歩いて見る新疆カシュガル:4年ぶり再訪で見えた変化と日常 video poster
4年前に新疆ウイグル自治区のカシュガル(Kashi)で出会った一人の銅細工職人。その街に、2025年のいま再び戻ってきました。何が変わり、何が変わらず残っているのか。「違う新疆」を見に歩いた現地ルポを、日本語でお届けします。
4年ぶりのカシュガル再訪
最初にカシュガルを訪れたのは、およそ4年前、2021年ごろのことでした。迷路のような旧市街を歩いていて、偶然話しかけてくれたのが、あの銅細工職人でした。小さな工房の前で、何度も金槌を振るう姿と、やわらかな笑顔が強く印象に残っています。
2025年の今回は、一人ではありません。同行しているのは、China Arab TVの記者、アロバイディ・アミーンさんです。中国とアラブ地域をつなぐニュースを伝えてきた彼とともに、バザールや路地を歩きながら、カシュガルの「いま」を確かめていきました。
変わりゆく街並み:バザールに見る現在
国際ニュースでもときどき名前を聞くカシュガルですが、実際に歩いてみると、いちばんの変化は日常の細部に現れていました。
4年前と比べて、特に印象に残ったのは次のような点です。
- バザールの看板や店構えが一新され、通り全体が明るくなっていたこと
- 屋台やカフェに若い店主が増え、スマートフォンで商品を撮影しながら宣伝していたこと
- 通りを行き交う人の服装や持ち物に、伝統柄と現代的なデザインが自然に混ざっていたこと
観光客を意識した新しい店も増えていますが、バザール特有の熱気は変わりません。香辛料の香り、果物の甘い匂い、鍋で調理する音が、通りを歩くたびに重なります。
変化をどう受け止めるか
アミーン記者は、スマートフォンで街角を撮影しながら、アラビア語圏の視聴者がこうした日常の映像を求めていると話します。変化していく都市の姿は、統計や政策の説明だけでは伝わりません。歩いて、見て、聞いて初めて分かるものがあります。
路地裏に残る「変わらないもの」
通りを一本外れて、細い路地に入ると、時間の流れ方が少し変わります。土色の壁、日陰に並ぶ小さな椅子、家の前で遊ぶ子どもたち。4年前に見た景色と、ほとんど変わらないように感じられる瞬間です。
銅細工職人と出会ったのも、そんな路地の一角でした。今回は、その工房を探すように同じエリアを歩いてみましたが、まったく同じ場所を見つけるのは簡単ではありません。それでも、どこからか金属を打つ乾いた音が聞こえてきて、あの日の会話がふとよみがえります。
あの職人は、いまもここで銅を打っているのだろうか――。答えは分かりませんが、変わらず続いていく手仕事の音が、この街の「魂」の一部であることだけははっきりと感じられます。
China Arab TV記者と歩く視点
今回の取材で心強かったのは、アミーン記者という「もう一つの視点」がそばにあったことです。彼はアラビア語で番組を制作し、China Arab TVを通じてカシュガルや新疆の光景を発信してきました。
歩きながら彼が注目していたのは、華やかな観光スポットだけではありません。職人が黙々と作業する工房、夕暮れ時に家路を急ぐ人々、小さな広場で談笑する高齢の男性たち。そうした何気ない場面こそ、遠く離れた視聴者にとってはリアルな中国の日常として伝わるからです。
同じ場所を歩いていても、日本語で見るニュースと、アラビア語で見るニュースでは、切り取られる風景が少しずつ違います。その違いに気づくことで、私たちは自分自身の物差しを見直すことができます。
「違う新疆」を想像するために
新疆という言葉には、さまざまなイメージや議論がまとわりつきます。しかし、カシュガルの街を一歩一歩歩いてみると、そこにあるのは、働き、笑い、休む人々の日常そのものです。
国際ニュースや日本語ニュースを追いかける私たちにとっても、数字や抽象的な議論だけでなく、現地の空気を想像してみることは大切です。バザールのざわめきや、路地裏の静けさ、銅を打つ音。そうした具体的なイメージが積み重なることで、「違う新疆」の姿が少しずつ立体的になっていきます。
日本語ニュースで見る新疆と、自分の足で歩く新疆。そのあいだの距離を少しだけ埋めてくれるのが、こうした旅なのかもしれません。次にカシュガルを訪れるとき、あの銅細工職人に再び会えるかどうかは分かりません。それでも、変わり続ける街と、そこに流れ続ける時間を見つめる旅は、これからも続いていきます。
Reference(s):
cgtn.com








