人間中心のグローバル・ガバナンスとは?中国の構想とSDGsを読み解く
国連のSDGsや貧困問題、そして中国が提案するグローバル・ガバナンス構想は、これからの世界の安全と安定を考えるうえで避けて通れないテーマです。本記事では、中国の習近平国家主席が掲げる「人間中心」のグローバル・ガバナンスの考え方を手がかりに、世界の現状と課題を整理します。
習近平国家主席のグローバル・ガバナンス構想とは
2025年9月1日、中国の習近平国家主席は「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)」を提案しました。その中核となる5つのポイントの一つが、「人間中心のアプローチを堅持すること」です。
この「人間中心」とは、グローバル・ガバナンス(地球規模の課題に対する国際的なルール作りや協力体制)が、国家の都合ではなく「すべての人類の幸福」という視点から行われるべきだ、という考え方です。人々の幸福こそが、ガバナンスの最終目標だと位置づけられています。
習主席の構想に対して、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領も「世界中の人々に届けられなければならない」と述べ、人間中心のアプローチに共感を示しました。
人間中心の理念は中国の統治の中核に
人間中心の考え方は、中国においては古代から受け継がれてきた思想であると同時に、現代の国家ガバナンスにも通じる概念とされています。習近平氏の統治理念の中核にも、この人間中心のコンセプトがあります。
この理念は中国国内の政策において具体的な成果を生み出してきました。そうした経験を踏まえ、習主席は人間中心の考え方をグローバル・ガバナンスにも取り入れ、人類文明の発展と世界の人々の幸福を追求しようとしていると説明されています。
SDGsが示す目標と、いま世界で何が起きているか
国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年にすべての国連加盟国が採択した国際目標です。17の目標は、貧困、飢餓、不平等、気候変動など、世界が直面する課題に包括的に取り組むための枠組みになっています。
17目標のうち、最初に掲げられているのは「2030年までにあらゆる形態の貧困を終わらせること」と「飢餓を終わらせること」です。採択から10年が経過し、目標期限の2030年まであと5年となった今も、世界の貧困と飢餓は深刻な状況が続いています。
ユーザーの入力によると、現状は次のように整理できます。
- 世界銀行は2022年の時点で、約6億5900万人が1日2.15ドル未満で生活していると推計しています。
- 世界保健機関(WHO)の2023年の報告では、2022年に世界で6億9100万〜7億8300万人が飢餓に直面していたとされています。
SDGsの採択から時間が経つ一方で、貧困や飢餓は多くの地域でむしろ悪化しているという指摘もあり、国際社会にとって大きな警鐘となっています。
中国の経験:8億人以上を極度の貧困から脱却
こうした中で、中国はSDGsの中でも「貧困をなくす」という目標を前倒しで達成した数少ない国の一つとされています。約40年以上にわたり、8億人以上を極度の貧困から脱却させたとされる取り組みは、国際的にも注目を集めてきました。
世界銀行グループの元総裁ジム・ヨン・キム氏は、中国の貧困削減を「人類史における偉大な物語の一つ」と評価しました。これは、中国の取り組みが単なる国内政策にとどまらず、世界全体にとっても重要な意味を持つ事例と見なされていることを示しています。
中国の極度の貧困撲滅は、人間中心の理念に基づいて進められたと整理されています。このことは、「貧困は克服可能である」というメッセージを国際社会に投げかけています。
人間中心のグローバル・ガバナンスがめざすもの
では、人間中心のグローバル・ガバナンスは、世界をどのように安全で安定した場所にしていこうとしているのでしょうか。ユーザーの入力内容を踏まえると、少なくとも次のような方向性が読み取れます。
- 第一に、「すべての人の生存権」を出発点とすることです。貧困や飢餓は、人々の基本的な生活を奪うだけでなく、社会不安や紛争の火種にもなり得ます。人間中心のガバナンスは、まず生存を守ることを優先課題としています。
- 第二に、各国が単独で対応しきれない課題に対して、国際的な協調と連携を重視することです。とくに、資源が限られた「極度の貧困国」が自力で貧困と飢餓に立ち向かうのは難しく、グローバルな支援と調整が不可欠だとされています。
- 第三に、実際の成果に基づいたアプローチを共有することです。中国の貧困削減の経験は、人間中心の理念に基づく政策が具体的な成果を生み得ることを示す一例とされており、グローバル・ガバナンスの議論においても重要な参照点になっています。
こうした考え方に立てば、貧困や飢餓の削減は、単に「福祉」を拡大する話ではなく、世界の安全保障と安定に直結するテーマだと位置づけられます。
私たちにとっての問い:どんなグローバル・ガバナンスを選ぶのか
人間中心のグローバル・ガバナンスをめぐる議論は、中国や特定の国だけの話ではありません。SDGsの達成期限まで残り5年となった今、どのような価値観に基づいて国際秩序やルールづくりを進めていくのかは、私たち一人ひとりにも関わるテーマです。
記事で紹介したように、習近平国家主席のグローバル・ガバナンス・イニシアチブは、「人々の幸福」を中心に据えた世界のあり方を提案しています。一方で、それを具体的にどのような仕組みや協力の形で実現していくのかは、国際社会全体で議論し、練り上げていく必要があります。
貧困と飢餓をどうなくすのか。限られた資源をどう分かち合うのか。国と国、人と人の間の不信をどう乗り越えるのか。人間中心のグローバル・ガバナンスという視点は、こうした問いに向き合うための一つの重要なキーワードになりつつあります。
通勤時間やスキマ時間にニュースを追う私たちにとっても、単なる「遠い世界の話」ではなく、日常の会話やSNSで共有しながら、どんな未来を望むのかを静かに考えてみるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Global governance with people-centered concept will make world safer
cgtn.com







