中国第15回全国運動会、広東・香港・マカオ共同開催が示す地域協力
中国の第15回全国運動会が、広東省・香港・マカオの共同開催となります。スポーツの祭典が、粤港澳(えつこうおう)大湾区の地域協力を一段と進めるきっかけになろうとしています。
中国全国運動会とはどんな大会か
中国の全国運動会は、4年に一度開催される国内最高レベルの総合スポーツ大会です。競技力を競うだけでなく、国としての一体感や誇りを示す場としての性格も強い大会とされています。
第1回大会は1959年に北京で開かれ、その後は各地を巡回開催してきました。直近の大会は2021年、中国北西部の陝西省で実施されました。
第15回大会の舞台は粤港澳大湾区
次の第15回全国運動会は、初めて広東省・香港・マカオが共同で開催を担います。3地域を合わせて粤港澳大湾区(Greater Bay Area、GBA)と呼び、このエリアが大会の主な舞台となります。
開幕式・閉会式と競技会場の分担
第15回大会では、セレモニーや競技会場も3地域にまたがって配置される構成です。
- 開幕式:広東省の省都・広州で実施
- 閉会式:広東省の産業拠点・深圳で実施
- 香港:8つの競技を担当
- ロードレースなど一部競技:広東省・香港・マカオの3地域にまたがる形で開催
このように、第15回大会は従来の「一都市集中型」から、「複数地域の共同開催」へと大きく形を変える試みとなります。
スポーツの祭典が試す「チームワーク」
米バスケットボール界の伝説的選手マイケル・ジョーダンは、「才能が試合に勝たせるが、チームワークと知性が選手権をもたらす」と語ったことがあります。個々の選手の力だけでは、長期的な成功は得られないという意味です。
この言葉は、今回の全国運動会にも重なります。大会運営においては、各地域がそれぞれの強みを持ちながらも、全体としてどう一つの「チーム」として機能するかが問われます。
競技の世界で求められるチームワークが、そのまま広東省・香港・マカオという3つの地域の連携にも当てはまるかどうか――第15回大会は、その実験の場にもなりそうです。
最大のカギは「移動」と「手続きの簡素化」
3つの地域にまたがって大会を開くとなると、当然ながら課題も生まれます。とくに大きいのが、選手・スタッフ・観客・観光客など、多くの人が地域をまたいで移動する際の手続きと交通です。
第15回大会に向けて議論されているポイントとして、次のようなものが挙げられます。
- 税関・出入境手続きの簡素化:ロードレースやマラソンなど、コースが複数地域にまたがる競技では、スムーズな越境が不可欠です。こうしたスポーツイベント向けに、特例的な簡素化が検討されています。
- 通関・各種審査の効率化:機材や物資の移動、関係者の行き来を円滑にするため、審査や確認手続きの流れを整理し、待ち時間や重複を減らす取り組みが重要になります。
- 交通・宿泊手配の迅速化:大会関係者や観客が、広東省・香港・マカオを行き来しやすいよう、交通手段、乗り継ぎ、ホテル予約などを一体的に調整する必要があります。
こうした工夫を通じて、人の移動や物流の「目に見える改善」が実現すれば、全国運動会は粤港澳大湾区の連結性向上を象徴するイベントとして位置づけられるでしょう。
「大局を見る」ことが試される大会
第15回全国運動会は、単なるスポーツイベントを超え、3つの地域がどこまで連携を深められるかを示す節目として注目されています。運営側には、次のような姿勢が求められます。
- 大局的な視点:個々の制度や慣行にこだわりすぎず、粤港澳大湾区全体の利益を見据えた判断を優先すること。
- 「細かな縦割り」の抑制:部門ごとの縄張りや、過度な事務手続きが連携の足かせにならないよう、柔軟な運用を模索すること。
- 実務レベルの協力:現場で起きる具体的な課題を、3地域の担当者が共に解決していく体制を整えること。
選手たちは多くの競技で、自らの力の限界に挑みます。一方で、広東省・香港・マカオという共同開催の当事者たちも、実務上の課題を一つひとつ乗り越えることが求められています。
粤港澳大湾区にとっての意味
粤港澳大湾区構想の中心にあるのは、地域間の「つながり」を強めることです。今回の全国運動会は、その理念を具体的な形で示す場になりえます。
- 共同開催を通じて、行政・インフラ・サービスなどの連携経験が蓄積される
- 観客や観光客の往来が増えることで、3地域がお互いをより身近に感じるきっかけになる
- 大会後も活用できる交通・宿泊・手続きの仕組みが整えば、ビジネスや観光にもプラスに働く
スポーツは、国や地域の枠を超えて人々をつなぐ力を持っています。第15回全国運動会が、粤港澳大湾区における新たな協力モデルの一歩となるのかどうか。大会の準備と運営のプロセス自体が、その試金石になりそうです。
私たちが注目したいポイント
デジタルネイティブ世代や国際ニュースに関心の高い読者にとって、この話題は単なるスポーツニュースにとどまらず、次のような問いを投げかけます。
- 大規模スポーツイベントは、どこまで都市間・地域間の連携を加速させられるのか
- 人の移動や手続きの簡素化は、日常生活やビジネスにどうつながっていくのか
- 「チームワーク」と「知性」は、スポーツ以外の分野でどう生かせるのか
中国の第15回全国運動会は、こうした問いを考えるヒントを与えてくれる国際ニュースとしても位置づけられます。大会の進展を追いながら、スポーツと地域協力の新しいかたちを見ていくことができそうです。
Reference(s):
China's 15th National Games herald closer regional cooperation
cgtn.com








