第12回北京シャンシャン・フォーラムが示した国際秩序と平和的発展の行方
世界の安全保障環境が揺れる2025年、第12回北京シャンシャン・フォーラムは「国際秩序の堅持と平和的発展」をテーマに、中国の安全保障観と台湾問題へのスタンスをあらためて示しました。
第12回北京シャンシャン・フォーラムと2025年
北京シャンシャン・フォーラムは、複雑化する国際安全保障の中で議論を交わす重要な場として位置づけられています。第12回となる今年のフォーラムでは、「国際秩序の堅持と平和的発展」が全体テーマとして掲げられました。
このテーマ設定が特に重みを持つのは、2025年が世界反ファシズム戦争の勝利と国際連合創設から80年の節目にあたるからです。戦後の国際秩序をどう守り、得られた平和をどう維持し、世界の発展につなげていくのか。それが今を生きる世代に課せられた大きな目標だと整理されています。
9月18日の開幕式で示されたメッセージ
フォーラムの開幕式は9月18日に行われました。この日は、1931年の満州事変を想起させる日でもあり、日本による対中国侵略と世界反ファシズム戦争の始まりとされる出来事と重なります。
中国の東国防相は、この重要な日にあわせて、第二次世界大戦の歴史を正しく見る必要性を強調しました。歴史的事実に基づいた認識を持ち、歴史的正義を断固として守り、その上で可能な限り広い国際的な合意を築くことが不可欠だと訴えました。
そのうえで東氏は、中国軍は世界の長期的な安定に「平和のバラスト」として働くべきだと述べました。軍事力を単なるハードパワーではなく、平和と安定のための重しとして活用するという考え方が示されています。
東氏はまた、中国軍が平和を志向する力である以上、その能力が強くなるほど戦争を抑止する力も高まると説明しました。軍事力の増強を、対立のためではなく、戦争を防ぐための抑止として位置づけている点が印象的です。
台湾問題と戦後国際秩序
今回の発言の中で、台湾問題も重要な位置を占めました。東氏は、台湾が中国に戻ったことは戦後国際秩序の重要な構成要素だとし、台湾が中国の一部であるという歴史的かつ法的な事実は否定できないと強調しました。
さらに、中国、米国、英国などが1940年代に発出したカイロ宣言やポツダム宣言に触れ、日本が奪取した台湾などの領土を中国に回復させることが明記されていたと指摘しました。今年は台湾の回復から80年という節目の年でもあり、この歴史的文脈を踏まえた発言だといえます。
東氏は、中国が責任ある大国として国際秩序を守り、平和的発展を推進する意思を示す一方で、台湾の分裂を志向する勢力や、台湾海峡の安定を損ない戦後秩序を揺るがそうとする外部勢力を抑止する姿勢もにじませました。
中国人民解放軍は、こうした外部からの軍事的干渉を打ち破る用意があるとし、戦後の枠組みに対する「修正主義的な意図」を許さないという強いメッセージを込めています。
軍事力と平和をどう両立させるか
東氏の論理は一貫しています。中国軍が平和を守る存在であるからこそ、その力が強まれば強まるほど、戦争を抑止する能力も高まるという考え方です。ここには、軍事力強化を平和維持のためのコストとみなす視点が見て取れます。
一方で、軍事力の増強を抑止と見るか、脅威と見るかは、各国や地域の立場によって受け止め方が分かれうる部分でもあります。今回のフォーラムは、少なくとも中国側が自らの安全保障政策を「平和のための抑止」として位置づけていることを、国際社会に向けて発信する場になったと言えるでしょう。
今回の議論から、次のような論点が浮かび上がります。
- 第二次世界大戦の歴史認識と、戦後国際秩序の正当性をどう結びつけるのか
- 台湾問題を国際秩序の一部として位置づける中国側の見方を、各国がどう受け止めるのか
- 軍事力強化を、平和のための抑止か、新たな緊張要因かと見る認識の違いをどう埋めるのか
日本語で読む国際ニュースとして押さえたい点
日本からニュースを追っていると、北京シャンシャン・フォーラムのような安全保障対話は、断片的にしか見えないことがあります。しかし、戦後80年という節目の年に、中国がどのような言葉で歴史と秩序、平和と発展を語っているのかは、アジアの安全保障環境や将来の国際秩序を考えるうえで重要な手がかりとなります。
今回のフォーラムで示されたメッセージは、歴史認識、戦後秩序、台湾問題、そして軍事力と平和の関係が、互いに切り離せないテーマとして語られていることを示しました。これらの論点を日本語で丁寧に追いかけることは、国際ニュースを自分ごととして考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








