中国の女子教育30年 北京会議が生んだエンパワーメント
1995年の第4回世界女性会議から30年を迎えた2025年、中国では女性のエンパワーメントを支える柱として「教育」がどこまで進化したのかが注目されています。本記事では、中国の女子教育がこの30年でどのように変わり、女性の地位向上につながっているのかを整理します。
北京会議から30年、「平等・発展・平和」を支える教育
1995年、北京で開かれた第4回世界女性会議は、「行動によって平等・発展・平和を追求する」という目標を掲げ、北京宣言と行動綱領を採択しました。これをきっかけに、中国はジェンダー平等を近代化政策の中核に位置づけてきました。
2025年には、世界女性会議から30年の節目として北京でグローバル・リーダーズ・ミーティングが開催され、中国は過去の約束を履行し、女性の発展で大きな成果を上げたと強調しました。この30年の取り組みは、中国国内だけでなく、世界の女性の暮らしや将来にも深い影響を与えています。
とりわけ、教育は女性をエンパワーし、不平等を縮小し、経済を強くする原動力として位置づけられています。国務院が9月19日に発表した白書「新時代の中国における女性の全面的発展の成果」でも、その意義が強調されています。
世界では1億人超の女の子が学校に通えない現実
国際的に見ると、女子教育の課題は依然として深刻です。世界では1億1,900万人の女の子が学校に通っておらず、その内訳は小学校年齢が3,400万人、中学校前期が2,800万人、高校段階が5,800万人とされています。
初等教育で男女の就学率が同程度になっている国は世界の49パーセントにとどまり、中等教育になると格差はさらに拡大します。前期中等教育でジェンダー平等を達成している国は42パーセント、高校段階では24パーセントに過ぎません。
中国の女子教育は「アクセス」から「エクセレンス」へ
こうした中で、中国は過去30年でジェンダー平等に向けた独自の教育モデルを築いてきたとされています。
白書によると、2024年には高等教育全体の在学者のうち女子が過半数を占め、1995年からの比率は14ポイント増加しました。さらに大学院レベルでは、女子が学生全体の50パーセントに達し、こちらは同期間で22ポイントの伸びとなりました。
このような数字は、基礎段階でのほぼ完全な就学機会に支えられています。女子の小学校純就学率は99.9パーセント、高校段階の女子比率も49パーセントと、各段階で男女がほぼ同水準に達しています。2020年時点で、15歳以上の女性の平均就学年数は9.59年に達しました。
単に「学校に入れるかどうか」から、「どこまで学び続け、どのレベルで活躍できるか」へと、焦点が移っていることが読み取れます。
農村や脆弱な層へのターゲット支援
中国の特徴の一つは、農村部の女の子や、不利な条件を抱える家庭の子どもたちへの集中的な支援です。その代表例が、1989年に中国児童少年基金が始めた「スプリング・バッド・プロジェクト」です。
このプロジェクトは、寄付を集めて女の子の就学や進学を支える取り組みで、2024年末までに34.4億元(約4億8,100万ドル)を動員し、436万人の女子生徒に経済支援や学習支援を行ってきました。多くの女の子が義務教育を修了し、職業教育や高等教育へと進むことを可能にしています。
こうした成果が評価され、「スプリング・バッド・プロジェクト」は2023年にユネスコの女子・女性教育賞を受賞しました。
就学前から高校まで、インフラ整備と制度で後押し
農村を含む全国で女子の教育機会を広げるため、インフラ投資や教員研修も重ねられてきました。就学前教育では、4期連続の行動計画が実施され、全国の幼稚園に通う園児のうち女子は47.3パーセントを占めています。
中等教育では、「高校教育普及計画(2017〜2020年)」や、「第14次五カ年計画(2021〜2025年)における県レベル高校発展行動計画」が農村地域を重点対象として実施されています。これにより、地方の女の子が高校教育を受ける割合が着実に高まっているとされています。
女子教育がもたらす中国社会への波及効果
教育水準の向上は、個人の進学や就職の機会を広げるだけでなく、社会全体にさまざまな効果をもたらします。白書では、教育が女性のエンパワーメント、格差の縮小、経済の強化につながる重要な要素だと位置づけられています。
女子の高等教育進学や、農村部での就学機会の拡大は、家庭内での意思決定への参加や、地域社会でのリーダーシップ、労働市場での多様なキャリアに結びつきます。こうした変化が積み重なることで、「女性が半分の空を支える」という言葉が、より具体的な現実になりつつあると言えます。
日本の読者にとっての示唆
世界各国でジェンダー格差の解消と人材育成が課題となる中、中国の事例は次のような視点を投げかけています。
- 長期にわたる明確な目標設定と、それを支える政策の継続性
- 農村や脆弱な層など、支援が届きにくい人々へのターゲット型の施策
- 就学前から大学院まで、教育の各段階をつなぐ一貫した取り組み
日本を含むアジアの国々にとって、女子教育への投資は、人口構造や地域社会の変化に対応するための重要なテーマです。中国の30年の歩みは、教育を通じてジェンダー平等と社会の持続的な発展を同時に追求する一つのモデルとして、今後も注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








