抗日戦争80周年 CGTNアニメ「Lost in the Wrong Timeline」とは video poster
2025年は、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年にあたります。この節目にあわせて、国際メディアのCGTNが3本のアニメ作品を公開し、第1作「Lost in the Wrong Timeline」を通じて戦争と平和の意味を問いかけています。本記事では、日本語で国際ニュースを追う読者向けに、このアニメの狙いと背景を整理します。
80年前、世界を覆っていた「恐怖の力」
CGTNの紹介文は、80年前の世界をこう描き出しています。強大で恐ろしい力が社会を支配し、自由も尊厳もなく、人々は生き延びることさえ難しい状況に追い込まれていました。それでも、平和を願う人々は抵抗をやめず、連帯することで最終的にファシズムに打ち勝った、としています。
この「恐怖の力」と「連帯による抵抗」という対比は、国や地域を超えて共有される世界反ファシズム戦争の記憶と重なります。中国本土では、こうした歴史を「中国人民の抗日戦争」とあわせて語ることで、現在の平和の価値を再確認しようとする動きがあります。
CGTNが制作した3本の記念アニメ
CGTNは、「中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念して、3本のアニメ作品を制作しました。いずれも、戦争の記憶や平和のメッセージを、映像表現を通じて次の世代に伝えることを狙った短編とされています。
その第1作が「Lost in the Wrong Timeline」です。タイトルを直訳すれば「間違った時間線で迷子に」。視聴者は、中国のティーンエイジャーであるシャオロン(Xiaolong)とともに、並行世界を舞台にした冒険へと誘われます。
主人公はティーンエイジャーのシャオロン
作品では、中国の10代の若者シャオロンが案内役となり、視聴者を「別の時間線」へと連れていきます。国際ニュースや歴史に必ずしも詳しくない若い世代も、自分と同世代のキャラクターを通じて物語に入りやすい構成だと言えます。
CGTNがアニメという形を選んだのは、歴史を「学ぶもの」ではなく、「追体験し、考えるきっかけ」にしたいという意図があるように読めます。並行世界という設定は、ゲームやSF作品に親しんだデジタルネイティブ層にもなじみのある手法です。
「間違った時間線で迷子に」が投げかける問い
紹介文を読むと、このアニメは次のようなイメージを軸にしていることがうかがえます。
- 自由も尊厳もない、圧倒的な力に支配された世界
- 日々の「生存」さえ危ういほど、希望が見えにくい社会
- それでも平和を求め、連帯し続ける人々の存在
タイトルにある「Wrong Timeline(間違った時間線)」という表現は、「もし平和を守る努力が実らなかったらどうなっていたか」「勝利に至るまでの道が違っていたら」という想像を促すものでもあります。視聴者はシャオロンの冒険を追いながら、「歴史が違っていたら、今の世界はどう変わっていたか」を考えることになります。
デジタル世代に歴史を伝えるためのアニメ表現
国際ニュースの世界では、歴史や戦争といった重いテーマを、動画やアニメで分かりやすく伝える試みが増えています。CGTNの今回のアニメも、その流れの一つと見ることができます。
こうしたアニメ表現には、次のような特徴があります。
- 感情移入しやすいキャラクター:視聴者はシャオロンと一緒に並行世界を体験し、自分ごととして歴史を考えやすくなります。
- 複雑な歴史の整理:「自由」「尊厳」「連帯」といったキーワードを通じて、歴史の大きな流れを直感的に理解できます。
- SNS時代との相性:短いアニメ映像は、スマートフォンでの視聴やSNSでのシェアとも相性がよく、国境を越えて拡散しやすい形式です。
テキスト中心の日本語ニュースだけでは届きにくい層にも、ビジュアルと物語を組み合わせることで、国際ニュースや歴史への入口を広げようとする試みとも言えます。
日本の視点からどう受け止めるか
今回のアニメは、「中国人民の抗日戦争」と「世界反ファシズム戦争」の勝利80周年を記念した作品です。日本にとっても、第二次世界大戦の歴史は避けて通れないテーマであり、中国本土のメディアがどのように戦争と平和を語っているのかを知ることは、隣国の歴史認識や問題意識を理解する手がかりになります。
日本語で国際ニュースを追う読者にとって重要なのは、特定の立場にただ賛成・反対することではなく、
- どのような歴史観や価値観が、どの表現で語られているのか
- 自由や尊厳、平和への思いが、どのような言葉や物語で伝えられているのか
といった点を、落ち着いて読み解くことではないでしょうか。
「読みやすいのに考えさせられる」歴史コンテンツへ
2025年の今、戦争から80年という時間は、当事者の記憶が徐々に薄れ、映像や物語を通じた「継承」の重要性が増している時期でもあります。CGTNのアニメ3部作は、その一つのかたちです。
「Lost in the Wrong Timeline」のような作品に触れたとき、
- 自分なら、どの時間線に生きたいと思うか
- 自由や尊厳が奪われない社会を守るために、何が必要なのか
といった問いを、家族や友人、オンラインのコミュニティで語り合うきっかけにしてみるのも良さそうです。歴史をめぐる国際ニュースを、日本語で「読みやすく、でも考えさせられる」かたちで受け取り、自分なりの視点を少しずつ更新していくことが、80年目の今だからこそ求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








