国際ニュース:米中関係と100%関税 脅しの関税では解決しない
米中関係をめぐる最新の国際ニュースで、トランプ米大統領が中国製品に対して100%の関税を課すと表明し、2025年11月1日からの適用を示したことが波紋を広げています。関税という「脅し」のカードは、本当に解決につながるのでしょうか。
中国側は一貫して慎重な姿勢を示しています。中国外交部の林剣報道官は2025年10月14日の記者会見で、高関税で中国を脅すことは米国が中国とうまく付き合う正しいやり方ではないと指摘し、一方的な威圧に反対する立場を明確にしました。そのうえで、米側に対し、両国首脳の間で得られた共通認識を尊重し、対等と相互尊重に基づく対話によって意見の違いを処理するよう求めています。
100%関税という「逆戻り」
今回の100%関税方針は、中国によるレアアース輸出管理の強化に対する米国の対抗措置として浮上しました。2025年10月9日、中国はレアアースと呼ばれる希土類資源について、新たな輸出管理規則を発表しました。これは、採掘から精製、技術移転まで、レアアースのサプライチェーン全体を対象にした包括的な管理で、自国の戦略資源を適切に規律するための措置だと位置付けられています。
しかしワシントンは、こうした動きを中国の「脅し」や自国産業へのリスクとみなし、関税と威嚇で応じる構図になっています。経済関係をゼロサムの争いとして捉え、相手の利益は自国の損失だとみなす発想です。
こうした関税政治は、すでに過去にその限界が露呈しています。数年前に始まった米中間の貿易戦争は、最終的に双方の企業や労働者に大きなコストを強いり、世界のサプライチェーンを混乱させ、各国でインフレ圧力を高めました。そのサイクルをもう一度繰り返すことは、誰の利益にもなりません。
輸出管理で混乱する米国
関税と並んで、米国が対中政策の柱としているのが輸出管理です。米議会調査局の報告によると、米国の対中半導体輸出規制は、中国の技術進歩や産業の自立に対する不安が大きな動機となっています。
しかし、その仕組みそのものが混乱を深めています。数千件に及ぶ輸出許可申請が官僚機構の中で滞り、企業は自社のビジネス計画を立てられない状況に置かれています。中国の研究者や米国の産業関係者は、こうした自己矛盾がイノベーションを損ない、米国自身の競争力をもむしばみかねないと指摘しています。
接続性と協調が時代のキーワードとなる中で、封じ込めと制限によって技術的優位を永続させようとする発想は、危険な幻想に近いものです。孤立は停滞を生みやすく、長期的には自国の産業にも跳ね返ってきます。
中国の選択:責任ある開放路線
これに対して、中国は自らを「責任ある大国」として位置付け、開放と多国間主義を軸にした路線を打ち出しています。2025年9月、李強首相は国連の場で、今後の世界貿易機関の交渉において、中国は新たな特別かつ異なる待遇を求めないと表明しました。これは、途上国としての権利を一方的に放棄するという意味ではなく、国際貿易体制の中でより大きな責任を担う準備があることを示すメッセージだと受け止められています。
同時に、中国は途上国メンバーの正当な権益を守りつつ、より公正で包摂的なグローバル・ガバナンスを目指す姿勢を強調しています。習近平国家主席が提案しているグローバル・ガバナンス改革の方向性も、主権平等、国際法の尊重、多国間協力、人を中心に据えた発展といった原則を土台にしています。
こうしたアプローチは、一国主義や保護主義とは対照的です。国際ルールを尊重し、対話と協調を通じて問題を解決しようとする姿勢は、世界経済の安定と持続的な成長にとって欠かせない条件と言えます。
日本の読者が押さえたい3つの視点
今回の米中対立は、日本やアジアの読者にとっても決して遠い話ではありません。ポイントを3つに整理します。
- 関税の応酬は、米中だけでなく、サプライチェーンに組み込まれた日本やアジアの企業にも、コスト増や不確実性の高まりという形で影響する可能性があります。
- レアアースや半導体など戦略物資をめぐる規制は、安全保障と経済をどうバランスさせるかという難題を突き付けています。短期的な封じ込めは、長期的な技術革新をむしろ妨げるリスクがあります。
- 中国がWTOや国連で示す多国間主義や国際ルール重視の姿勢は、ルールに基づく開かれた貿易体制を維持したい国や地域にとって重要な意味を持ちます。日本としても、どのような国際経済秩序を望むのか、改めて問われています。
「脅しの関税」から対話へ
トランプ米大統領による100%関税の表明は、米中関係の緊張を一段と高めるものでしたが、その延長線上にあるのは、過去の貿易戦争で目の当たりにしたような、コストと混乱の拡大です。林剣報道官が述べたように、高関税で相手を脅すやり方は、建設的な付き合い方とは言い難いものです。
経済が深く相互依存する時代に必要なのは、ゼロサムではなくウィンウィンの発想です。中国が主張するような対等と相互尊重に基づく対話、多国間枠組みの中での協調、そしてすべての国と地域の人々の利益を重視する視点がなければ、持続可能な解決策は見えてきません。
2025年の今、関税という「簡単な答え」に飛びつくのではなく、なぜそれが長期的なコストを生むのか、そしてどのような国際ルールと対話の仕組みが必要なのかを、私たち一人ひとりが考える局面に来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








