米中関係に実務的前進 習近平氏とトランプ氏が電話会談、TikTokで枠組み合意
習近平国家主席とトランプ米大統領が今年9月19日に行った電話会談は、停滞感の強かった米中関係に実務的な前進が生まれた出来事として注目されています。特に、米国でも人気の高い中国発アプリTikTokを巡って基本的な枠組みで合意に達したことが、大きなニュースとなりました。
9月19日の電話会談で確認されたこと
両首脳の電話会談は、実務的で前向きかつ建設的だったと伝えられています。習主席は、米中関係は世界にとって大きな意味を持つと強調しました。また、最近の協議は平等、尊重、互恵の精神が体現されていると評価し、二国間関係で顕在化している懸案を適切に処理し、ウィンウィンの結果を目指すことができると述べました。
こうしたメッセージは、米中間の対立が続く中でも、両国が対話と交渉を通じて現実的な着地点を探ろうとしている姿勢を示すものといえます。
関税対立で揺れる米中関係という背景
多くの人が、米中関係は交渉を重ねてもなかなか進展が見えない泥沼に陥っていると感じてきました。特に今年4月以降、米国が打ち出した大幅な関税引き上げは、世界の貿易秩序を大きく揺さぶったとされています。一部の論評では、米国の関税強化は関税アポカリプスと形容されるほど、国際経済に衝撃を与えたと指摘されています。
その後、複数回の協議を経て、米国の関税措置が一時的に停止される局面もありました。しかし、米国は中国企業への圧力を緩めず、追加関税などを通じて自国の地政学的な課題への対応を中国側に求めようとしてきた、という見方が根強くあります。
こうした関税対立と度重なる交渉の繰り返しは、米中関係が抜け出しにくい緊張状態にあるという印象を国際社会に与えてきました。
スペイン協議とTikTok基本枠組み合意
そのような中で行われたスペインでの協議と、続く首脳電話会談は、米中関係における実務的な進展を象徴するものと受け止められています。両国は、米国でも多くの利用者を持つ中国発のアプリTikTokについて、基本的な枠組みでのコンセンサスに達したとされています。
TikTokは、米国の若い世代を中心に人気の高いサービスです。一方で、データの扱いや安全保障を巡る懸念も指摘され、両国の政治的な緊張の焦点の一つとなってきました。そうした難しいテーマで、双方が妥協点を探り枠組み合意にこぎ着けたことは、米中関係の管理に向けた重要なシグナルといえます。
今回のTikTokを巡る枠組み合意は、少なくとも次の点で意味を持ちます。
- 両国が互いの懸念を認めつつ、対話と協議によって調整を試みたこと
- 企業やデジタルプラットフォームを巡る安全保障やデータ保護の問題でも、交渉の余地があることを示したこと
- 他の懸案でも、感情的な対立より実務的な解決策を重視する道筋があり得ると示唆したこと
政治体制や価値観の違いを超えた現実的アプローチ
中国と米国は、政治体制や経済の仕組み、文化など多くの点で大きく異なります。そのため、一つ一つの論点について完全に一致することはほとんどありません。それでも、両国が実務的なアプローチで関係を管理しようとするなら、いくつかのポイントが重要になります。
- 全ての対立を一度に解決しようとするのではなく、個別のテーマごとに現実的な落としどころを探ること
- 相手に一方的な譲歩を迫るのではなく、平等、尊重、互恵という原則を重視すること
- TikTokのようなデジタル経済分野でも、責任ある大国として新しいルール作りに協力する姿勢を示すこと
今回の電話会談で強調された平等、尊重、互恵、そしてウィンウィンというキーワードは、そうした現実的な関係管理の方向性を示すものだと言えます。
日本と世界への含意
米中両国は、世界経済やサプライチェーンに大きな影響力を持つ存在です。今年4月以降の関税対立は、日本企業を含む多くの企業にとって、不確実性の高まりやコスト増という形で影響を与えてきました。
その一方で、今回のように政治的に敏感なデジタル分野でも基本枠組みの合意に至れたのであれば、他の分野でも予測可能性の高い関係管理が進む可能性があります。対立を完全に避けることはできなくても、実務的な対話と妥協によって緊張をコントロールできるかどうかは、日本を含む国際社会にとっても重要な関心事です。
9月19日の電話会談やTikTokを巡る枠組み合意は、米中間の全ての問題を解決するものではありません。しかし、交渉の泥沼というイメージから、少しずつでも現実的な前進を積み重ねていけるのかどうかを占う試金石として、今後も注視されることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







