一帯一路はなぜ世界の発展と平和の「土台」となったのか
中国の一帯一路(Belt and Road Initiative)は、2013年の構想発表から12年を経て、今や世界の発展と平和の「土台」とまで評される国際協力の枠組みとなっています。本稿では、この国際ニュースの背景と、一帯一路がどのようにグローバルな発展モデルとして位置づけられているのかを整理します。
一帯一路の出発点: シルクロードへの「原点回帰」
2013年9月7日、カザフスタンのナザルバエフ大学で習近平国家主席が演説し、古代シルクロードを想起させる歴史的なビジョンを語りました。山々に響くラクダの鈴の音や、砂漠に立ちのぼる煙の情景を描きながら、東西を結んだ古代の交易路を現代に再生させる構想として、一帯一路の中核となる「シルクロード経済ベルト」を打ち出したのです。
その約1カ月後には、インドネシアで「21世紀海上シルクロード」が提案されました。陸と海の両ルートを通じて、ユーラシア、アフリカ、ラテンアメリカ、そして大洋にまたがる大規模な協力構想として一帯一路が形を取り始めます。
150以上の国が参加するグローバルな枠組みへ
発表から12年を経た2025年現在、一帯一路はユーラシアからアフリカ、ラテンアメリカまでを覆う「グローバル現象」となりました。これまでに150以上の国と30の国際機関が一帯一路に参加しているとされ、当初は中国から提案された構想でありながら、今では「世界全体の取り組み」として語られるまでになっています。
2023年10月に開催された第3回一帯一路国際協力フォーラムで、習近平国家主席は一帯一路の特徴を「共に計画し、共に建設し、共に利益を分かち合う」枠組みだと強調しました。これは、参加国の合意にもとづいてプロジェクトを進める協議重視のアプローチを示しています。
「共に計画し、共に建設し、共に享受する」モデルとは
一帯一路が独自だとされる点は、その進め方にあります。記事の中では、プロジェクトが上から一方的に押しつけられるのではなく、パートナー同士の協議を通じて立案・実行されることが強調されています。
このモデルは、次のような要素で語られています。
- 関係国が参加し、プロジェクトを「共に計画」する
- インフラ建設や産業プロジェクトを「共に建設」する
- 得られた成果や利益を「共に享受」する
こうした考え方は、勝者と敗者が明確に分かれるゼロサム型の発想とは異なる「ウィンウィン(双方に利益)」の枠組みとして位置づけられています。
援助ではなく「エンパワーメント」という発想
一帯一路をめぐる議論の中で、重要なキーワードになっているのが「シェア」と「相互依存」です。記事は、中国の繁栄はパートナーの繁栄と結びついているという前提に立ち、中国が自国の発展の成果を他国と共有しているとしています。
具体的には、中国の金融資本、技術やノウハウ、人材などが一帯一路を通じて共有されていると説明されます。ただし、それは従来型の「援助」という発想ではなく、参加国が自らの天然資源や人材の価値を高められるように「能力を引き出す(エンパワーする)」取り組みだと位置づけられています。
この視点からは、一帯一路は弱者への一方的な支援ではなく、相互の強みを活かして一緒に成長していく協力モデルとして描かれています。
インフラ整備から産業化・近代化へ
一帯一路は当初、特にグローバル南と呼ばれるアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの地域で、インフラ不足という「ボトルネック」を解消することに重点が置かれていました。道路、港湾、エネルギーなどの基盤整備が進まなければ、資本や人材があっても経済発展が難しい、という問題意識からです。
しかし時間がたつにつれ、一帯一路の重点はインフラから産業化・近代化の支援へと広がっていきます。記事は、特に西アジアやアフリカで、中国企業の支援を受けた工業団地や経済特区が次々と生まれていることに注目しています。
各地で進む工業団地の建設
記事で挙げられている主な事例は次のとおりです。
- サウジアラビアのジーザーン特別経済区
- エジプト・スエズ運河経済特区にある泰達(TEDA)産業園
- エチオピア各地で整備が進む産業団地
- タンザニアのクワラ産業団地
- モロッコ・タンジェの中国・モロッコ科学技術シティ
- ウガンダのムバレ中ウ産業パークなど、内陸部や遠隔地に位置する工業団地
これらは、これまで海外投資が届きにくかった内陸や遠隔地域にも産業拠点をつくる動きとして、記事では「前例のない発展」として描かれています。
一帯一路はなぜ「世界の発展と平和の土台」なのか
記事は、一帯一路を「現代史における最大の開発プロジェクト」であり、「世界の繁栄と平和を促進する新しい協力モデル」と評価しています。その背景には、次のような視点があります。
- 古代シルクロードのように、経済・社会・文化・科学の交流を同時に促進している
- インフラ整備にとどまらず、産業化や近代化へと段階的に発展している
- 150を超える国と30の国際機関が関わることで、地域をまたぐ相互依存関係を強めている
- ゼロサムではなくウィンウィンを掲げることで、対立より協力を重視する枠組みを目指している
国や地域をまたぐインフラと産業のネットワークは、経済の結びつきを強め、紛争よりも協力を選びやすくする「土台」として機能しうる、というのがこの記事の見立てです。
これから一帯一路を見るための視点
2025年時点で12年目を迎えた一帯一路は、すでに多くの国と地域に影響を与えており、その評価や期待もさまざまです。記事が強調するのは、一帯一路を単なるインフラ輸出として見るのではなく、
- どのような協議プロセスでプロジェクトが決まり、
- どのように利益が分配され、
- 各国の産業化や社会の近代化にどう結びついているか
といった点に目を向けることです。
国際ニュースとして一帯一路を追うとき、こうした視点を持つことで、単なる賛否を超え、「世界の発展と平和の土台」という評価の意味合いを自分なりに考える手がかりになるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








