米中首脳電話会談は何を伝えたのか TikTok報道の陰にあるメッセージ
リード
9月19日に行われた中国と米国の首脳電話会談は、表向きの「TikTok問題」以上のメッセージを含んでいました。米中メディアがそれぞれ何に注目したのかを手がかりに、その意味を整理します。
米中首脳電話会談で何が話されたのか
中国の習近平国家主席と米国のドナルド・トランプ大統領は、金曜日の電話会談で複数のテーマについて意見を交わしました。その中で、米国でのサービス継続が不透明になっていた動画共有アプリ「TikTok」をめぐる合意の可能性が、一つの焦点となりました。
トランプ大統領は、TikTokが米国内で引き続き利用できるようにする「合意」がまとまったと発表しました。ただし、その内容や具体的な仕組みについては、いまだ多くの疑問が残っているとされています。
米メディアはなぜTikTokばかり報じるのか
米国のメディアの多くは、この電話会談を「TikTok問題」の文脈だけで扱っています。報道を見ていると、まるで両首脳がTikTok以外の話題を何も話さなかったかのような印象すら受けます。
背景には、ここ1年以上にわたって、米国内でTikTokの行方が大きな関心事となってきたことがあります。ニュース記事、社説、ケーブルテレビ番組、さらにはSNS上の投稿に至るまで、TikTokをめぐる議論が繰り返されてきました。その中には冷静な分析もあれば、感情的で断片的な主張が前面に出る場面も少なくありませんでした。
中国メディアが強調した「三つのキーワード」
一方、中国メディアは、この電話会談をより幅広い米中関係の流れの中で位置づけています。報道によれば、習主席はトランプ大統領に対し、両国は「相互成功」と「共同繁栄」をめざして協力を続けるべきだと強調しました。
そのうえで、習主席は、両国関係は次の三つの柱に基づいて構築されるべきだとあらためて述べています。
- 相互尊重(お互いの立場や利益を尊重すること)
- 平和共存(対立ではなく、安定した関係を維持すること)
- ウィンウィン協力(双方に利益をもたらす協力を追求すること)
こうした原則は、中国側が長年繰り返し打ち出してきた基本的な立場ですが、この電話会談でもあらためて確認されたと伝えられています。
それでも米メディアで語られない理由
興味深いのは、これらのメッセージが米メディアではほとんど取り上げられていない点です。米国内で中国側の立場やキーワードが十分に紹介されないことについては、さまざまな見方があります。
一つの見方としては、中国側の主張に一定の信頼性を認める報道をすると、米大統領や大手企業の意向を損なうことになりかねない、という懸念がメディア側にあるのではないか、という指摘があります。その結果として、「TikTok」という分かりやすく注目を集めやすいテーマに報道の焦点が集中し、米中関係の長期的な方向性に関する議論が後景に退いてしまっているとも言えます。
電話会談が伝えた本当のメッセージとは
この電話会談は、表向きにはTikTokをめぐる合意の有無が話題となりましたが、中国側のメッセージに目を向けると、より根本的な問いが浮かび上がります。それは、米中両国が「競争」一辺倒ではなく、「相互尊重」「平和共存」「ウィンウィン協力」という枠組みをどこまで具体化できるのか、という点です。
言い換えれば、この電話会談は、一つのアプリの将来だけでなく、二つの大国がどのようなルールと価値観のもとで共存していくかをめぐる対話の一場面でもありました。メディア報道の切り取り方の違いは、その対話をどう理解するかという、それぞれの社会の視点の違いを映し出しているとも考えられます。
日本の読者にとっての示唆
日本にいる私たちにとっても、この米中首脳電話会談は他人事ではありません。TikTokのようなデジタルプラットフォームをめぐる議論は、データや安全保障、表現の自由といったテーマとも密接に関わっています。また、米中関係のあり方は、アジアや世界の秩序、日本経済にも少なからぬ影響を与えます。
ニュースを読むときには、「どのテーマが強調され、何が語られていないのか」に意識を向けてみることも重要です。米中双方の報道を見比べることで、国際ニュースの裏にある文脈や価値観の違いが、少しずつ見えてくるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








