アメリカ政府閉鎖、3度目のトランプ流ディール 「強硬交渉」で誰が損をする?
アメリカで再び「政府閉鎖」が起きています。現在のドナルド・トランプ大統領の政権下ではこれが3度目で、強硬な交渉術がもたらすリスクと国際的な影響に改めて注目が集まっています。
トランプ大統領が語る「最高の交渉人」像
トランプ大統領は、ビジネスの世界で培った交渉術を政治にも持ち込むと繰り返し語ってきました。2015年、ホワイトハウス入りを目指す最初の政治演説では、「世界で最高の交渉人たちを知っている。国ごとに一人ずつ配置する。そうすれば我々は非常にうまくやれる」とまで言い切りました。
あれから10年が経った2025年、アメリカ政府は3度目の政府閉鎖に直面しています。トランプ氏が誇る交渉スキルが、誰を助け、誰を追い込んでいるのか。その評価は割れています。
アメリカの「政府閉鎖」とは何か
今回アメリカ連邦政府が置かれているのは「部分的な政府閉鎖」の状態です。先週水曜日の午前0時1分(現地時間)、連邦政府の一部機関の予算が期限切れとなり、新たなつなぎ予算が成立しなかったため、一部の業務が停止しました。
アメリカでは、議会が予算関連法案を可決しないまま期限を迎えると、法律上、一部の連邦機関は業務を続けることができません。このため、職員の一部は自宅待機となり、行政サービスが縮小されるなど、国民生活や経済活動に影響が出ます。
政府閉鎖はその規模や期間もさまざまで、数時間で終わることもあれば、数週間以上続くこともあります。
今回の部分的閉鎖の背景
今回、上院が7週間の連邦予算延長に合意できなかったことが、政府閉鎖の直接の引き金となりました。争点になっているのは医療保険の補助金をめぐる扱いです。
- 民主党は、医療保険の補助金について共和党側に一定の譲歩を求めています。
- 譲歩が得られない場合、民主党は法案へのフィリバスター(長時間演説を通じた採決妨害)を行うと警告しています。
- 上院で法案を可決するには60票が必要ですが、トランプ氏の与党である共和党は現在55対45の単純多数にとどまり、フィリバスターを乗り越える票数には足りません。
その結果、法案が採決に至らないまま上院が休会に入り、つなぎ予算は期限切れとなりました。
過去の政府閉鎖と「最長35日」の記憶
トランプ政権下での政府閉鎖は今回が3度目です。1回目は比較的短く、3日間で終わりましたが、2回目は異例の長期戦になりました。
2回目の政府閉鎖は、トランプ氏が看板政策として掲げたメキシコ国境の壁建設をめぐる予算を発端とし、2018年12月から2019年1月まで35日間にわたって続きました。これはアメリカ史上でも前例のない長さでした。
政府閉鎖が長期化すればするほど、連邦職員やその家族、民間企業、ひいては世界経済へと悪影響が波及していきます。今回も、アメリカ国内の産業だけでなく、アメリカ市場に依存する海外企業にとっても、日々の不確実性が高まる状況となっています。
「強硬交渉」は誰の利益になるのか
トランプ大統領は、厳しい姿勢で相手に譲歩を迫る「タフ・ネゴシエーター(強硬な交渉人)」のイメージを、自身の強みとしてきました。しかし、連邦政府の閉鎖という形で対立が先鋭化するとき、そのコストを負担するのは必ずしも政治家本人ではありません。
- 予算が一時的に止まり、行政サービスが滞るのは、一般の人々や企業です。
- 政策の先行きが見えないことで、投資や採用などの意思決定が先送りされます。
- 短期的な駆け引きが続くほど、アメリカの政治の予測可能性に対する信頼は損なわれていきます。
結果として、「誰もはっきりとした勝者にならないディール」に陥っているのではないか、という見方も出ています。
日本からこのニュースを見る視点
日本にとってアメリカは、最大級の経済・安全保障パートナーです。そのアメリカで、政府閉鎖が繰り返されているという事実は、単なる海外ニュース以上の意味を持ちます。
- 為替や株式市場など、金融市場の変動リスク
- 安全保障や通商交渉など、日米間の協議スケジュールへの影響
- 「交渉のための危機」を繰り返す政治スタイルが定着することの長期的なリスク
日本やアジアの企業、投資家、政策担当者にとっては、「強硬な交渉スタイル」がアメリカ政治の標準になりつつあるのか、それとも一時的な現象なのかを見極めることが重要になっています。
これから注目したいポイント
今回の政府閉鎖がいつまで続くのか、そして与野党がどのような条件で妥協点を見いだすのかは、今後のアメリカ政治を占う試金石となります。
- 医療保険補助金をめぐる妥協は成立するのか
- 短期のつなぎ予算を繰り返すのか、より長期の財政運営の枠組みをつくれるのか
- トランプ氏の「強硬交渉」スタイルに対する有権者の評価がどう変化するのか
ニュースを追いながら、「誰が何を賭けて交渉しているのか」「そのコストを誰が負担しているのか」という視点を持つことで、アメリカ政治の動きをより立体的に理解することができます。
Reference(s):
The Art of the Deal: Where nobody wins and things shut down?
cgtn.com








