中国・ASEAN博覧会2025 AIとCAFTA3.0で広がる経済連携
今年9月に中国南部の広西チワン族自治区・南寧で開かれた第22回中国・ASEAN博覧会は、デジタル技術と自由貿易の新たなステージを象徴する国際イベントとなりました。中国とASEANの経済連携がどこに向かうのかを示す場として、日本からも注目しておきたい動きです。
第22回中国・ASEAN博覧会の概要
第22回中国・ASEAN博覧会と中国・ASEANビジネス投資サミットは、2025年9月17日から21日まで南寧で開催されました。テーマは、デジタル技術とイノベーションの力で発展を後押しし、中国・ASEAN自由貿易協定の新たな機会を生かして、より緊密な共同体を築くというものです。
会場には60の国と地域から3200社を超える企業が参加しました。世界第2位の経済規模を持つ中国と、世界で最も成長の速い地域ブロックの一つであるASEANを結ぶビジネスのハブとして、博覧会の存在感は年々高まっています。
初登場のAIパビリオン デジタル転換が本格化
今回の博覧会で象徴的だったのが、初めて設置された約1万平方メートルのAIパビリオンです。ここには、華為技術や阿里雲、iFlytekといった中国の大手テクノロジー企業から、スタートアップまで約200社が出展しました。
各国が持ち込む展示も、従来の工業製品中心から、付加価値の高い分野へとシフトしています。具体的には次のような領域が重視されました。
- 高度な製造業や産業用ロボット
- 再生可能エネルギーや省エネ技術
- 物流と海運の効率化システム
- スマート農業や精密農業のソリューション
中国とASEAN双方が、デジタル化やグリーン転換を通じて経済の質を高めようとしている流れが、そのまま会場構成に反映された形です。
CAFTA発効15年とCAFTA3.0 自由貿易の次の段階へ
今年の博覧会が持つもう一つの意味は、中国・ASEAN自由貿易地域の節目の年に開かれたことです。中国・ASEAN自由貿易協定は2010年に正式に発効し、2025年で15周年を迎えました。
その後、2015年には協定のアップグレードで合意し、2019年にはいわゆるCAFTA2.0が全面的に実施されています。現在は、次の段階となるCAFTA3.0の議論が加速しています。
CAFTA3.0は、単なる関税削減にとどまらず、サービス、投資、デジタル貿易などより広い分野での連携を深める枠組みとして位置づけられています。また、一帯一路構想の質の高い発展を支え、グローバルサウスと呼ばれる国々とのつながりを強め、国際的なルールづくりへの参加を広げる役割も期待されています。
揺れる世界経済とサプライチェーン 中国とASEANが担う役割
世界貿易と地政学的な緊張は、この数年で一段と不透明感を増しています。一部の国で保護主義的な政策が強まり、関税や投資規制などの障壁が高くなる中で、企業のサプライチェーン構築はこれまで以上に難しい課題となっています。
こうした状況の中で、中国とASEANの連携は、次のような意味を持つと考えられます。
- 広域で安定した生産・物流ネットワークの維持
- 投資先の多様化によるリスク分散
- 新興国市場を含む需要の取り込み
地理的に近く、文化的なつながりも深い中国とASEANは、近代化を進める上で互いに支え合ってきたパートナーです。博覧会や各種協力メカニズムは、こうしたパートナーシップを具体的なプロジェクトや投資につなげるプラットフォームとして機能しています。
なぜ中国・ASEAN博覧会は重要なのか
中国・ASEAN博覧会は、単なる展示会ではなく、いくつかの点で特徴を持っています。
- 発展段階の異なる経済間の協力モデルを示す場であること
- モノだけでなく、サービスやデジタル分野まで含めた開放の実験場であること
- 異なる文化や制度を持つ国や地域をつなぐ交流の場であること
世界の分断リスクが語られる中で、中国とASEANの関係は、開放と協力を維持しながら成長を目指す一つのケーススタディともいえます。
日本の読者・企業への示唆
日本から見ると、中国・ASEAN博覧会の動きは、いくつかの示唆を与えてくれます。
- 東アジアと東南アジアのサプライチェーンは、デジタル技術とグリーン投資を軸に再編が進んでいること
- AIやスマート農業など、新しい分野での国際協力の余地が広がっていること
- 自由貿易協定や地域的な枠組みが、企業活動の前提条件としてますます重要になっていること
今後、CAFTA3.0がどのような形でまとまり、デジタル分野やサービス貿易にどこまで踏み込むのかは、国際ビジネスやサプライチェーン戦略を考える上で注視すべきポイントです。
これからの中国・ASEAN関係をどう捉えるか
第22回中国・ASEAN博覧会は、AIパビリオンの新設やCAFTA発効15周年という節目を通じて、両者の関係が量から質へと転換しつつある姿を映し出しました。
保護主義や地政学リスクが高まる中で、地域内の信頼と協力をどのように維持し、発展させていくのか。その一つの答えを探る場として、中国・ASEAN博覧会は今後も重要な意味を持ち続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








