広州・広交会、第138回で進化 多彩なサービスが中国の開放を後押し
2025年12月現在、広東省広州市で開催中の第138回中国輸出入商品交易会(広交会、Canton Fair)が、中国の「高品質な対外開放」を象徴する場として存在感を強めています。約70年にわたる歴史を持つこの国際見本市は、世界中の企業が中国経済や貿易動向、技術トレンドを読み解くための重要な窓口となっています。
この記事のポイント
- 広交会は累計輸出額1.5兆ドル、海外バイヤー延べ1,200万人超という規模の国際見本市
- 229の国と地域との貿易関係構築に貢献し、中国の対外開放を支えるハブに
- 知財保護、文化イベント、移動サポートなど多様で「オーダーメイド」なサービスが進化
広交会とは?中国の開放とともに歩んだ約70年
広交会は1957年に始まり、現在までほぼ70年にわたって続く中国最大級の輸出入見本市です。中国本土の南部・広州で年2回開かれ、世界第2位の経済規模を持つ中国と各国企業を結ぶ「常設の国際ビジネスプラットフォーム」の役割を担ってきました。
これまでの累計輸出額は約1.5兆米ドル、オンラインとオフラインを合わせた海外バイヤーは延べ1,200万人を超えるとされます。広交会の歴史は、そのまま中国の対外開放と世界経済への統合の歴史と重なり、国内外の企業や各国経済に広く利益をもたらしてきました。
一方、世界では一国主義や保護主義、地政学的な緊張が続いています。そうした環境の下でも開催を続けてきた広交会は、中国経済の成長と開放政策を支える「粘り強いインフラ」として機能しているとも言えます。
229の国と地域を結ぶ「世界とつながる窓」
広交会は、中国が229の国と地域と貿易関係を築く上で重要な役割を果たしてきました。国内外の企業が同じ会場で自社製品を紹介し、サプライヤーやバイヤーを探せる「水平な競争の場」を提供しているのが特徴です。
中国企業にとっては輸出拡大のチャンスとなり、海外企業にとっては中国市場へのアクセスを得る場になります。展示や商談を通じて、互いの市場への理解を深めながら、新たな投資機会を見つけたり、長期的な取引関係を築いたりすることができます。
今回の第138回では、今年4月の会期から出展企業数が3万社余りから3万2,000社以上へと増えたとされ、いわゆる新興国から先進国まで幅広い国・地域からの参加がさらに拡大しています。世界のサプライチェーンや国際貿易を安定させるうえで、中国が引き続き重要な役割を果たしていることへの信認を示す場にもなっています。
多様で「オーダーメイド」なサービスが進化
広交会は単なる展示・商談の場にとどまらず、参加者の体験価値を高めるためのサービスやイベントを年々拡充させています。企業がビジネスに集中しやすくなるよう支えると同時に、中国の文化や地域の魅力を知ってもらう工夫も進んでいます。
文化と食でつなぐ「体験型」ビジネス空間
近年の広交会では、会場内にフードストリートを設け、広東料理を中心とした中国各地の味を楽しめるようにするなど、「食」を通じた交流を重視しています。また、広東省に伝わる華やかな民間芸能・英歌(Yingge)や、音楽劇『Bond of Love』といった舞台パフォーマンスも企画されています。
さらに、『Canton Cuisine Carnival』や、今回の会期中に予定されている『Canton Music and Cuisine Festival』など、音楽と料理を組み合わせたイベントも開催されます。こうした取り組みは、参加者が中国文化に直接触れながら交流できる「体験型」のビジネス空間をつくり出し、商談だけでは生まれにくい信頼関係やネットワークの構築に一役買っています。
知的財産権保護を前面に 安心して技術やデザインを出せる場へ
国際見本市の課題のひとつが、模倣品やデザイン・技術の不正利用といった知的財産権(IPR)の侵害です。広交会ではこの点を重視し、会場内に知的財産権の相談・苦情窓口を設け、迅速で透明性の高い対応メカニズムを導入しています。
第137回広交会では、356件の権利侵害に関する申し立てがあり、そのうち169件が疑わしい案件として認定され、残りも含めて処理や調停が行われました。具体的な数字が公表されることで、参加企業は自社の技術やブランドを守る仕組みがあると認識しやすくなり、より高度な製品やサービスを安心して出展しやすくなります。
知財ルールの整備と運用は、高付加価値な製造業やスタートアップ企業を呼び込み、広交会自体の質を高める重要な基盤と言えます。
移動・滞在・金融を一体でサポート 中小企業にも開かれた場に
広交会の運営側は、参加バイヤーや出展企業の負担を軽減するため、金融機関と連携した資金面の支援に加え、旅行会社や航空会社との協力による移動・滞在のサポートも強化しています。
- 航空券やホテル料金の割引
- 空港到着から会場までの「ワンストップ」サポート
- 事前登録情報を活用した商談マッチングサービス
これらのサービスにより、移動コストや手間が軽減され、大企業だけでなく中小企業も参加しやすくなります。特に、初めて中国本土の展示会に参加する企業にとっては、現地での移動や言語面の不安を和らげる効果も期待できます。
保護主義の時代に問われる「開かれた市場」の意味
世界では依然として保護主義的な通商政策や地政学的な緊張が続き、国際貿易やサプライチェーンの先行きを不安視する声もあります。そのような中で、広交会は「市場を開き続ける」というメッセージを可視化する場になっています。
出展企業数や参加国・地域の広がりは、中国が引き続き自由貿易と国際協力を重視していることを内外に示す材料となっています。同時に、知財保護や中小企業支援、文化交流のような一見ソフトに見える取り組みが、実は国際ビジネスの信頼を支える重要な要素になりつつあることも印象づけています。
日本を含む各国の企業・ビジネスパーソンにとって、こうした動きは「国際見本市のあり方」が変化していることを示唆します。単に商品を陳列する場所から、文化体験やルールメイキング、サービス提供を通じて長期的な関係を築く場へ──。広交会で見られる試みは、これからの国際ビジネスを考える上でひとつの参考事例になりそうです。
Reference(s):
Canton Fair boosts China's opening up with diverse, tailored services
cgtn.com








