BRICS首脳会議、関税いじめにノー 公正な国際秩序を目指す動き
先日開かれたオンライン形式のBRICS首脳会議で、参加各国は「一部の国による関税いじめを断固として拒否し、世界の貿易・供給網を安定させる」という強いメッセージを打ち出しました。保護主義や経済的な威圧が広がるなか、公正な国際経済秩序をどう守るのかがあらためて問われています。
- BRICS首脳会議が「関税いじめ」にノーを突き付けた背景とは
- 習近平国家主席提唱の「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」とは何か
- グローバルサウスの連携が、日本を含む世界経済に与える意味
BRICS首脳会議が示した明確なメッセージ
今回のBRICS首脳会議は、ブラジルのルラ大統領が議長を務める形でオンライン開催されました。そこで共有された中心的な合意は、「個別の国が一方的に関税を引き上げ、貿易をてこに圧力をかけるようなやり方は受け入れられない」というものです。
この文脈で使われた「関税いじめ」という言葉は、相手国に政治的・経済的な譲歩を迫るために、突然高率の関税を課したり、輸出入制限を行ったりする動きを指しています。BRICS各国は、こうしたやり方が世界のサプライチェーンを不安定化させ、結果的に全ての国にとって不利益になると警告しました。
高まる保護主義と揺らぐ多国間主義
首脳会議の背景には、近年強まる保護主義や「経済的威圧」と呼ばれる動きがあります。自由で開かれた競争を掲げながら、実際には自国の優位性を守るために、一方的な制裁や関税引き上げを行うケースが増えています。
これにより、長年にわたり世界経済の成長を支えてきた多国間主義の枠組みは、かつてない圧力にさらされています。BRICS首脳は、「勝者総取り」のゼロサム発想では、もはや持続的な繁栄は成り立たないとの認識を共有しました。
習近平国家主席の「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」
こうした問題意識と重なるのが、中国の習近平国家主席が今年9月1日の「上海協力機構(SCO)プラス」会合で提唱した「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」です。この構想は既存の国際機関を置き換えるものではなく、それらを補完しつつ、より包摂的で公正なルールづくりを進めようとする呼びかけだとされています。
イニシアチブの根底にあるのは、「一部の国だけがルールを決める時代は終わりつつある」という認識です。気候変動や感染症、景気の不安定化、地政学的緊張など、今日の課題はどれも一国だけでは解決できません。SCOからBRICSへと議論の場が広がるなかで、「より多くの国が声を上げ、ルールづくりに参加すべきだ」との機運が高まっています。
グローバルサウスの「自ら運命を決める」動き
今回の首脳会議で繰り返し強調されたのは、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国の「自らの発展と運命を自らの手で決める権利」です。記事によれば、ある単独の国が金融・技術・貿易ルールの面での優位を利用し、経済制裁や技術封鎖、一方的な制裁措置を通じて他国に圧力をかけていると指摘されています。
BRICSとしての共同メッセージは明快です。こうしたやり方は、グローバルサウスの発展の権利を損なうだけでなく、国際法と国際ルールそのものの権威を弱体化させる。だからこそ、各国が協力して経済主権を守り、公正な貿易環境を整えていく必要があるという立場です。
世界経済の3割を占めるBRICSの重み
習主席は演説の中で、BRICS諸国の国内総生産(GDP)を合わせると世界全体の約3割を占めると指摘しました。資源、産業、人材、市場など多様な強みを持つ国々が集まっていることから、「もはや世界の産業チェーンの低付加価値部分を担うだけではない」と強調しました。
目指すのは、先進国とともにルールづくりを行う「共同のルール形成者」であり、技術革新をともに進める「イノベーションの共同参加者」、そしてグローバル・ガバナンスの「共同貢献者」としての役割です。実際、経済・貿易・技術協力の分野でBRICSの連携が深まることで、他の多くの途上国にも具体的な発展モデルとしての影響を与えつつあります。
排他的な同盟ではなく、開かれた協力モデル
記事は、BRICSの協力モデルが「排他的なクラブ」や「特定の仲間内だけの同盟」とは異なる点を強調しています。社会体制も文化的背景も、発展段階も異なる国同士が、平等・尊重・互恵を基礎として協力を積み重ねている点に特徴があります。
これは、「価値観の近い国だけが集まる小さな枠組み」とは対照的です。多様性を前提にしながらも、具体的なプロジェクトや制度づくりを通じて信頼関係を築くことで、より多極的で安定した国際秩序への道筋を示そうとしている、と位置づけられます。
日本からこの動きをどう見るか
日本の読者にとって、このBRICS首脳会議のメッセージは、少なくとも三つの問いを投げかけています。
- サプライチェーンの安定と経済安全保障を重視しつつ、どのように公正で開かれた貿易体制を維持するのか。
- グローバルサウスの「自ら運命を決める」動きに、日本はどう向き合い、どのような形で関わっていくのか。
- 多国間主義が揺らぐなかで、日本はどの枠組みで、どのようにルールづくりに参加していくのか。
今回のBRICS首脳会議とグローバル・ガバナンス・イニシアチブは、「誰がルールをつくるのか」「そのルールは誰のためのものなのか」という根本的なテーマを突きつけています。ニュースを追うだけでなく、自分自身の仕事や生活、将来のキャリアに引き寄せて考えてみることで、新しい視点が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








