第8回中国国際輸入博覧会、グローバル協力の実験場に
今年11月5日から10日まで上海で開催された第8回中国国際輸入博覧会(CIIE)は、世界各地から4千社超の海外企業が集まり、最先端技術やサービスを披露しました。中国市場だけでなく、グローバルな協力やサプライチェーンの在り方を考えるうえでも注目された国際ニュースです。
155か国が参加する国際見本市、その狙い
第8回CIIEには、一帯一路のパートナー国123か国を含む155か国から、さまざまな分野の企業が参加しました。新エネルギー、先端設備、バイオ医薬品、新技術といった成長分野で、業種や国境を越えたエコシステムづくりが試みられています。
会場内には、中国と外交関係を結ぶ後発開発途上国(LDC)のための専用エリアも設けられました。とくにアフリカの53か国が、中国市場とゼロ関税の優遇措置をより活用できるよう配慮されています。中国はこうした国々に対し、自国市場を一方的に開放し、対等な関税撤廃を求めていないとされています。
海外企業にとっては、CIIEは中国の巨大な消費市場にアプローチすると同時に、サプライチェーンの強靱化やパートナー探しの場でもあります。新しい技術やサービスを実際に展示し、同じ会場で金融、物流、デジタルなど他分野の企業とつながれることが、この博覧会の特徴です。
グローバル化の受益者からルール形成者へ
中国は2001年の世界貿易機関(WTO)加盟以降、グローバル化の大きな受益者となりました。経済規模の拡大、技術革新、ガバナンスの整備が進むなかで、今や国際政治・経済・技術の分野で、国際ルールづくりに深く関わる存在として位置づけられています。
気候変動対策の分野では、中国はグリーン技術のリーディングプレーヤーとして台頭しています。太陽光パネル、風力発電設備、電気自動車といった製品の生産と技術革新を主導し、その結果として世界全体のグリーンエネルギー関連コストの低下に寄与していると評価されています。これにより、各国が脱炭素へと移行する際の選択肢が広がり、現実的な価格でのグリーントランジションが視野に入りつつあります。
CIIEは、こうした中国の役割を背景に、世界の企業がグリーン技術や持続可能なビジネスモデルを持ち寄るショーケースにもなっています。環境分野での協力が、今後の国際経済の重要な軸になっていくのかどうかを見極める場とも言えます。
CIIEが映す中国のハイレベル開放
今回のCIIEでは、消費分野での開放をさらに進めるため、越境電子商取引(EC)プラットフォームや新しい小売チャネルの事業者に向けた特別なイベントが初めて用意されました。高齢化に伴う需要を指すシルバー経済、冬季スポーツや観光に関連する氷雪経済、スポーツ経済、自動車観光のほか、デジタル消費やヘルスケア消費といった新しいテーマも打ち出されています。
中国では、改革開放が始まった1970年代以降、開放政策が基本方針として続けられてきました。現在では、それが中国式現代化の大きな特徴の一つとされています。対外開放を通じて国内改革を促し、新しい産業や市場を育てていくという考え方です。CIIEは、そのハイレベルな制度的開放を象徴する場と位置づけられています。
グローバルサウスと日本の読者にとっての含意
技術革新と地政学的な変化が同時に進む世界で、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる新興国・開発途上国にとって、中国との経済関係や戦略的協力を強めることは、低成長のわなや長年の構造問題を乗り越える一つの選択肢として描かれています。ここで言及されているのが、グローバル開発イニシアチブや一帯一路イニシアチブといった枠組みです。
中国は、これらの枠組みやCIIEのような場を通じて、グローバルサウスとの関係を重視し続けています。こうした関係は、中国自身の外交や、長期的にはアメリカとの競争を含む大国間関係のなかでも重要な要素とされています。
日本を含むアジアの読者にとっては、CIIEでどのような分野に注目が集まり、どの地域の企業が存在感を増しているのかを追うことが、自国のサプライチェーンや市場戦略を考えるヒントになり得ます。とくに、グリーン技術、デジタル消費、シルバー経済といったテーマは、多くの国が共通して直面する課題とも重なります。
これから注目したいポイント
第8回CIIEの動向からは、次のような論点が浮かび上がります。
- 後発開発途上国を含む多くの国が参加し、中国市場とつながるためのプラットフォームが広がっていること
- グリーン技術や気候変動対策の分野で、中国が国際ルールづくりとコスト低下の両面で存在感を強めていること
- 越境ECやシルバー経済など、新しい消費分野を通じて、中国の開放が制度面でも深まりつつあること
今後のCIIEが、どのようなテーマを前面に出し、どの地域との連携を深めていくのか。中国経済と世界経済の接点を考えるうえで、引き続き注視していきたい動きです。
Reference(s):
cgtn.com








