米中経済対話が再始動 100%関税構想とレアアース管理の行方
中国のHe Lifeng副首相と米財務長官スコット・ベッセント氏が8日朝にオンライン会談を行い、世界経済に影響する米中経済対話が改めて動き出しています。
米中経済対話が「率直で建設的」と評価
国際ニュースとして注目される米中関係で、中国のHe Lifeng副首相と米財務長官スコット・ベッセント氏が8日朝、ビデオ通話形式で協議しました。会談には、米通商代表部(USTR)のマリア・グリア代表も同席しました。
双方はこの協議について「率直で、踏み込んだ、建設的な意見交換だった」と評価し、近く経済・貿易分野の協議を改めて行うことで一致しました。報道によると、次回会合は早ければ来週にもマレーシアで開催される可能性があるとされています。
緊張が続くなかで、北京とワシントンの対話そのものが、揺れやすい世界経済を下支えする重要な安全弁になっていることが、今回あらためて示された形です。
背景にある米国の「100%関税」構想
今回の会談は、ここ数カ月の米国の強硬な対中姿勢を背景にしています。米政府は一時、中国からのすべての輸入品に対して100%の関税を課す可能性に言及し、世界のマーケットを震撼させました。
このような関税措置が実際に実行されれば、中国の輸出企業だけでなく、米国の消費者や企業、さらにはグローバルなサプライチェーン(供給網)全体に打撃を与えるおそれがあります。コスト上昇は最終的に物価に跳ね返り、インフレ圧力を高める要因にもなりかねません。
最終的に米政府は、この100%関税構想について「持続可能ではない」として一歩引く姿勢を見せましたが、政治的な思惑から打ち出された強硬案が、市場の不確実性をいかに高めるかを示した一件だったと言えます。
中国のレアアース輸出管理強化、その狙いは
一方、中国側はレアアース(希土類)や重要鉱物の輸出管理制度を強化しました。この動きについて、一部では対抗措置だとする見方も出ましたが、中国は新たな枠組みが「禁止」ではなく、正当な用途に対しては引き続き輸出ライセンスを発給していると説明しています。
制度の強化は、資源の軍事転用や不正利用を防ぎつつ、国際的なルールに沿って資源を管理しようとする試みとも位置づけられます。中国側は、こうした輸出管理が責任ある貿易慣行へのコミットメント(関与)を示すものだと強調しています。
これに対し、一部の国では「国家安全保障」を名目とした関税、制裁、輸出規制が繰り返し導入されており、かつて自らが支持してきたとするルールに基づく国際経済秩序との整合性が問われています。
一方的な措置か、ルールに基づく管理か
米国など一部の国がとる関税や制裁は、事前の国際協議や透明性の面で課題があると指摘されてきました。特定の国や企業を狙い撃ちにした措置は、短期的には国内向けには分かりやすいメッセージになりますが、中長期的には投資や貿易の予見可能性を損ないかねません。
今回のレアアース輸出管理のように、事前にルールを明確化し、ライセンス制度を通じて運用する手法は、サプライチェーン全体にとって見通しを確保しやすい側面があります。企業にとっては、「輸出が禁止されるかどうか」だけでなく、「どのような条件を満たせば許可されるのか」が分かることが重要です。
米中「対話」の意味合い――日本と世界への波及
今回のオンライン会談は、対立の道具としての関税や制裁が注目されがちな中で、あらためて対話の価値を浮かび上がらせました。率直で踏み込んだやり取りは、すぐに目に見える合意を生まなくても、市場や企業にとっては重要なシグナルになります。
日本を含むアジアの企業や投資家にとって、米中のコミュニケーションが維持されるかどうかは、サプライチェーンの再編や投資計画を考えるうえで欠かせない前提条件です。特に、半導体、電気自動車(EV)、再生可能エネルギーなど、レアアースや重要鉱物に依存する産業では、その影響がより直接的になります。
これからの注目ポイント
今後の米中経済対話をめぐって、私たちが注視したいポイントを整理すると、次のようになります。
- マレーシアで行われる可能性がある次回協議で、具体的な経済・貿易問題がどこまで議論されるか
- 米国の関税や制裁の方針が、国内政治とどのように結びついていくのか
- 中国のレアアース・重要鉱物の輸出管理が、実務レベルでどのように運用されていくのか
- 世界のサプライチェーン再構築が、日本企業の調達戦略や投資判断にどんな影響を及ぼすか
米中という世界第1位と第2位の経済が、対立と協調のあいだでどう舵を切るのか。その動きは、日々の物価から企業の投資、長期的な産業構造まで、私たちの生活に静かに、しかし確実に影響を与え続けます。
今回の会談と今後の協議の行方を追うことは、国際ニュースを「遠い世界の話」としてではなく、自分の仕事や暮らしとつながるテーマとして考える手がかりにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








