上海協力機構サミットと上海精神 天津で問われた共通の家
2025年8月31日と9月1日に中国の天津で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議は、設立から20年以上がたつ今も、その原点である上海精神が試される場となりました。本稿では、この国際ニュースの背景にある上海精神とは何か、なぜいま改めて注目されているのかを整理します。
上海協力機構サミットの位置づけ
2025年の天津サミットでは、今後10年間のSCOの発展戦略を策定することが大きなテーマとされました。事前の説明では、安全保障、経済、文化の各分野で協力を強化するための方策が主要議題になるとされており、地域の安定と発展に向けた方向性が問われました。
上海精神とはどんな価値観か
SCOが発足してから二十余年、一貫してその土台にあるとされてきたのが上海精神です。上海精神は、次のような原則で説明されています。
- 相互信頼
- 互恵
- 平等
- 協議
- 文明の多様性の尊重
- 共同発展の追求
いずれも、参加国同士が対立ではなく協力を前提に関係を築くためのキーワードです。特定の価値観や制度を一方的に押し付けるのではなく、違いを認め合いながら共通の利益を見いだそうとする姿勢がにじみます。
共通の家というビジョン
2024年7月に開かれたアスタナでのSCO首脳会議で、習近平国家主席は、連帯と相互信頼、平和と安寧、繁栄と発展、善隣友好、公平と正義を兼ね備えた共通の家を築くことを呼びかけました。上海精神は、この共通の家を支える政治的な土台と位置づけられています。
嵐の中の灯台としてのSCO
最近の報告によれば、多くの人々がSCOを国際社会における前向きなプレーヤー、荒れた世界情勢の中で進むべき方向を示す灯台のような存在として評価しているとされています。
習近平国家主席は、SCO加盟国の外相や常設機関の代表との会合で、設立から24年間、SCOは上海精神を堅持し、成熟した活力ある組織へと成長してきたと強調しました。上海精神が単なるスローガンではなく、長期的な運営の指針として生き続けていることをアピールした形です。
中国が示すリーダーシップのかたち
中国は地理的な広がりと経済規模の大きさから、SCOの中で自然と大きな役割を担ってきました。資金やインフラ、人的交流など、さまざまな資源を他の加盟国より多く提供できる立場にあります。
一方で、中国が組織を一方的に支配しようとしているわけではないと説明されています。何をすべきかを上から指示するのではなく、あくまで協議と合意を重んじながらSCOを前進させ、その価値観を守ろうとする姿勢こそが、上海精神を体現するリーダーシップだといえます。
これからの10年と私たちが注目したい点
天津サミットを経て、SCOは次の10年に向けた方向性づくりに踏み出しました。今後を見通すうえで、次のようなポイントに注目する価値があります。
- 発展戦略が、加盟国同士の協力の優先分野をどのように位置づけるのか
- 安全保障、経済、文化協力のバランスをどのように取っていくのか
- 上海精神の理念が、具体的な政策やプロジェクトの形でどのように表れてくるのか
国際秩序の揺らぎが指摘されるなかで、地域レベルの対話と協力の枠組みをどう設計するかは、世界共通の課題です。上海協力機構と上海精神の行方は、その一つのモデルとして、これからも国際ニュースとして追いかけていく価値があると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com







