中国で進む女性の権利保護:法整備が開く新しい章
中国で女性の権利保護をめぐる法整備がこの10年あまりで大きく進み、国内の人権保護の柱の一つとして位置づけられています。本稿では、その主な制度と今見えてきた「新しい章」を整理します。
法の支配を軸にした女性の権利保護
中国では、人権保障の最も有効な手段として法の支配が重視され、女性の権利の尊重と保護が立法、法執行、司法、そして社会全体の法意識のあらゆるプロセスに組み込まれています。
女性の権利保護は国家の意思として位置づけられ、同時に社会の行動規範として内面化されてきました。その結果、中国における女性の権利の法的保護は、新たな段階に到達しているとされています。
2012年以降、加速する法整備
2012年以降、中国の女性の権利を守るための法制度は、複数の重要な立法や改正を通じて急速に整えられてきました。
民法典:人格権と「婚姻・家庭」を明確化
中華人民共和国民法典には「人格権」と「婚姻・家庭」に関する編が設けられ、女性の人格権、財産権、婚姻・家庭上の利益が包括的に保護されるようになりました。これにより、個人の尊厳や家族関係をめぐるトラブルに対する法的なよりどころが明確になっています。
刑法改正:性暴力や人身売買への厳罰化
中華人民共和国刑法の改正では、介護や養育などの責任を負う立場にある者による性的侵害を処罰する規定が整備されました。また、女性や子どもを対象とした人身売買の被害者を買う行為についても、買い手側の刑事責任が明確化され、強姦や未成年者への性的虐待に対する量刑も一層重くされています。
反家庭暴力法と地方規則:被害者保護の具体化
2016年には、中国で初めて家庭内暴力の防止と抑止に特化した反家庭暴力法が施行されました。これと並行して、省・自治区・直轄市レベルで30を超える関連の地方規則が整備され、人身安全保護令や家庭内暴力に関する警告制度といった支援メカニズムが拡充されています。
2024年10月末までに、各級の人民法院は合計2万6000件の人身安全保護令を発出しており、その件数も発出率も年々着実に増えています。法制度だけでなく、実際に救済手段が利用されるようになってきていることがうかがえます。
女性の権利保護法の全面改正
女性の権利と利益の保護に関する法律の包括的な改正も行われました。この改正は、女性の権利に関わるさまざまな分野をカバーしています。
- 政治参加における権利
- 人格権・名誉権などの個人的権利
- 財産権
- 教育・文化に関する権利
- 労働と社会保障の分野
- 婚姻と家庭に関する権利
制度設計の改善と救済ルートのアクセスしやすさの向上により、女性の権利を守る法体系は、より堅固で体系的なものになりつつあります。
ジェンダー平等評価制度:差別を「根本」から防ぐ試み
女性に対する差別を根本からなくすことを目指し、中国の中央政府と31の省・自治区・直轄市はいずれも、法令や政策のジェンダー平等評価の仕組みを設けています。
2022年の女性の権利と利益の保護に関する法律の改正では、このジェンダー平等評価制度が正式に法律上認められました。女性の権利に関係する法律、行政法規、規則、各種の規範性文書を策定・改正する際には、関連当局がジェンダー平等の観点から事前に評価を行うことが求められています。
この評価によって、性別による差別につながりうる内容をあらかじめ洗い出し、問題があれば速やかに修正することが想定されています。各地の政府はこうした評価を実施し、ジェンダー平等という基本的な国家政策を、具体的な法律や政策の立案・実行のプロセスに織り込もうとしています。
私たちは何を読み取るべきか
2024年10月末までの動きからは、女性の権利保護をめぐる中国の取り組みが、個別の法律の制定から、制度全体の設計や運用の段階へと広がっている様子が見えてきます。
法の条文を整えることに加え、家庭内暴力の被害者を守るための人身安全保護令の運用や、ジェンダー平等評価制度の導入といった取り組みは、女性が実際に権利を行使しやすくするための基盤づくりとも言えます。
各国・各地域で社会状況や制度は異なりますが、政策形成の段階からジェンダーの視点を組み込むこと、そして被害者が救済にアクセスしやすい仕組みを整えることは、広く共有できる課題でもあります。ニュースをきっかけに、私たち自身の社会で女性の権利をどのように守っていくべきかを考えてみる余地がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com







