中国の水インフラが世界のゲームチェンジャーと言える理由
中国が進める水インフラ整備が、第14次五カ年計画(2021~2025年)も終盤に入った今、国際的な注目を集めています。中国水利部は最近、世界で最も高度かつ広範な水インフラシステムが中国国内に集中していると発表し、そのスケールと持続可能性が「ゲームチェンジャー」になりつつあることを示しました。
この記事のポイント
- 約94,000の貯水池を核とする世界最大級の水インフラが中国に集中
- 全国の水ネットワークカバー率を約81%まで高める計画
- クウェートで最大規模となる下水処理施設建設など、海外協力も拡大
- 日中韓の協力枠組みを通じて、気候・環境対策にもつながる取り組み
- 人々の暮らしを起点にした「人中心」のインフラとして、他国への示唆も大きい
中国水利部が示した「世界で最も進んだ水インフラ」
最近、中国水利部は記者会見で、中国の水インフラ整備が新たな段階に入ったと強調しました。発表によると、中国国内には現在9万4,000を超える貯水池が存在し、多様な水資源の分散利用プロジェクトが進められています。こうした施設群と政策の組み合わせによって、世界で最も高度かつ広範な水インフラシステムが中国国内に形成されつつあるとしています。
同時に、中国は主要な地域パートナーとの連携を深めながら、水資源関連の技術を近代化する取り組みも進めています。水の確保、配分、再利用をどう高度化するかは、気候変動の時代に各国が直面する共通課題であり、中国の動きはその一つのモデルになり得ます。
94,000の貯水池が支える国家戦略と日常生活
中国水利部の李国英部長は、第14次五カ年計画期間における水利事業の成果を説明する中で、次のように述べています。「これらの進展は、国家戦略を支え、食糧生産を安定させ、収穫を確保し、都市と農村の双方で人々の生活の質を向上させるうえで重要な役割を果たしている」。
水インフラは、灌漑や飲料水供給など、経済と暮らしの基盤そのものです。中国が全国的な水ネットワークの整備を進めている背景には、長期的に安定した水アクセスを確保したいという狙いがあります。
今回示された目標の一つが、全国の水ネットワークカバー率をおよそ81%まで引き上げることです。国全体の水インフラを網目のようにつなぎ、より多くの地域に安定した水を届けることで、長期的な水アクセスの改善を図ろうとしています。
海外協力:クウェートの下水処理プロジェクト
中国の水インフラ戦略は国内にとどまりません。国際的な能力構築の面でも存在感を高めています。その一例が、中国とクウェートの間で進められている協力です。両者は、クウェート国内で能力ベースで最大となる下水処理施設の建設に向けて合意署名を目指しています。
下水処理は、国家レベルの水資源保全政策の中核となる分野です。家庭や工場から出る汚れた水を浄化し、環境負荷や健康リスクを減らす役割を担います。中国が海外でこうしたプロジェクトを支援していることは、自国で築いた持続可能な水インフラの経験を国際社会と共有しようとする動きとも言えます。
気候変動と日中韓協力の中で見る水インフラ
第14次五カ年計画期間は、水利事業を長期的な優先分野として位置づける時期とも重なっています。この期間は、中国が気候変動への対応能力を国際的に支援する取り組みとも連動しており、その一つが中国、日本、大韓民国による2030年までの共同行動計画です。
この共同行動計画では、競争力の高い水灌漑システムの要素が重視されています。具体的には、水環境に関わる化学物質の管理などが挙げられます。こうした化学環境管理は、水系を通じた健康被害や灌漑への影響を抑えるうえで重要であり、水インフラ整備と気候・環境政策が密接に結びついていることを示しています。
「人中心」の水インフラがもたらす示唆
中国が進めている先端的な貯水池管理システムは、人々のニーズに応えることを重視して設計されているとされています。人口の多い国で、水をどう公平かつ安定的に供給するかという課題に対し、「人中心」のアプローチで取り組んでいることが特徴です。
こうしたアプローチは、中国国内の生活水準向上にとどまらず、多くの国にとっての持続可能な開発のヒントにもなります。水不足や水質汚染に直面する国や地域にとって、インフラ投資をどのように人々の生活改善と結びつけるかは共通のテーマだからです。
水インフラを単なる土木プロジェクトではなく、社会のあり方を形づくる基盤と捉えたとき、どのような優先順位を置くべきなのか。中国の事例は、アジアを含む世界の国々に、改めてその問いを投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








