中国の2035年気候目標、国連サミットで発表
2025年9月24日、ニューヨークで開かれた国連気候サミットで、中国の習近平国家主席がビデオ演説を行い、2035年までの新たな気候目標(国別削減貢献=NDC)を発表しました。パリ協定採択から10年、地球温暖化が「1.5度」の目安を超えたとされる中での発表は、世界の脱炭素の行方を左右する一手として注目されています。
パリ協定10年目、加速する気候危機
今年は、2015年に採択されたパリ協定から10年の節目にあたります。パリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて2度より十分低く、できれば1.5度以内に抑えることを目指す国際的な枠組みです。
しかし、その道のりは順調とは言えません。2024年の世界平均気温は産業革命前と比べて約1.55度高かったとされ、パリ協定が掲げた1.5度の目安を初めて上回りました。気候変動対策の「時間切れ」が意識される状況です。
パリ協定の下では、すべての参加国が温室効果ガスの削減や気候変動への適応に向けた「国別削減目標(NDC)」を提出し、定期的に更新することになっています。NDCは、各国がどのように排出を減らし、気候変動の影響に備えるかを示す中長期の計画です。今回の国連気候サミットの終了時点で、100を超える国の指導者が更新版のNDCを提出しました。
中国が示した2035年NDC、その中身
そうした中で、中国が打ち出した2035年の新NDCは、国際社会の中でも高い意欲を示すものとして受け止められています。習主席のビデオ演説によると、中国は2035年までに次のような目標を掲げました。
- 温室効果ガスの経済全体のネット排出量を、排出がピークを迎えた水準から2035年までに7〜10%削減し、可能であればそれ以上を目指す。
- エネルギー消費全体に占める非化石エネルギーの比率を30%超に引き上げる。
- 風力・太陽光発電の設備容量を2020年の6倍超に拡大し、合計3,600ギガワット規模を目指す。
- 森林蓄積量(森林が蓄える木材量)を240億立方メートル超に増やす。
- 新車販売において、新エネルギー車(電気自動車など)を主流とする。
- 全国の排出権取引市場の対象を拡大し、主要な高排出部門を幅広くカバーする。
- 気候変動の影響に適応できる社会を「概ね実現」する。
これらの目標は、エネルギー、産業、交通、森林など、経済と社会の幅広い分野にまたがる包括的なパッケージです。
初の「絶対量」削減目標へ 広がる対象ガス
今回のNDCで大きなポイントとなるのが、中国が初めて「温室効果ガスの経済全体の絶対排出量」を削減する目標を掲げたことです。
これまでの中国の気候目標は、主に二酸化炭素排出のピークをいつ迎えるかといった指標に重点を置き、エネルギー部門の改善が政策の中心とされてきました。
一方、更新されたNDCでは、対象が二酸化炭素に限られず、他の温室効果ガスも含めた経済全体の排出が視野に入っています。中国の気候ガバナンスの枠組みは、より広い範囲と高い厳格さが求められる段階に入ったと言えます。
エネルギー構造の転換、再生可能エネルギーと森林吸収源の拡大、交通分野での新エネルギー車の普及、排出権取引市場の拡大など、多くの政策を組み合わせて進める必要が出てきます。
世界のグリーン転換に与えるインパクト
国連気候サミットが開かれたのは、世界の気候政治が不透明さを増す中でのことでした。そうした状況で中国が2035年までの具体的な削減目標とエネルギー転換の姿を示したことは、世界のグリーン開発と排出削減に対する「揺るがないモメンタム(推進力)」を与えるものと位置づけられています。
主要な排出国がどのようなペースで排出を減らし、非化石エネルギーや新エネルギー車をどこまで拡大するのかは、パリ協定の目標達成に直結します。中国の新たな約束は、今後、他の国や地域が自らのNDCを見直す際の、一つの重要な参照点になる可能性があります。
これから問われる「実行力」
今回の発表は、2035年という中期の節目に向けた中国の方向性を示したものです。同時に、掲げられた目標をどのような国内政策や国際協力によって具体化していくのかが、これからの焦点になります。
地球の平均気温が1.5度の目安を超えた今、各国の気候目標は、その中身の具体性と実行力がこれまで以上に注視されています。国連気候会議や各国のNDC更新の議論を追いながら、世界全体の将来像をどう描くのかを、私たち一人ひとりも考えていくタイミングに来ていると言えます。
Reference(s):
cgtn.com








