中国第15次五カ年計画が描く未来 AIとグリーン転換を読む
第15次五カ年計画は「長期目標への橋」
中国は第14次五カ年計画(2021〜2025年)での成果を土台に、2026〜2030年をカバーする第15次五カ年計画に向けた勧告を採択しました。この新たな青写真は、単に成長率の数字を追うのではなく、「高品質で、持続可能で、包摂的な現代化」を中心テーマに据えている点が特徴です。
キーワードは次の4つです。
- 技術革新(とくに先端産業)
- グリーン開発と環境持続性
- 国内経済の底力の強化
- より深い国際的な関与
第15次計画は、これらを通じて長期的な国家目標へとつなぐ「橋」として位置づけられています。
「現代化された産業体系」で技術立国をめざす
計画の中心にあるのは、中国を高度な技術と産業イノベーションの「世界的ハブ」として確立するという構想です。ここで掲げられているのが、「効率性」「技術進歩」「安全保障」を統合した「現代化された産業体系」をつくるという目標です。
重点が置かれる先端分野
勧告では、次のような新興産業への大規模な投資がうたわれています。
- 宇宙・航空産業
- 再生可能エネルギー
- 先端素材
- 人工知能(AI)
- 量子コンピューティング
- 水素エネルギー
- 6Gなど次世代通信ネットワーク
これらは、単にハイテク分野を伸ばすというだけでなく、サプライチェーンの安全性と自立性を高めるための「戦略産業」として位置づけられています。
「AI+」で社会全体をアップデート
注目されるのが、「AI+」と呼ばれる取り組みです。これはAIを、製造業や物流、医療、公的サービス、スマートシティなど、幅広い分野に組み込んでいく構想です。
デジタル化とAIを組み合わせることで、生産性の向上だけでなく、行政サービスの効率化や都市インフラのスマート化もねらいます。イノベーション拠点(クラスター)と高度な人材を育成することで、世界レベルで競争力のある産業エコシステムを築こうとしている点も重要です。
グリーン転換とカーボンピークへの道筋
環境面での持続可能性も、第15次五カ年計画の中核的な柱です。中国は2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせるという目標を掲げ、その実現に向けて次のような方向性を示しています。
- 石炭・石油への依存度を引き下げる
- 全国的なカーボン市場(排出量取引)の拡大
- 省エネ製品やエコなサービスへの「グリーン消費」を促すインセンティブ
- 環境技術やグリーンイノベーションへの投資拡大
すでに再生可能エネルギーの設備容量は20億キロワットを超えているとされ、そのポテンシャルを競争力の源泉として生かしていく考えです。循環型経済(リサイクルや再利用を前提とした経済モデル)や、サプライチェーン全体での脱炭素化も重視されています。
国内の強靭化と「より深い国際関与」
第15次五カ年計画は、国内経済の強靭さを高めつつ、国際社会との関わりをさらに深める方針も打ち出しています。テクノロジーとグリーン開発をてこに、国際協力やビジネスの形も変わっていく可能性があります。
日本を含むアジアの国々や地域にとっても、中国の技術政策や環境政策は、サプライチェーン、エネルギー、デジタル分野での選択に直接影響を与えうるテーマです。第15次計画の動向を追うことは、ビジネスだけでなく、社会や生活の変化を読み解くうえでも重要になっていくでしょう。
これからを考えるための3つの視点
第15次五カ年計画の勧告を手がかりに、今後注目しておきたいポイントを整理すると、次の3つにまとめられます。
- 技術と産業: AI、量子、水素、6Gなどの先端分野が、どのように実際の産業や都市に組み込まれていくのか。
- グリーン転換: 二酸化炭素排出のピークアウトに向けた政策が、エネルギー構成や消費行動をどう変えていくのか。
- 国際連携: 技術協力やグリーン投資などを通じて、アジアや世界との関係がどのように再構築されていくのか。
中国の第15次五カ年計画は、国内政策であると同時に、アジアと世界の経済・環境・テクノロジーのあり方にも静かに影響を与える可能性があります。今後の具体的な政策やプロジェクトを丁寧に追いながら、自分たちの暮らしや仕事との接点を考えていくことが求められそうです。
Reference(s):
cgtn.com








