2025金融街フォーラム:中国の金融イノベーションと実体経済
2025年10月27〜30日に北京で開かれた金融街フォーラム(Financial Street Forum、FSF)年次会議は、「イノベーションと変革・再構築の時代における世界金融の発展」をテーマに、世界の金融関係者が集まりました。30カ国以上から400人を超える代表が参加し、中国の金融イノベーションが実体経済をどう支えるのかが大きな焦点となりました。
本記事では、このフォーラムで議論された方向性から、中国経済と国際金融の対話がどのような協力の可能性を開きうるのかを整理します。
金融街フォーラム2025の論点:実体経済にどう届くか
金融の世界では近年、資金調達のかたちが大きく変化しています。科学技術金融、グリーンファイナンス、インクルーシブファイナンス(包摂的金融)、デジタルファイナンスといった分野が広がり、政策の重要な検討項目になっています。2025年の金融街フォーラムでは、こうした金融イノベーションをいかに実体経済の成長に結びつけ、中国の安定した経済成長を支えていくかが主要なテーマとなりました。
科学技術金融は研究開発や新興企業への資金供給、グリーンファイナンスは環境負荷の少ない事業への投融資を指します。インクルーシブファイナンスは中小企業や個人など、従来は金融サービスにアクセスしにくかった層を包み込むことを目指す仕組みです。デジタルファイナンスは、デジタル技術を活用して金融サービスを効率化・高度化する取り組みです。
高品質な金融サービスと産業の安定
フォーラムで示された出発点は、高品質な金融サービスこそが実体経済を支える中核だという認識です。科学技術分野への資金供給や、グリーンな成長を後押しする金融支援に関して、長期的な政策コンセンサスを築くことができれば、より安定的で自立性の高い産業システムづくりにつながるとされています。
こうした方向性は、中国共産党中央委員会が第15次五カ年計画の策定に向けて採択した勧告の中でも、重要な目標として位置付けられています。北京での議論には、主要な国際金融機関の幹部クラスも参加しており、投資家の視点からどのような支援のかたちが考えられるのかが注目されました。
5年間で24兆ドル超の資金供給と国際連携
過去5年間で、中国の銀行・保険セクターは実体経済に対して24兆ドルを超える新たな金融支援を行ってきたとされています。株式による資金調達など、より柔軟な金融手段も取り入れながら、企業活動を支えてきました。
同時に、中国の金融機関と海外の金融機関とのあいだで取引や情報交換が深まりつつあります。こうした連携が進めば、中国の実体経済をさらに前進させる余地は大きいという見方も示されています。
背景には、中国が緩和的な金融政策を維持しつつ、主要産業を対象とした重点を絞った金融規制を進めていることがあります。これにより、長期的な投資や、フォーラムの場での投資マッチングに向けた信頼感を高める狙いがあります。
世界的な逆風の中で問われる比較優位の組み合わせ
世界経済が減速する局面では、特定の産業や分野に向かう資金の流れが細りがちになるという経験則があります。そのため、国際機関、グローバル企業、そして活力ある中小企業の比較優位をどう組み合わせるかが重要だと指摘されています。こうした主体が連携することで、実体経済への貢献を高めることができるという考え方です。
中国では、2024年11月から2025年9月のあいだに、約100社が新規株式公開(IPO)によって市場に上場しました。この実績を背景に、実体経済を支えるための既存政策をさらに前に進める動きも見られます。財政政策、金融政策、産業政策の連携を強め、技術イノベーションの推進に重点を置く方針です。
海外中小企業に広がる参加の余地
こうした政策の方向性は、中国の金融セクターにおける海外の中小企業の参加を拡大し、市場への浸透度を高めるうえでも重要だと位置付けられています。多様なプレーヤーが参加することで、中国経済の成長に貢献する担い手の裾野が広がり、リスク分散にもつながる可能性があります。
金融街フォーラムのような場は、海外の中小企業にとって、どの分野で自社の強みを活かせるのかを見極める機会にもなります。科学技術金融やグリーンファイナンスなど成長分野での協力余地を探る対話が、今後どこまで具体化するのかが焦点となりそうです。
リスク管理と三つの柱
中国人民銀行は最近、持続的な経済成長のカギは、重要分野における金融リスクを予防し、解消する能力にあると強調しました。これは、金融拡大とリスク抑制をどのように両立させるかという課題意識の表れです。
中国が掲げるのは、堅調な消費、外国貿易、そして適度に緩和的な金融政策という三つを組み合わせて進める方針です。これらを通じて、実体経済の発展を後押しする政策環境を整えることが、現在の優先課題になりつつあります。
これから注目したい三つの視点
10月末の金融街フォーラムから1カ月余りが経った今、日本の読者として意識しておきたいポイントを三つに整理します。
- 国際協調の実効性:中国発の金融イノベーションと各国のルールや慣行をどう擦り合わせていくのか。
- 実体経済への波及度:24兆ドル超の資金供給やIPO増加が、中小企業やグリーン投資など現場レベルでどこまで効果を発揮しているのか。
- リスクと成長のバランス:リスクを防ぎつつ、どこまで新しい分野に資金を振り向けられるのか。
2025年の金融街フォーラムは、中国の金融政策や産業戦略だけでなく、国際金融の協調と競争のあり方を考えるうえでも、重要な現場になっています。今後の政策の具体化と実体経済への波及を、継続的にフォローしていく必要がありそうです。
Reference(s):
2025 Financial Street Forum: What cooperative dialogue can deliver
cgtn.com








