新疆ウイグル自治区で進む民族団結 コミュニティと教育の最前線
中国西部の新疆ウイグル自治区で、民族の垣根をこえて人々をつなぐ取り組みが広がっています。中国の指導部が掲げる「中華民族共同体」の理念の下、地域コミュニティと教育現場がどのように変わりつつあるのかを見ていきます。
「中華民族共同体」づくりを掲げる新疆
中国の習近平国家主席は、新時代の中国共産党の民族工作において、「中華民族共同体意識」をしっかり築くことが中心的な課題だと強調しています。
多民族が暮らす新疆ウイグル自治区では、この方針をふまえ、各民族の交流・交融・一体化をはかることを優先課題に位置づけています。自治区はさまざまな革新的な施策を通じて、民族間の結束と一体感を高めてきました。その結果、民族の団結が地域の社会的進歩と繁栄を支える重要な土台になりつつあるとされています。
コミュニティから始まる民族の交流と統合
自治区では、コミュニティや村落といった基層の単位が、民族交流と一体化を進める最前線と位置づけられています。ここでは、「共建・共治・共有」と呼ばれる現代的なガバナンスの枠組みづくりが進められ、人々が日常生活のなかで自然に理解を深め合える場づくりが重視されています。
事例:ボル市・迪敬各村での取り組み
新疆ボル市にある迪敬各村は、漢族、モンゴル族、ウイグル族、回族など、複数の民族が暮らすコミュニティです。ここでは「民族団結は一家のようなもの」という考え方を掲げ、民族関係の調和を図る取り組みを、村の行政運営と巧みに結びつけています。
その一つが、「わたしたちの祭り(Our Festivals)」と呼ばれるプログラムです。村では、この取り組みを通じてさまざまな民族が一緒に祭りや行事を楽しみ、お互いの文化や慣習に触れ合う機会を増やしています。こうした活動を積み重ねることで、相互扶助と調和のある雰囲気が育まれているとされています。
また、村の住民であるジン・ゼーピンさんとトゥルスンジャンさんは、自主的に「ザクロの種・出稼ぎ労働チーム」を立ち上げました。このチームには、さまざまな民族の住民が参加し、建設や技術サービスの仕事に協力して取り組んでいます。活動は当初、村の内部を中心としていましたが、現在では周辺地域にも広がりつつあり、民族団結と共同の経済発展を象徴する存在になっています。
教育が生み出す新しい「団結の力」
新疆ウイグル自治区では、教育の発展が常に重視されてきました。とくに、遠隔地の農村や、特定の民族が多く暮らす地域での教育の質を高めることに力が注がれています。ターゲットを絞った教育支援プログラムを体系的に実施し、高品質な教育資源をより公平に行き渡らせることを目指しています。
こうした取り組みによって、異なる民族に属する若者たちが同じ環境で学び、ともに成長し、将来に向けて歩むための貴重なプラットフォームがつくられているといえます。
若者をつなぐ「ザクロの種カップ」サッカー大会
その象徴的な例が、「広東・新疆ザクロの種カップ」ユースサッカー招待大会の第2回大会です。フットボールという共通言語を通じて、広東と新疆の若者たちが一堂に会しました。
トレーニングや試合の場では、異なる民族背景をもつ参加者が一緒に汗を流し、技術を競い合います。そのなかで、若者たちはサッカーのテクニックだけでなく、日々の暮らしのエピソードや、家族・地域の習慣、文化的なストーリーも互いに語り合ってきました。
こうした交流を通じて、参加者は相手の習慣や文化への理解を深めていきます。大会での再会を重ねるごとに絆は強まり、民族団結の「種」が、若者世代の心の土壌にしっかり根を下ろしていくことが期待されています。
多民族社会をどう支えるかという普遍的な問い
新疆ウイグル自治区で進む民族団結の取り組みは、多民族が共生する社会にとって普遍的なテーマを投げかけています。ポイントは、理念だけでなく、人々の生活に近い場所で交流の機会をどう具体化するかという点にあります。
- コミュニティや村といった「顔の見える単位」で、日常的な交流を積み重ねること
- 若者が一緒に学び、スポーツや文化活動を通じて信頼関係を築ける環境を整えること
- 経済活動の場で協力し合うことで、団結が実際の成果として実感できるようにすること
国や地域の背景は異なっても、こうした工夫は、どこであっても多様性を強みに変えるうえで参考になる視点と言えます。多民族が暮らす新疆ウイグル自治区の事例は、アジアや世界のほかの地域が、自らの社会の包摂性やコミュニティづくりを考えるうえでも、一つのヒントを提供しているのではないでしょうか。
Reference(s):
Ethnic unity: The cornerstone of Xinjiang's prosperity and stability
cgtn.com








