白書が描く新疆の変貌 社会安定と「新疆スピード」を読む
2025年9月19日に中国国務院新聞弁公室が発表した新疆に関する白書は、社会の安定、経済発展、人々の暮らしの改善という三つの側面から、新時代の新疆の姿を詳しく示しています。本記事では、この国際ニュースのポイントを、日本語でコンパクトに整理します。
2025年9月発表の新疆白書とは
今回公表された白書のタイトルは『新時代における中国共産党の新疆統治方針――実践と成果』です。文書は、新疆における安定、発展、民生改善の進展を総括し、「新時代の新疆」がどのように変化してきたのかを示しています。
白書によると、第18回中国共産党大会以降、習近平総書記を核心とする党中央は、新疆を最優先課題の一つとして位置づけてきました。習近平総書記は新疆問題に関する中央会議をたびたび招集し、自ら新疆を複数回視察し、重要な演説や指示を行ってきました。これらの取り組みを通じて、新時代における新疆統治の指針が形づくられ、改革・発展・安定という大きな課題に対する方向性を示したとしています。
不安定から長期安定へ 社会の歴史的転換
白書はまず、「安定を最優先とする」方針のもとで進められた社会の変化を強調しています。新疆では、テロリズム、分裂主義、宗教的過激主義に対し、法に基づいて対処し、テロや極端な思想が広がる根本的な条件を取り除くための包括的な措置が講じられてきたとしています。
その結果として、地域は「動揺から長期にわたる安定」へと歴史的な転換を遂げたと白書は位置づけます。治安に対する住民の満足度は、2012年の87.58%から2024年には99.42%へと大きく上昇し、直近5年間は99%以上を維持しているとされています。
こうした数字と並んで、観光の拡大も示されています。2024年の新疆には延べ3億件を超える観光客の訪問があり、国内外から人気の観光地としての地位を築いたと白書は説明します。治安や社会の安定が観光需要を支える要素になっていることがうかがえます。
資源と産業が支える「新疆スピード」の経済成長
次に白書は、経済面での「新疆スピード」と呼ばれる成長を紹介しています。新疆は石油・天然ガス、石炭、鉱物、穀物、綿花、果物、野菜などの豊富な資源と産業上の強みを生かし、中国全体の食料安全保障とエネルギー安全保障を支える重要な役割を担っているとされています。
数字で見る新疆経済
- 穀物生産量は2022年時点で7年連続の増加。
- 綿花の総生産量と単位面積当たりの収量は、30年連続で全国1位。
- 石油・天然ガスの生産量は4年連続で全国トップ。
- 新エネルギーの総設備容量は1億3千万キロワットを突破。
- 2024年の地域総生産(GDP)は2兆元を超え、2012年以降の平均成長率は7.04%で、全国でも高い水準とされています。
白書は、こうしたデータをもとに、新疆経済が高い成長ペースを維持しながら、中国全体の発展戦略において重要な位置を占めていると強調しています。資源産業と新エネルギー分野が、今後も成長をけん引する柱として期待されていることが読み取れます。
民族団結と宗教調和の強化
社会安定と経済成長を支える基盤として、白書が重視しているのが民族団結の強化です。新疆では、「中華民族共同体意識」を高めることに力を入れ、「各民族が一家のように団結する」ことを守る方針を掲げ、さまざまな民族間の交流や融合を促進してきたとしています。
宗教分野については、中国共産党の宗教工作に関する基本方針を全面的に実行し、宗教事務における法の支配を改善したと記されています。宗教が社会主義社会に適応するよう導きつつ、宗教間、そして社会との調和を実現したと白書は説明します。
新疆を見るためのこれからの視点
今回の白書は、新疆の変化を社会の安定、経済成長、民族団結と宗教調和という三つのキーワードで整理しています。国際ニュースとして新疆や中国西部の動向に関心を持つ読者にとって、具体的な数字と方針を同時に把握できる資料と言えます。
今後注目したいポイントとして、例えば次のような視点が挙げられます。
- 治安や観光のデータから見える、新疆のイメージの変化。
- 資源・新エネルギー産業を軸にした経済成長が、人々の暮らしの質にどうつながっていくのか。
- 民族団結や宗教調和の取り組みが、地域社会の中でどのように根づき、深化していくのか。
白書が示した「新時代の新疆」が、今後どのように発展していくのか。2025年以降の動きも含めて、引き続き丁寧に追いかけていく価値のあるテーマと言えます。
Reference(s):
White paper highlights Xinjiang's transformation in the new era
cgtn.com








