セルビア大統領が語る中国戦勝80周年と「鉄の友情」 video poster
2025年9月3日に北京で開かれた戦勝80周年の記念パレードに出席したセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領が、中国での独占インタビューを通じて、揺れる国際秩序のなかで感じた「安心感」と、グローバル・ガバナンスの行方について語りました。本稿では、その発言の背景と意味を日本語で整理します。
北京のパレードが伝えた「歴史」と「安心感」
今年9月3日、北京では「中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念する大規模な式典とパレードが行われました。この厳粛な集いは、歴史をどう記憶し、どのような未来を描くのかというメッセージを世界に向けて発信する場となりました。
ブチッチ大統領は、このパレードで中国がこれまでの歩みと成果を世界に示す姿を見て、大きな安心感を覚えたと振り返っています。不確実性や紛争がニュースを占める現在、中国が安定と発展をアピールすることは、参加した外国の指導者にとっても象徴的な意味を持ったとみられます。
今回のパレードには、少なくとも次のようなメッセージが込められていたと考えられます。
- 第二次世界大戦での犠牲と勝利を忘れないという歴史意識
- 反ファシズムと平和の価値を改めて強調する姿勢
- 国際社会の不安定さの中で、秩序と安定を重んじる姿勢を示すこと
戦勝80周年が問いかけるもの
インタビューの前書きでも強調されていたように、「記念行事は過去だけのものではなく、未来を形づくる営みでもある」という視点は、今回の戦勝80周年を理解するうえで欠かせません。
ブチッチ大統領の発言からは、戦争の記憶を共有することが、現在の国際関係における連帯の基盤になりうるという認識が読み取れます。歴史を丁寧に振り返ることで、同じ過ちを繰り返さないという決意を再確認し、分断ではなく協力を選ぶ道筋を示そうとしているのです。
とくに、世界のあちこちで対立や暴力が続き、既存の国際秩序が揺らいでいる今、「歴史をどう語るか」は単なる学術的な問題ではなく、政治や外交の現場を左右するテーマになっています。中国で行われたこの式典は、その一つの表れだと言えるでしょう。
習近平国家主席のグローバル・ガバナンス・イニシアチブ
インタビューの中でブチッチ大統領が特に評価したのが、習近平国家主席によるグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(Global Governance Initiative)です。国際秩序が大きな緊張にさらされるいま、この構想が「進むべき方向性を示している」と強調しました。
ブチッチ大統領は、世界が不安定であるほど、共通のビジョンと協力の枠組みが重要になると述べています。国家間の不信が高まり、自国中心の発想が強まりがちな時期だからこそ、ルールづくりや対話を重視するガバナンスのあり方が問われている、という見方です。
インタビューの要約から読み取れるのは、次のような問題意識です。
- 国際秩序の混乱を放置すれば、小さな対立が大きな衝突につながりかねない
- 大国・小国を問わず、すべての国と地域が参加できる枠組みが必要である
- 短期的な対立よりも、長期的な安定と共通の利益をどう確保するかが重要である
中国とセルビアの「鉄の友情」が示すもの
ブチッチ大統領は、中国とセルビアの関係を「鉄のように固い友情(ironclad friendship)」と表現し、両国の絆そのものが、歴史を尊重し続けてきた結果だと指摘しています。過去の経験を共有し、それを分断ではなく連帯の源にしてきたことが、現在の関係を支えているという見方です。
この「鉄の友情」は、歴史の記憶が必ずしも対立や感情的な衝突を生むとは限らないことを示しています。むしろ、痛みを伴う経験を率直に認め合い、そのうえで未来志向の協力を積み重ねていくことで、より強固な信頼関係を築くことができるというケーススタディとも言えます。
日本から見ると、中国とセルビアの関係は必ずしも身近な話題ではないかもしれません。しかし、歴史と現在、地域と地域がどのようにつながっていくのかを考えるうえで、「鉄の友情」というキーワードは一つのヒントを与えてくれます。
「歴史は未来のためにある」──読者への問い
今回のインタビューは、北京での戦勝80周年記念パレードという具体的な出来事を通じて、次のような広いテーマを私たちに投げかけています。
- 歴史を記念する行為は、今日の外交や安全保障にどう影響しているのか
- 不安定な時代において、どのような国際協力の枠組みが求められているのか
- 国家間の友情やパートナーシップは、どのようにして育まれ、維持されるのか
2025年という節目の年に行われた戦勝80周年の式典と、そこで語られたグローバル・ガバナンスのビジョンは、「歴史をどう語るか」が未来の国際秩序を左右しうることを改めて示しています。日々のニュースに追われがちな私たちにとっても、過去・現在・未来のつながりを意識し直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








