農村女性が「半分の空」を支える アフリカ発・ジェンダーとインフラ改革
2025年の国際農村女性デーは、ジェンダー平等をめぐる逆風が強まるなかで迎えられました。国際ニュースとしても見逃せないのは、こうした状況でも農村女性が今も「半分の空」を支え続けているという現実です。アフリカの事例から、農村女性を取り巻く課題と、インフラ改革による可能性を見ていきます。
農村女性は「半分の空」を支える存在
多くの議論では、農村女性が農村経済を支えているという点が強調されます。サハラ以南アフリカでは、農村女性は農業と食に関わる「アグリフードシステム」の労働力のおよそ49%を占めています。さらに、商取引や加工、食品供給、労働者として農場外で働く人びとのうち、約63%が農村女性だとされています。
それほど大きな役割を担っているにもかかわらず、農村女性は土地や家畜の所有、家計や農業の意思決定、金融サービスや生産に必要な資材へのアクセスなど、あらゆる面で不利な立場に置かれがちです。
この不利な状況は、女性一人ひとりの生産性と成長を妨げるだけでなく、農村全体の経済力を弱め、地域の食料システム、さらには世界の食料システムにも悪影響を与えます。
見えない負担:水くみとケア労働に費やされる時間
農村女性が担うのは生産の仕事だけではありません。家事や子どもの世話、高齢者ケアなど、「無償のケア労働」に膨大な時間を使っていることも重要な国際ニュースの論点です。
アフリカでは、とくに水へのアクセスが大きな負担となっています。自宅に水道がない世帯では、その80%で水をくむ主な担い手が女性と女の子だとされています。世界全体で見ると、毎日数百万人の女性と女の子が水くみに費やす時間は合計2億時間にも達し、それは830万日分、つまり2万2,800年分に相当するとされています。
この時間は、本来であれば教育、収入を得る仕事、休息やコミュニティ活動などに向けられたかもしれない時間です。水くみやケア労働の負担を軽くすることが、農村女性の人生を大きく変える可能性があるといえます。
ジェンダーに配慮したインフラで農村を変える
こうした負担を軽減し、農村女性が「繁栄する」ための鍵のひとつが、ジェンダーに配慮したインフラづくりです。インフラとは、市場、水道、道路、エネルギーなど、日々の生活と経済活動を支える基盤のことを指します。
農村インフラをジェンダー視点で設計し直すことで、女性の資源アクセスや経済機会を広げるだけでなく、無償の家事・ケア労働を減らすことができます。結果として、農村経済全体の底上げにもつながります。
市場インフラを女性の視点でつくり直す
アフリカの多くの地域では、農産物などを売買する農村市場の利用者や小規模商人の多くを農村女性が占めています。しかし、実際の市場インフラは、女性のニーズや優先事項を十分に考慮して設計されているとは限りません。
- 水道設備がない
- トイレや衛生設備が不十分
- 子どもを預ける場所がない
このような環境では、女性は乳幼児を連れて長時間市場に立つことになり、取引に集中しづらく、安全面や衛生面の不安も大きくなります。
ケニアでは、こうした課題に対応する動きも生まれています。現地の非政府組織はナイロビの地方政府と協力し、市場の中に保育施設を組み込む取り組みを進めました。これにより、女性は子どもが安全で質の高いケアを受けていることを確認しながら、安心して市場での仕事に専念できるようになっています。
水へのアクセスを変えるインフラ整備
水インフラの整備も、農村女性の生活を変える重要な要素です。コンゴ民主共和国の中部地域では、アフリカ開発銀行が市民社会と協議しながら、「中部地域社会経済インフラ強化プロジェクト」と呼ばれる計画を設計・資金支援しました。
このプロジェクトは、女性たちの生活実態を踏まえ、ジェンダーに配慮したインフラ整備を組み込んでいる点が特徴です。その一つが、安全な給水ポイントを女性たちの住まいに近い場所に設置する取り組みです。
水場が家から近く、安全に利用できるようになれば、水くみにかかる時間と身体的な負担は大きく減ります。空いた時間を使って、農業や商取引、教育などに取り組むことができれば、農村女性だけでなくコミュニティ全体の発展にもつながります。
障壁を取り除けば、得られるものは大きい
農村女性が直面する資源アクセスの不平等や、無償のケア労働の負担は、長年にわたり「当たり前」とみなされ、政策やインフラ設計のなかで十分に可視化されてきませんでした。
しかし、こうした障壁を取り除くことができれば、女性本人だけでなく、家族、地域、そして経済全体にとって利益は非常に大きいとされています。農村開発をより包摂的でジェンダーに応答的なものにしていくことで、農村女性が真に「繁栄する」道が開けます。
2025年の国際農村女性デーをきっかけに、アフリカの事例は、世界の農村地域、そして私たちが暮らす社会にとっても、次のような問いを投げかけています。
- 日常のインフラは、誰の視点で設計されているのか
- 無償のケア労働の負担は、誰の肩に偏っているのか
- その「当たり前」を変えるために、どのような投資と対話が必要か
農村女性の現実を知る国際ニュースは、遠い地域の話にとどまりません。日々の暮らしを支えるインフラをどのようにデザインし直すのかという、私たち自身の社会づくりともつながるテーマといえそうです。
Reference(s):
cgtn.com








