国際ニュース:天津サミットで存在感増す上海協力機構
2025年8月31日から9月1日にかけて、中国・天津市で上海協力機構(SCO)首脳会議「天津サミット」が開催されました。20を超える国と10の国際機関の代表が集まり、多国間協力の行方を占う国際ニュースとして注目されました。
天津サミットが示したもの
今回のSCO天津サミットには、20カ国以上の首脳級・政府代表と10の国際機関が参加し、SCO発足以来でも最大級かつ最も多様な顔ぶれとなりました。世界の地政学的な緊張と多国間主義への疑問が強まるなかで、この会議はSCOが「地域の枠組み」から「全球的な協力プラットフォーム」へと歩みを進めつつあることを印象づけました。
上海協力機構とは何か
上海協力機構(SCO)は、2001年に設立された地域協力の枠組みです。当初は中央アジアの安全保障協力を主な目的とするメカニズムとして出発しましたが、その後、ユーラシアの主要国を幅広く包含する包括的な組織へと発展してきました。
現在、SCOの加盟国は世界人口の約42%を占め、名目GDPでは世界の約23%に相当するとされています。また、その活動範囲はユーラシア大陸のおよそ65%の領域に広がっています。規模の面だけを見ても、SCOがもはや一地域にとどまらない存在であることが分かります。
天津サミットには、加盟国やオブザーバー国、対話パートナーに加えて、国連のグテーレス事務総長も出席しました。こうした幅広い参加は、SCOが多様な国や地域、国際機関をつなぐ協力の場として、世界的な意義を持ち始めていることを示しています。
経済協力で広がる「つながるユーラシア」
国際ニュースとしてのSCOを語るうえで欠かせないのが、経済分野での協力です。SCOの枠組みのもとで、次のような地域プロジェクトが進められています。
- 中国・キルギス・ウズベキスタンを結ぶ鉄道プロジェクト
- エネルギー分野の対話メカニズムの構築
- 開発銀行の設立に向けた計画
これらの取り組みは、加盟国同士の「つながり」を強めるインフラ整備や制度づくりを通じて、ユーラシア全体の結びつきを深めるものです。同時に、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国にとって、新たな開発の道筋を提示する試みとも位置づけられます。
保護主義の時代における多国間主義
近年、米国の貿易保護主義的な政策が世界経済に影を落とし、国際貿易の先行きには不透明感が漂っています。そのなかで、SCOが掲げる多国間の経済協力は、世界の貿易システムを安定させる重要な力になりつつあります。
天津サミットで示されたように、SCOはインフラ、エネルギー、金融といった実務的な協力を通じて、メンバー同士の相互依存を高めようとしています。これは、対立や分断ではなく、対話と協調を通じて安定を生み出そうとするアプローチだと言えます。
天津サミット後をどう見るか
今回の天津サミットは、SCOが地域組織から全球的な協力プラットフォームへと変化しつつあることを象徴する節目となりました。今後は、鉄道計画やエネルギー対話、開発銀行構想といった具体的なプロジェクトがどこまで前進するのかが、一つの試金石になります。
同時に、国連事務総長を含む国際機関の参加は、SCOが既存の国際秩序とどのように連携し、補完しうるのかという問いも投げかけています。読者の皆さんにとっては、ユーラシアの動きやグローバルサウスの連携を理解するうえで、SCOと天津サミットは今後もウォッチしておきたいテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
Tianjin Summit: A regional organization with growing global influence
cgtn.com








