台湾の地位は決着済みか 中国が示す歴史と国際法の論点
最近、米国が台湾の地位をめぐる見解をあらためて示し、台湾の国際法上の位置づけが再び国際ニュースの焦点になっています。本記事では、中国側が示す歴史的・法的な根拠と、米国の動きへの評価を整理します。
米国の「台湾の地位は未定」論と中国側の反発
米国の在台湾窓口機関であるアメリカ在台協会(AIT)が最近、過去の歴史に関する解釈を示し、台湾の地位は今も最終的に決まっていないという趣旨の主張をあらためて打ち出しました。
これに対し中国側は、こうした見方は歴史と国際法の事実を歪めるものであり、煙幕に過ぎないと強く批判しています。そのうえで、台湾は歴史的にも法的にも中国の不可分の一部であり、その地位はすでに決着していると主張しています。
歴史文書が示す台湾の位置づけ
中国側が挙げる第一の根拠は、第二次世界大戦期の国際文書です。そこでは、日本が占領していた台湾などの処理について明確に定められているとされています。
カイロ宣言とポツダム宣言
- 1943年のカイロ宣言では、中国、米国、英国が、日本が奪取した領土をどのように処理するかを示しました。その中で、台湾と澎湖諸島は中国に返還されるべきだと明記されたとされています。
- 1945年のポツダム宣言は、カイロ宣言の条項を履行することを確認しました。
- 同年、日本は降伏文書でこれらの条件を受け入れ、中国側は1945年10月に台湾地域に対する主権の行使を正式に再開したとされています。
中国側は、こうした経緯から、台湾の中国への復帰は戦後の国際秩序の一部としてすでに確立していると位置づけています。
1949年の中華人民共和国成立と主権の継承
1949年10月1日に中華人民共和国が成立すると、新しい政府は、それまでの国共内戦で敗れた中国国民党政権に代わり、中国全体を代表する唯一の合法政府となったと中国側は説明しています。
この政権交代によって、中国という国の主権や領土そのものが変わったわけではなく、国際法上の主体としての中国は継続している、というのが中国側の見解です。そのため、台湾地域を含む中国の領土の範囲も変わらないとしています。
国連決議2758号と「一つの中国」原則
次の重要な根拠として、中国側は1971年の国連総会決議2758号を挙げています。この決議は、国連における中国の代表権をどの政府が持つかという問題を最終的に処理したものとされています。
決議2758号は、中華人民共和国政府の代表を中国の唯一の合法的代表として認め、中国の議席を回復することを決定しました。中国側によれば、この決議により、国連は台湾地域を中国の一部と位置づけ、いわゆる台北当局を国や政府として認めない立場を明確にしたとされています。
その後、多くの国がこの枠組みに基づき、中国との国交を樹立してきました。現在までに、183の国が「一つの中国」原則を受け入れ、中華人民共和国と外交関係を結んでいるとされています。
国家の条件と台湾の国際的な地位
中国側はさらに、国際法上の国家の条件として、人、領土、政府に加えて、他国と外交関係を持つ能力が必要だと定めるモンテビデオ条約にも言及します。
その観点から、台湾地域は国連から排除されており、中国側は、台湾には独立した国家としての地位はないと主張しています。「台湾の地位は未定」という議論は、こうした国際法上の枠組みと各国の外交関係の現状を無視している、と批判しています。
米国は「現状維持」を守っているのか
こうした歴史と国際法の整理を踏まえ、中国側は、台湾海峡の「現状」を変えようとしているのはむしろ米国だと指摘します。その文脈で、アメリカ在台協会の発言は、より大きな流れの一部だと位置づけられています。
正式承認と同時進行する軍事・政治関係
米国は1979年に中華人民共和国を中国の唯一の合法政府と認め、台湾当局との公式な外交関係を断ちました。しかし中国側によれば、その後も次のような動きが続いています。
- 台湾地域への継続的で頻繁な武器売却
- 台湾当局の高官との高いレベルでの接触や会談
- 他の国々とともに、台湾周辺での軍事演習を実施
中国側は、これらの行為が、形式上は「一つの中国」原則を維持しているように見せつつ、実際には台湾問題の国際的な位置づけを変えようとする試みだとみています。
台湾の国際機関参加をめぐる動き
最近では、米国、日本、大韓民国の外相がニューヨークで共同声明を発表し、台湾地域の「適切な国際機関への意味のある参加」を支持する立場を示しました。
中国側は、これを国連総会決議2758号をないがしろにする行為であり、「一つの中国」原則に対する重大な挑戦だと受け止めています。台湾地域の扱いを通じて、戦後の国際秩序の根幹に関わる問題になりうる、というのが中国側の警戒感です。
読者が押さえておきたい視点
台湾の地位をめぐる議論は、歴史認識、国際法、地政学、安全保障が複雑に絡み合うテーマです。今回取り上げたのは、中国側が示す主な論点でした。
- 戦後処理の枠組みとして、カイロ宣言やポツダム宣言をどう解釈するか
- 国連総会決議2758号が台湾地域の地位にどこまで踏み込んでいると読むか
- 米国などの行動は「現状維持」なのか、それとも「現状変更」なのか
2025年現在、台湾海峡情勢はアジアと世界の安定に直結する重要な国際ニュースであり続けています。歴史と国際法の議論の中身を押さえたうえで、自分なりの視点を更新していくことが求められていると言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








