COP30ブラジル発:中国とブラジルが描くグリーン成長とAIジャーナリズム video poster
2025年12月、ブラジルで国連の気候変動会議COP30が熱を帯びるなか、ブラジルのメディアリーダーが「中国とブラジルは同じページを書いている」と語り、グリーン成長とAIジャーナリズムを軸にした新たな協力に注目が集まっています。
COP30ブラジル開催と「グリーン成長」というテーマ
COP30がブラジルで本格化する今、気候変動対策は単なる環境政策ではなく、経済やテクノロジーを含む「成長モデルの転換」の議題として扱われています。とくに、資源大国ブラジルと、中国を含むグローバルサウスの役割に関心が高まっています。
今回の動きの背景には、次のような問題意識があります。
- 環境負荷を抑えながら経済を成長させる「グリーン成長」をどう実現するか
- 気候変動の影響を強く受けるグローバルサウスの声を、いかに国際議論に反映させるか
- テクノロジー、とくにAIを活用して情報と知識をどう共有していくか
ブラジルのメディアリーダー、レオナルド・アトゥシュ氏とは
こうした文脈の中で発言しているのが、ブラジルのメディア「Brasil 247」のCEOを務めるレオナルド・アトゥシュ氏です。ブラジルのメディア界を代表する一人として、同氏は中国とブラジルが「持続可能性、公正さ、共有された進歩」という共通の価値観から出発し、同じ方向を向いていると強調しています。
アトゥシュ氏は、中国とブラジルの連携を「グローバルサウスが自らの未来を描く試み」と位置づけています。その象徴的なプロジェクトが、中国のパートナーとともに進める「ジャーナリズム向けAIラボ」の構想です。
中国とブラジルが共有する3つのキーワード
アトゥシュ氏が示したのは、次の3つのキーワードです。いずれも、中国とブラジル、そしてグローバルサウスの協力を考えるうえで重要な視点です。
- 持続可能性(サステナビリティ)
- 公正さ(フェアネス)
- 共有された進歩(シェアード・プログレス)
1. 持続可能性:資源と技術を結びつける
持続可能性は、COP30の中心テーマであると同時に、中国とブラジルの連携の軸でもあります。資源や生物多様性が豊かなブラジルと、グリーン技術やインフラ投資で存在感を高める中国が協力することで、次のような相乗効果が期待されます。
- 再生可能エネルギーや環境技術を活用した新しい産業の育成
- 森林や農業といったブラジルの強みを生かした低炭素モデルの模索
- グローバルサウス全体に広げられる実践的な「グリーン成長」の事例づくり
2. 公正さ:グローバルサウスの視点を世界に届ける
アトゥシュ氏が重視するもう一つのキーワードが「公正さ」です。気候変動の影響を強く受けながら、歴史的には温室効果ガスの排出にあまり責任を負ってこなかった国や地域の声を、どう国際社会に届けるかが問われています。
その点で、ブラジルと中国を含むグローバルサウスの協力には、次のような意味があります。
- 気候正義(クライメート・ジャスティス)への問題提起を強める
- 従来の情報発信の中心だった欧米以外からの視点を可視化する
- 南南協力を通じて、よりバランスの取れた国際世論を形成する
3. 共有された進歩:成長の果実をどう分かち合うか
「共有された進歩」という表現には、経済成長の果実を一部の国や企業に偏らせないという意図が込められています。グリーン成長やデジタル経済が広がる中で、次のような問いが浮かび上がります。
- 新しいテクノロジーの利益を、どのように社会全体で共有していくのか
- 気候対策への投資を、雇用や教育など人々の生活の向上につなげられるのか
- グローバルサウスの国や地域が、単なる「市場」にとどまらず、ルールづくりに参加できるのか
アトゥシュ氏のメッセージは、こうした問いに対して、中国とブラジルがともに答えを探ろうとしている、という方向性を示しています。
ジャーナリズム向けAIラボ構想:メディアとテックの交差点
今回の発言の中で特に目を引くのが、アトゥシュ氏が中国のパートナーとともに進める「AIラボ」構想です。これは、ジャーナリズムの現場にAI(人工知能)を本格的に取り入れる試みとして位置づけられています。
具体的には、次のような役割が期待されます。
- 気候や経済に関する膨大なデータの解析を支援し、わかりやすいニュースに落とし込む
- 複数言語でのニュース制作を支え、グローバルサウス同士の情報共有を促進する
- 誤情報や偽情報の検知を高度化し、信頼できる報道を支える
- 読者ごとに関心の高いテーマを把握し、情報を届ける精度を高める
こうしたAIラボが中国とブラジルの協力で進められることは、グローバルサウスが「テクノロジーの受け手」ではなく「発信地」として存在感を高めていく象徴的な動きとも受け止められます。
グローバルサウス協力が示す「次の主役」像
アトゥシュ氏は、「グローバルサウスが協力すれば、未来はよりスマートに、そしてグリーンになる」と強調しています。中国とブラジルの連携は、その具体的な一歩といえます。
グローバルサウスの協力が持つ意味を整理すると、次のようになります。
- 気候変動という共通課題に対して、資源とテクノロジーを持ち寄る新しい枠組みを提示する
- メディアとAIを組み合わせることで、南の視点から世界に情報を発信する新しいモデルをつくる
- 持続可能性と公正さを両立させる成長モデルを、実験的に試す場になる
中国とブラジルの動きは、今後の国際ニュースや経済、テクノロジーの見方を更新していく可能性があります。
日本の読者にとっての示唆
日本からこの動きを眺めるとき、ポイントになるのは「どの国が未来のルールづくりをリードしていくのか」という視点です。グローバルサウスの連携は、気候、経済、テック、メディアが交差する最前線の一つになりつつあります。
日本の読者にとっても、次のような問いが投げかけられているように見えます。
- グリーン成長とAIの組み合わせを、自国やアジアの文脈でどう位置づけるか
- グローバルサウスから発信される情報や視点を、どのように受け止め、議論に生かしていくか
- 中国やブラジルとの協力のあり方を、環境とテクノロジーの両面からどう再設計するか
COP30が進む2025年末、中国とブラジルが示す「スマートでグリーンな未来像」は、国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、これからの世界を考える手がかりになりそうです。
Reference(s):
Brazilian media leader: China and Brazil join hands for green growth
cgtn.com








