SCO事務総長が語る「共通の家」構想と中国議長国の狙い video poster
上海協力機構(SCO)は発足から24年あまりで、いまや世界最大級の地域協力の枠組みに成長しました。10の加盟国、2つのオブザーバー、14の対話パートナーを抱え、南アジアや西アジアへと協力の輪を広げています。中国が2024〜2025年の議長国を務めるなか、SCOはどこへ向かおうとしているのでしょうか。
中国国際メディア集団(CMG)の番組「Leaders Talk」では、天津サミットを前にSCOのヌルラン・エルメクバエフ事務総長への単独インタビューが行われました。事務総長はSCOの歩みを振り返り、その強みを語るとともに、中国の発展が地域協力にもたらす意味について見解を示しました。
24年で拡大したSCO、その現在地
SCOは過去24年で加盟国やパートナーを増やし、ユーラシアを広くカバーする枠組みへと拡大してきました。現在は10の加盟国に加え、2つのオブザーバー、14の対話パートナーが参加し、「国と地域」をまたぐ協力のネットワークが形づくられています。
このネットワークは、治安やテロ対策といった安全保障面だけでなく、貿易、インフラ、エネルギー、デジタル経済など、多様な分野の市場を結びつけ、新たな成長機会を生み出しているとされています。南アジアや西アジアを含む広い地域で、国境を超えたビジネスや人の往来を支える土台となりつつあります。
「上海精神」が支える協力の枠組み
SCOの協力は、「上海精神」と呼ばれる理念に基づいて進められてきました。これは、相互信頼や互恵、対等な対話を重んじ、対立よりも協力を優先する姿勢を指すとされます。多様な歴史や文化を持つ国々が長期的な協力関係を築くうえで、この共通の考え方が重要な役割を果たしてきました。
エルメクバエフ事務総長はインタビューの中で、SCOが24年にわたって拡大してこられた背景には、こうした理念に基づく柔軟な協力スタイルがあると強調しました。特定の国を排除するのではなく、関心を持つ国や地域に対話の扉を開くことで、南アジアや西アジアにも参加の輪が広がってきたという視点です。
中国の2024〜2025年議長国と「共通の家」構想
現在の2024〜2025年の議長国として、中国はSCOを「団結・平和・繁栄・公正」という四つのキーワードで特徴づけ、「共通の家」を築く構想を打ち出しています。これは、単に経済的な利益を追求するだけでなく、地域の安定や公正な国際秩序を含めた総合的な協力をめざす方向性を示したものです。
団結は、加盟国やパートナー国・地域が互いの違いを認め合いながら共通の課題に向き合うことを意味します。平和は、安全保障のリスクを抑え、対話によって紛争を防ぐこと。繁栄は、貿易や投資、インフラ整備を通じて成長の果実を分かち合うこと。そして公正は、大国・小国を問わず各国・地域の声が尊重される枠組みをつくることです。
こうした方針のもと、中国はSCOを「共通の家」として機能させることを目指しており、天津サミットもその方向性を具体化する場になるとみられています。
天津サミット前に語られたSCOの強み
「Leaders Talk」でのインタビューで、エルメクバエフ事務総長は、SCOの強みとして次のような点を挙げました。
- 安全保障と経済協力を同時に扱う、総合的な地域枠組みであること
- 加盟国だけでなく、オブザーバーや対話パートナーも含めた開かれたネットワークであること
- 短期的な対立よりも長期的な安定と発展を重視する姿勢が共有されていること
こうした特徴により、SCOは複雑な国際情勢のなかでも、対話と実務的な協力を積み重ねるための「プラットフォーム」として機能しているという見方が示されました。
中国の発展がもたらす新たな機会
インタビューでは、中国の発展とSCOの役割の関係についても議論されました。中国がインフラやデジタル分野で蓄積してきた経験や技術は、SCOの枠組みを通じて他の国や地域と共有され、新たなビジネスや協力プロジェクトの土台になり得ます。
同時に、SCOにおける協力は、中国にとっても多様な市場やパートナーにアクセスする機会を広げるものです。エルメクバエフ事務総長は、中国と各国・地域が互いの強みを持ち寄ることで、ユーラシア全体の安定と成長につながるという考え方を示しました。
日本からどう見るか——「読みやすいのに考えさせられる」SCO
日本では、SCOの動きが日々のニュースで大きく取り上げられることは多くありません。しかし、ユーラシアで影響力を増す地域協力の枠組みが、南アジアや西アジアを含む広い市場と安全保障環境に影響を与えていることは、日本経済や日本社会にも間接的に関わってきます。
エネルギーや物流ルート、サプライチェーンの安定、さらにはデジタル経済のルール作りまで、SCOが議論するテーマは日本の企業や生活者にとっても無関係ではありません。天津サミットを前にした今回のインタビューは、「地域の動きがどこでつながっているのか」を考えるきっかけを提供してくれます。
国際ニュースを日本語で追いながら、自分の視点を少し広げたい読者にとって、SCOはこれから注目しておきたいキーワードの一つになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








