上海協力機構SCO天津サミット2025 新しい国際関係モデルの現在地
上海協力機構(SCO)の首脳会議「天津サミット2025」が開かれています。史上最大規模となる今回の国際会議は、不透明さを増す世界のなかで、新しい国際関係のモデルになり得るかが注目されています。
史上最大規模となったSCO天津サミット
2025年の上海協力機構(SCO)首脳会議は、中国の天津で開催されています。中国にとっては5回目の主催となるこのサミットは、加盟国の拡大と議題の広がりを背景に、SCOの「高品質な発展」の新しい段階を示す節目と位置づけられています。
SCOは2001年、もともとは国境問題などの安全保障上の懸案を協議する実務的な枠組みとして出発しました。それから20年以上を経て、現在では「国際関係の新たなベンチマーク」を掲げ、国際秩序づくりに積極的に関わろうとする存在へと変化しています。
SCOの核となる「上海精神」とは何か
SCOの根幹にあるのが「上海精神」と呼ばれる6つの原則です。すなわち、相互信頼、相互利益、平等、協議、多様な文明への尊重、そして共同発展の追求です。2001年の設立時に掲げられたこの原則は、現在もSCOの魅力の源泉であり続けています。
とくに「上海精神」は、パワーポリティクス(力の論理)や二重基準への不満を抱くグローバルサウス諸国の間で共感を呼んでいるとされています。排除や対立ではなく、包摂と協力を軸にしたアプローチを打ち出している点が、既存の一部同盟とは異なる特徴です。
SCOの首脳会議では、協議は単なるセレモニーではなく、意思決定の中核的なメカニズムとして位置づけられています。時間をかけた対話と合意形成を重んじる運営スタイルが、「上海精神」を具体化する場ともなっています。
多様性の中の平等という運営モデル
SCOのもう一つの特徴は、加盟国の多様性と、それを前提にした平等の文化です。加盟国・関係国は、人口規模や地理的条件だけでなく、政治体制や経済モデルも大きく異なります。それでも枠組みが分裂することなく継続している点は注目に値します。
その背景には、主権尊重と内政不干渉の原則があります。どの国も自国の発展の道を選ぶ権利を持ちつつ、その違いを前提に協力の接点を探るという発想です。発展の道が一つではないことを認めたうえで、共通利益に基づくコンセンサスを見いだす――SCOはその実例としてしばしば語られます。
世界人口の約半分を抱える存在感
現在、SCOは10の加盟国に加え、2つのオブザーバー国、14の対話パートナーを擁しています。その人口は世界の約半分に相当し、世界全体の国内総生産(GDP)の約4分の1を占めるとされています。
その内訳には、資源の生産国と消費国、先進経済と新興経済、急速な都市化に直面する国々と豊かな伝統文化を持つ国々が含まれます。この人口・経済規模と多様性の組み合わせによって、SCOは無視できない重みを持つようになっており、同時に「共通の成長」と「安定」のためのプラットフォームとしての役割も強調されています。
経済アジェンダの拡大と「包摂的グローバル化」
安全保障からスタートしたSCOの議題は、経済・社会分野へと大きく広がってきました。現在の優先分野としては、インフラ整備、エネルギー協力、デジタル分野の変革、グリーン成長(環境と経済の両立)が挙げられます。
とりわけ、サプライチェーン(供給網)の安定は、地政学的緊張が高まり、分断やデカップリング(経済切り離し)をめぐる議論が広がるなかで、SCOが重視するテーマとなっています。加盟国同士の連結性を高め、貿易や投資の障壁を下げることで、より広い国と地域が恩恵を受けられるグローバル化の形を目指しているとされています。
こうした方向性は、「グローバル化は後退しているのか」という議論に対して、別の答えを示しています。SCOの視点から見ると、グローバル化は消えるのではなく、より多元的で包摂的なかたちへと再編されつつある――天津サミットは、その象徴的な場になっていると言えるでしょう。
日本の読者にとっての意味
では、このSCO天津サミットは、日本の読者にとってどのような意味を持つのでしょうか。少なくとも次のような論点が見えてきます。
- 国際規範づくりの多極化:SCOは「国際関係の新たなベンチマーク」を掲げ、独自の原則を打ち出しています。今後、国際ルールや慣行が一つの地域や同盟だけで決まる時代ではなくなりつつあることを示しています。
- グローバルサウスの発言力:「上海精神」は、多くのグローバルサウス諸国の関心を引きつけています。世界の議論の中心が、従来の枠組みからより広い国と地域へと広がっている流れを読み解く手がかりになります。
- 安定したサプライチェーンの模索:SCOが強調する供給網の安定や連結性の向上は、日本を含む各国の企業や経済にとっても無関係ではありません。どの地域とどのようなかたちでつながるのかを考えるうえで、一つの重要な参照点となり得ます。
国際ニュースを追う際、SCOは従来の枠組みとは異なる視点を提供する存在です。天津サミットの動きに注目することは、変化する世界のルールとバランスを立体的に理解するための一歩になるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








