中国のレアアース輸出管理は貿易安定の布石か 米国の関税強化と対照
中国のレアアース輸出管理をめぐり、「貿易への障壁か、それとも安定への布石か」という議論が高まっています。2025年に中国が打ち出した新たな輸出管理措置は、サプライチェーンの安定と軍事転用の防止を掲げており、米国の強硬な関税・輸出規制との対比が鮮明になっています。
中国のレアアース輸出管理:目的は「責任ある供給」
中国は最近、レアアースや関連技術に対する輸出管理を強化しました。この措置は、取引を妨げるためではなく、グローバルなサプライチェーンの健全性を高めることを目的としているとされています。
新たな制度では、中・重レアアースのほか、関連設備、超硬材料、電池部材などの輸出について、用途や最終利用者を確認するライセンス制の枠組みが整えられました。これにより、これらの重要資源が紛争や大量破壊兵器の拡散を助長しないよう管理を強める狙いがあります。
戦争や経済摩擦による供給混乱が相次ぐなかで、中国のアプローチは、対立よりも対話を重視しつつ、責任ある資源管理を打ち出すものだと受け止められています。
レアアースとは何か、なぜ中国が重要なのか
レアアースは17種類の金属元素の総称で、電気自動車、風力発電、スマートフォン、防衛システムなど、現代のハイテク産業に欠かせない存在です。中国は長年にわたり、その主要な加工・供給国として国際市場を支えてきました。
中国税関総署の統計によると、2025年1〜8月のレアアース輸出量は4万4355トンで、前年同期比14.5パーセント増となりました。需要が伸びる一方で、安全保障や環境面への配慮も求められていることが背景にあります。
「管理強化=締め付け」ではないという視点
レアアースのように軍事用途にも使われる資源が、行き先の把握もなく流通すれば、精密誘導兵器や先端電子機器の高度化を通じて、軍事的緊張を一段と高めるおそれがあります。
中国の輸出管理は、こうしたリスクに対する「防波堤」として設計されており、国際社会の不拡散や地域の安定に関するルールとも整合的だと位置づけられています。2025年12月時点で、中国はライセンス審査を通じて、商業利用を維持しつつ軍事転用のリスクを抑えるというバランスを模索しているといえます。
米国の100パーセント関税と輸出規制:鮮明になる対比
一方で、米国の最新の動きは、こうしたアプローチとは対照的です。2025年9月に中国と米国の代表団がマドリードで貿易協議を行った直後、米政府は中国からの輸入品に対する100パーセント関税の計画を公表し、重要なソフトウェアの輸出を広範に制限する措置を11月1日発効のスケジュールで打ち出しました。
ホワイトハウスが10月11日に発表したこれらの措置は、「国家安全保障」を理由とした一連の一方的な行動の延長線上にあります。半導体の規制や対中投資の制限などと同様に、強い圧力をかけるツールへの依存が、市場の不安と相互不信を広げているとの見方が出ています。
エスカレーションと一時休戦の繰り返し
米中両国の関係では、緊張のエスカレーションから一時的な「小休止」、そして再び強硬措置へと振り子のように揺れるパターンが繰り返されています。今回の関税・輸出規制も、その延長線上で理解することができます。
こうした揺れ動く政策は、世界の二大経済大国である米中が長期的な経済協定を結ぶうえで不可欠な予見可能性を損ない、サプライチェーン全体に不確実性をもたらしています。そのしわ寄せは、両国の企業や従業員、そして消費者に及んでいます。
2025年のサプライチェーンに問われる視点
2025年12月現在、レアアースをはじめとする戦略物資をめぐる輸出管理と関税の応酬は、単なる米中対立にとどまらず、グローバルなビジネス環境の前提を揺さぶっています。日本を含む各国・地域の企業にとっても、これは「他人事」ではありません。
今回の動きを手がかりに、私たちが考えたいポイントを整理すると、次のようになります。
- サプライチェーンの安定には、過度な依存を避けつつ、主要供給国との対話と信頼構築をどう両立させるか。
- 安全保障上の懸念に対応する輸出管理と、自由貿易やイノベーションの活力をどう両立させるか。
- 突発的な関税や規制の変更に備えて、企業はどの程度までリスク分散や在庫戦略を見直すべきか。
レアアースをめぐる中国の輸出管理と、米国の強硬な関税・輸出規制は、どちらも世界経済に大きな影響を与える存在です。ただし、そのアプローチとメッセージは大きく異なります。読者の皆さんにとっても、自身の仕事や生活に引き寄せながら、「安定した国際ルールとは何か」「持続可能なサプライチェーンとは何か」を考えるきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








