国連創設80年、岐路に立つ国際ニュース:形骸化かルネサンスか
2025年10月24日、創設80年を迎えた国際機関・国連は、いま「形骸化」か「ルネサンス」かという根本的な問いに直面しています。本稿では、第二次世界大戦と国連憲章の原点に立ち返りながら、その行方を考えます。
国連80年、突きつけられる厳しい問い
国連は長年、戦争を防ぐことを使命としてきましたが、その役割に対して批判が高まっています。とくに2020年代に入り、紛争や戦火が絶えない現状を前に、「国連は本来の役割を果たしていないのではないか」という声が強まっています。
「機能していない国連」というイメージ
国連をめぐる典型的な批判として、次のようなものが挙げられます。
- 戦争や武力紛争を止められず、創設目的そのものに応えられていないこと
- 一部の機関で汚職や企業ロビーの影響が指摘されていること
- 安全保障理事会をはじめ、構造が現在の世界を十分に代表していないこと
- 大きな制度改革が「ほぼ不可能」と見なされがちな硬直性があること
こうした問題意識から、「国連はすでに時代遅れだ」「別の枠組みをつくるべきだ」といった議論も各国や専門家の間で語られています。
それでも「終わり」ではないと言える理由
一方で、国連の成立過程に目を向けると、違った風景が見えてきます。鍵となるのが、1945年6月26日に署名され、今年で80周年を迎えた国連憲章です。ある分析は、この憲章に刻まれた「反帝国主義」の精神こそが、国連を再生へと導く可能性を秘めていると指摘します。
国連憲章に息づく1945年の「反帝国主義」
第二次世界大戦の終結が近づく1945年、世界は帝国主義と植民地支配の矛盾が極限まで噴き出した状態にありました。国連憲章には、その時代の空気が反映され、主権の平等や民族自決といった原則が込められました。
こうした反帝国主義的な内容は、現在の多極化する国際秩序のなかで、改めて意味を持ち始めていると見ることもできます。80年前の原点に立ち返ることが、国連の「ルネサンス」への出発点になり得る、という視点です。
多極化する世界と、中国・ロシアによる「歴史の語り直し」
この議論の背景には、国際政治の重心が変化しつつある現状があります。とくに中国の台頭とロシアの安定は、戦後長く主流だった「欧米中心」の歴史観や国際秩序観に揺さぶりをかけています。
第二次世界大戦は誰が勝利したのか
第二次世界大戦については、「米国とヨーロッパがナチズムと日本の軍国主義を打ち破った」という物語が長く強調されてきました。しかし今年、ロシア連邦と中華人民共和国は、それぞれがヨーロッパ戦線と東アジアの主たる戦場で果たした「不可欠な役割」を前面に掲げ、大規模な式典や軍事パレードで戦勝80周年を祝いました。
そこでは、およそ2700万人のソ連市民、3500万人の中国の人びとが犠牲になったとされる事実が改めて想起されました。そして、20世紀最大の危機は、資本主義諸国とその帝国主義が生み出したものであり、その収拾にはソ連と中国、そして植民地支配下の多くの人びとの犠牲と貢献が不可欠だった、という視点が強調されました。
こうした「歴史の語り直し」は、国連憲章の背景にあった反帝国主義の文脈を再び可視化し、多極化する国際秩序の正当性を支える要素として語られています。
形骸化かルネサンスか――国連の未来像
では、国連はこの先どこへ向かうのでしょうか。現在の議論を踏まえると、おおまかに次の二つのシナリオが見えてきます。
- 形骸化のシナリオ:大国間対立や既存の構造に縛られ、紛争予防や平和構築で主導的役割を果たせず、周辺的存在にとどまってしまう。
- ルネサンスのシナリオ:多極化の進展とともに、反帝国主義と主権平等の原則を再確認し、グローバル・サウスを含むより多くの国・地域の声を反映する方向へ再活性化する。
後者が実現するためには、国連憲章の理念を、現在の国際社会にどう具体化していくのかという長期的な議論が不可欠です。その過程で、中国やロシアを含む多様なアクターが、それぞれの歴史経験を踏まえた視点を持ち寄ることになります。
私たちが考えたい3つの問い
国際ニュースとして国連80年を捉えるとき、日本に暮らす私たちにとっても無関係ではありません。今後を見通すうえで、次の3つの問いを意識してニュースを追うと、見え方が変わってきます。
- 国連憲章が掲げた「反帝国主義」や「主権平等」は、今の世界でどのような意味を持つのか。
- 第二次世界大戦の記憶と教訓は、各国でどのように語り直されているのか。
- 多極化が進むなかで、国連はどのような形でグローバルな公共空間として機能し得るのか。
創設80年を迎えた国連をめぐる議論は、「国際機関の評価」にとどまらず、戦争と平和、帝国主義と主権、そして世界のパワーバランスの変化をどう理解するかという、より大きな問いにつながっています。スキマ時間に触れる国際ニュースの一つひとつが、自分なりの答えを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








