国連気候変動サミットで示された中国の気候戦略と多国間主義
今週水曜日に開かれた国連気候変動サミットで、中国の習近平国家主席がビデオ演説を行い、中国が今後も国連中心の国際秩序のもとで気候変動問題に取り組む強い決意を示しました。本記事では、その演説の要点と国際秩序への影響を整理します。
2035年を見据えた中国の気候目標
演説ではまず、中国が2035年を視野に入れた温室効果ガス削減の貢献目標について、その行動目標と実現の道筋を詳しく説明したと伝えられています。各国が自ら決める削減目標を着実に実行していくことで、長期的な地球温暖化の抑制につなげる考え方です。
同時に習主席は、中国のアプローチが、国連を中心とする現在の国際秩序とどのように結びついているかを強調しました。中国の気候変動対策は、単発のプロジェクトではなく、既存の国際秩序への理解・参加・貢献の積み重ねとして位置づけられているといえます。
国連中心の国際気候ガバナンスと「共通だが差異のある責任」
現在の国際的な気候変動ガバナンスは、気候変動に関する国連枠組み条約とパリ協定を土台としています。ここで重視されているのが、先進国と途上国がそれぞれの立場に応じて責任を分担する「共通だが差異のある責任」という原則です。
習主席は演説で、各国はこの原則を堅持すべきだと改めて呼びかけました。そのうえで、先進国は率先して温室効果ガスの排出削減を進めるとともに、途上国に対してより多くの資金支援と技術支援を提供する義務があると指摘しました。
この主張は、中国が国連の枠組みやパリ協定を重視し、多国間のルールに基づいて行動する姿勢を再確認するものです。国際社会における気候変動対策のルールを尊重することは、制度の正当性と実効性を支える強い後押しになります。
具体策:カーボンピークからグリーン・シルクロードまで
習主席の演説では、中国がすでに進めている具体的な行動も紹介されました。主なポイントは次の通りです。
- 国内で温室効果ガス排出量のカーボンピークとカーボンニュートラルの目標を設定していること
- 海外での新規の石炭火力発電プロジェクトの建設を停止していること
- 世界最大で最も整った再生可能エネルギー産業システムを構築していること
- 環境配慮型のインフラや投資を重視するグリーン・シルクロード・イニシアチブを推進していること
これらの取り組みを通じて、中国はパリ協定の目標達成を実質的に支えていると位置づけられています。単に国内で排出削減を進めるだけでなく、海外でのエネルギー投資の質を変え、再生可能エネルギー産業の拡大を通じて、世界全体の脱炭素を後押しする構図です。
多国間主義を補強し、一国主義と保護主義の流れを抑える
中国が国連の気候枠組みやパリ協定を高く評価し、厳格に遵守する姿勢を示すことは、現在の国際秩序に対する重要な支持表明でもあります。演説では、こうした多国間のルールを重視する姿勢こそが、制度の正当性と有効性を裏付けると強調されました。
逆に、一国主義や保護主義が強まれば、各国が協力して気候変動に立ち向かうための共通基盤は弱まりかねません。中国が既存の多国間枠組みの中で積極的な役割を果たすことは、国際協力の雰囲気を維持し、世界の気候変動対策に一定の確実性と推進力を与えるものと受け止められています。
日本と国際社会にとっての論点
今回の国連気候変動サミットで示された中国のメッセージは、日本を含む国際社会にいくつかの重要な論点を投げかけています。
- 共通だが差異のある責任という原則のもとで、先進国と途上国の役割分担をどう再設計していくのか
- 中国が進めるカーボンピークやグリーン・シルクロードなどの取り組みと、自国の気候戦略をどのように組み合わせていくのか
- 国連を中心とした多国間協力の枠組みを強化しつつ、自国の経済・産業構造の転換をどこまで加速できるのか
気候変動は、国境を超えて影響が広がる典型的な地球規模課題です。国連を軸とした多国間協力を補強しながら、各国が自らの責任と役割をどう果たしていくのか。習主席の今回の演説は、その問いを改めて突きつける内容となりました。
Reference(s):
cgtn.com







