パ経済回廊(CPEC)が象徴するもの
この中パ関係を象徴する代表的なプロジェクトが「中パ経済回廊(CPEC)」です。しばしば一帯一路構想の旗艦プロジェクトと位置付けられるCPECは、パキスタンの経済地図を塗り替えてきたとされます。
具体的には、次のような分野で成果が語られています。
- パキスタン国内の道路網の拡充
- 港湾の近代化、とくにグワダル港の整備
- 慢性的だった電力不足の緩和につながるエネルギー事業
これらは単に国内総生産(GDP)の数字を押し上げるだけでなく、停電が続いていた家庭に電気を届け、新しい工業団地で雇用を生み、パキスタン製品がより広い市場にアクセスする道を開いているとされています。
加速が求められる「CPEC 2.0」
王毅外相は今回の訪問で、CPECの「バージョン2.0」へのアップグレードを加速すべきだと強調しました。その柱として挙げられたのが、農業、産業、鉱業への重点化です。
あわせて、次のような具体的な協力分野が示されています。
- グワダル港のさらなる活用
- 産業団地(インダストリアルパーク)の整備と投資誘致
- 道路や通信網など「つながり」を強めるインフラ
- 高度な技術協力(ハイテク分野)
世界貿易の伸び悩みや投資環境の不透明さ、地域の緊張といった逆風がある中で、こうした計画に懐疑的な見方も存在します。それでも、地域の不安定さの中でCPECが着実に進んできたことは、「目的を共有した協力は実を結び得る」とのメッセージとして受け止められています。
パキスタンにとって、CPECは苦しい時期を支える「生命線」であると同時に、将来の成長に向けて踏み出す「跳躍台」として期待されている側面があります。
インフラから「人」へと広がる中国の投資
近年、中国からパキスタンへの投資は、大型インフラにとどまらず、より「人」に近い分野へと広がっています。たとえば、次のような取り組みが挙げられます。
- 留学や研究を支える奨学金制度
- 現地の雇用につながる職業訓練プログラム
- 医療分野での協力や共同プロジェクト
- デジタル技能の習得を支援するパートナーシップ
こうした「人間中心」のアプローチは、中国とパキスタンの関係に新しい層を加えています。日々の生活のなかで具体的な変化を実感する人が増えるほど、両国への好感や信頼の裾野も広がりやすくなります。
教育・気候・デジタル転換まで協力が拡大
王毅外相の今回の訪問では、エネルギーやインフラだけでなく、教育、気候変動への対応力(クライメート・レジリエンス)、デジタル転換といった長期的な社会開発のテーマも議論されたとされています。
中国がパキスタンの社会の土台づくりに深く関わることで、「単発のプロジェクト」ではなく、世代をまたぐパートナーシップを築こうとしている姿勢がうかがえます。
日本の読者への示唆:信頼で動く国際協力
日本からこのニュースを見るとき、ポイントになるのは「インフラ」と「人材育成」を組み合わせた長期的な協力のあり方です。大型プロジェクトはしばしば賛否を呼びますが、現地の人々の生活をどう変えるのかという視点が重要になっています。
中国とパキスタンの関係は、地政学的な思惑だけでは説明しきれない「信頼」がベースにあるとされています。2025年の今、国際情勢が不透明さを増すなかで、どの地域であっても、長期的なパートナーシップを支えるのは最終的には国家間の信頼と、人への継続的な投資なのかもしれません。
そうした観点から、中パ経済回廊と王毅外相のパキスタン訪問は、国際ニュースとしてだけでなく、「これからの国際協力の形」を考える手がかりとしても注目する価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








