国連80年と気候危機:UN気候顧問セルウィン・ハート氏が語る「Better Together」 video poster
2025年の今年、国連は創設80周年を迎えます。節目の年に、国際社会が直面する最大の課題の一つが気候変動です。番組「The Hub」の独占インタビューで、国連事務総長の気候変動・公正な移行に関する特別顧問を務めるセルウィン・チャールズ・ハート氏が、国連のこれまでとこれから、そして「Better Together(ともにより良く)」というテーマの意味を語りました。
国連80周年と「Better Together」の意味
今回のインタビューでは、国連80周年が持つ意味が改めて問い直されています。第二次世界大戦後に設立された国連は、80年にわたり、平和、開発、人権の三つを柱に国際秩序を支えてきました。
ハート氏と司会者の王冠(ワン・グアン)氏の対話は、この80年を振り返りながら、「Better Together」というキーワードに焦点を当てています。対立より協調、多国間協力を通じて課題を乗り越えてきた国連の歴史を踏まえ、気候変動というグローバルな危機に対しても、各国・各地域が「ともに」行動することの重要性が強調されました。
気候変動と「公正な移行」:なぜ今、重要なのか
ハート氏は、国連事務総長の「気候変動と公正な移行」担当の特別顧問です。インタビューでは、温室効果ガスの削減だけでなく、社会の在り方をどう変えていくかという点に議論が広がりました。
「公正な移行」とは、脱炭素社会への移行の過程で、雇用や地域経済、脆弱な立場にある人々が取り残されないようにすることを意味します。気候対策は、単なる技術やエネルギーの問題ではなく、
- 化石燃料産業に依存してきた地域の雇用をどう守るか
- 新しいグリーン産業への教育・職業訓練をどう支えるか
- 開発途上国の人々の生活の安定と発展をどう両立させるか
といった、社会全体の公正さに関わるテーマでもあります。インタビューでは、こうした視点から、気候行動を「人間中心の課題」として捉え直す必要性が語られました。
国連の役割:グローバル気候ガバナンスの「ハブ」として
気候変動は一国だけでは解決できない地球規模の問題であり、「グローバル気候ガバナンス(地球規模の気候のルールづくりと協力の枠組み)」が鍵となります。インタビューでは、国連がこの分野で果たしてきた役割と、今後への期待が語られました。
とくに、国連気候変動枠組条約のプロセスや、各国が自主的に削減目標を提出する仕組みなど、国連は各国の対話と合意形成の場を提供してきました。ハート氏の視点からは、
- 科学に基づいた気候目標の提示
- 先進国と開発途上国の橋渡し
- 資金・技術支援を含む「連帯」の促進
といった点で、国連が引き続き中心的な役割を担うことの重要性が強調されています。80年の歴史を持つ国連が、気候危機の時代にどのように信頼を維持し、実効性を高めていくかは、国際ニュースとしても注目すべきポイントです。
グローバル・ガバナンス・イニシアチブとSDGsの接点
インタビューでは、「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」と国連の持続可能な開発目標(SDGs)との関係も議論されています。グローバル・ガバナンス・イニシアチブは、多国間協力や国際秩序の改善を目指す構想として位置づけられ、国連の掲げるSDGsとどう整合させていくかが問われています。
SDGsは、貧困削減、教育、ジェンダー平等、気候変動対策など17の目標から構成されており、2030年までの達成が掲げられています。ハート氏との対話では、
- 気候変動対策をSDGsの他の目標と矛盾させず、相乗効果を生むように進めること
- さまざまな国・地域のガバナンス構想を、国連の枠組みと整合的に位置づけること
- 共通のルールと柔軟な協力の両立を図ること
といった観点から、グローバル・ガバナンス・イニシアチブとSDGsの接点が探られました。国際社会にとって、複数のイニシアチブを対立的に捉えるのではなく、補完し合うものとして設計していけるかどうかが、今後の焦点になりそうです。
私たちに突きつけられた問い:80年目の国連と市民の役割
今回の独占インタビューは、国際政治の専門家だけでなく、日常的にニュースをチェックする私たち一人ひとりにも、いくつかの問いを投げかけています。
- 気候変動を「遠い問題」ではなく、自分の生活と結びついたテーマとして捉えられるか
- エネルギー、消費、働き方の変化を「負担」だけでなく「公正な移行」の一部として考えられるか
- 国連や国際イニシアチブの議論を、日本語のニュースを通じてどう追い、どう議論に参加していくか
80年を迎えた国連と、加速する気候危機。ハート氏の対話は、「Better Together」という言葉を、スローガンではなく現実の選択としてどう実行に移すのかを考えるきっかけを与えてくれます。国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、この議論は「他人事」ではなく、次の世代にどんな地球を手渡すのかという、ごく身近なテーマにつながっています。
Reference(s):
cgtn.com








